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【エッセイ】ゲームと攻略本

よく「本格的に本を読み始めたのは大学に入ってからです」と言うと驚かれる。「J.ナカノさんは読書が好き」ということを知っている周囲の人達は、私が幼い頃から本の虫だったというイメージを抱いていることが多いが、そんなことはない。ただ、実際その予想は外れているわけではなく、幼稚園の頃から高校卒業までの期間も、本自体は好きだった。ただ、未成年がふれられる本のジャンルの範囲や、購入できる本の冊数などたかがしれており、そこまで熱心に読んでいたわけではないというのが事実だ。

中学生まではゲームが好きだった。今になって考えると、あの時は義務教育とゲームの両立をしていたと言っても良い。ゲームをプレイするうえで欠かせないのが、ゲームの攻略本だ。人生で一番ゲームに夢中だった小学生の頃は、攻略本を読むことにも必死になっていた。

なぜゲームそのものと同じように、攻略本を読むのに夢中になっていたのか。それは、その本には自分が好きなゲームのことしか書かれていないからとしか言い様がない。自分が大好きで、毎日のようにプレイしているゲームの基本的な操作方法から裏技まで、なんでも書いてある攻略本は、自分にとって理想的な一冊だった。

ただ、大体のゲームにはストーリーがある。自分のゲームをする速度より早く攻略本を読み進めることは、ストーリーのネタバレを誘発する。実際、昔ポケットモンスター銀をプレイしていた時、クリアすると前作の舞台だったカントー地方に行けることを、クリアするより先に知ってしまったことがある。今考えると大きな楽しみの損失だが、当時はあまり気にしていなかった。

たまにTwitterで、「記憶を消してもう一度プレイしたいゲーム」の話題が登場する。意外な展開に驚かされたり、初めてプレイした時の衝撃を忘れられないゲームを回顧するためのハッシュタグだ。私の場合、仮に記憶を消したとしても、また攻略本を買って、ネタバレを食らいかねないといつも思う。それくらいゲームと同じように、攻略本を読むのが好きだった。

大学に入り、小説やエッセイ、ノンフィクションを読むようになってから、ゲームをする時間も、攻略本を読む時間も自然と無くなった。幼い頃、もっと児童書とかを読んでおくべきだったと思うが、ゲームをしていた時間も、無駄じゃなかったと思っている。

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