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目のお悩み Q&A

人が得る情報の大半を視覚が占めているといわれ、目に関する悩みは尽きることがありません。今回は読者から寄せられた目に関する素朴な疑問・悩みを、目のプロフェッショナルに相談してみました。

※『名医のいる病院2023 眼科治療編』(2023年3月発売)から転載

Q1

ブルーベリーが目によいのは本当ですか。ほかにも 目によい食べ物があれば教えてください。(70代女性)

ブルーベリーにはアントシアニンが多く含まれており、アントシアニン含有サプリメントを内服することでパソコン作業後の眼精疲労が軽減したという報告がありますが、大規模に調査したデータはないのが現状です。ほうれん草やブロッコリー、モロヘイヤなどの緑黄色野菜には、黄斑(網膜の中心部)を保護するルテインやゼアキサンチンが多く含まれており、加齢黄斑変性の予防効果が期待されています。

Q2

目が疲れていると感じたとき、何か簡単にできる疲労回復法はありますか。(50代女性)

原因はさまざまですが、長時間におよぶ近方作業や目が乾く場合には目の疲れを感じやすくなります。近方作業中はピント合わせのために目の中の筋肉が収縮し続けているため、途中で休憩をはさむようにしましょう。散歩などの軽い運動や窓の外をぼんやり眺めたりすることは有効です。またホットアイマスクや温かいタオルなどを使用して目のまわりを温めるのもよいでしょう。

Q3

緑内障と診断され、点眼薬を使用しています。一体、 いつまで続けなければいけないのでしょうか?(60代男性)

緑内障は治る病気ではなく、治療によって進行を遅らせて生涯にわたり視機能を保つようにするのが治療目標となります。従って、緑内障点眼薬は基本的にはずっと使用していくことになります。緑内障点眼薬を使用しても患者さんの症状が改善するわけではないので、点眼治療を継続する必要性を感じづらいかもしれませんが、緑内障点眼でしっかり眼圧を下げた状態を保つことが大切となります。

Q4

緑内障で視界が徐々に狭くなってきています。難しい疾患なのは知っています。メンタル面も含めて、アドバイスをください。(50代女性)

どの部位が障害されているかによって患者さんの不自由さは大きく異なるため、自身の視野障害部位を把握することが大切です。下方が見えづらい場合には「転倒や階段の踏み外し」に、耳側が見えづらい場合には「人やモノにぶつからないよう」に注意が必要です。視野障害が進行してくると、「失明してしまうのではないか」と不安を感じてしまうと思いますが、眼圧を低く保つことが治療の基本であり、主治医と二人三脚で治療に取り組む必要があります。

Q5

自分も含め、現代の若者は高頻度でスマートフォンを使用しています。昔(昭和の時代)より、令和は低年齢で目の疾患を発症しやすいのでしょうか?(20代女性)

スマートフォン使用だけが原因ではありませんが、以前に比べて児童生徒の近視の割合は増えています。近くの視標を見る場合、ピント調節の目的で毛様体筋が収縮し続けることで近くにピントが合ったままになり、近視が進むことがあります。また近くの視標を見る場合には寄り目の状態になるため、その状態が続くことで「スマホ内斜視」が生じることがあります。

Q6

中学校の頃、視力が0.3しかなく眼鏡だったのに、20歳を過ぎて1.0に回復しました。こんなことってあるのでしょうか?(20代男性)

年齢によって近視や遠視の状態が変化していくことはよくあります。小学校低~中学年までは遠視の人の割合が高く、小学校高学年以降は正視、近視の人の割合が高くなります。遠視や近視の程度が強ければ裸眼視力が不良で眼鏡が必要となりますが、年齢とともにそれらが変化して裸眼視力が良好になることがあります。

Q7

老眼は絶対に治りませんか?(50代男性)

老眼は加齢による生理現象ですので、自然に治ることはありません。書籍やパソコン、スマートフォンの字が「ぼやける」「読めない」等の症状がある場合には近用眼鏡やコンタクトレンズなどで矯正する必要があります。

Q8

いつも、お風呂に入ると目が充血するのですが、なぜでしょうか。何か疾患が隠れている可能性はありますか?(50代男性)

入浴や飲酒によって血行がよくなり結膜の血管が拡張するために充血が生じます。これは自然な現象であり、心配ありません。入浴などと関係なく充血が生じ、目やにや痛み、視力低下などを伴う場合には結膜炎やぶどう膜炎などの可能性があるため眼科医の診察を受ける必要があります。

Q9

がちゃ目(両眼で視力の差がある)のため、度数が合う理想の眼鏡が見つかりません。(40代女性)

左右眼の度数が大きく異なる場合には、左右でみえる像の大きさが異なる不等像視を来たします。不等像視の程度が大きくなると両眼の像が一致しない、目が疲れるなどの原因となります。眼鏡で矯正可能な症例、コンタクトレンズが向いている症例、矯正が困難な症例もあるため専門家の診察が必要です。

Q10

もともと遠視でした。まだ老眼には早いと思うのですが、近くものが見えづらく感じます。(30代女性)

近くのモノをみるときに、遠視の人は近視に比べてより強くピント合わせをする必要があります。このピント合わせの力が低下する状態が老眼です。もともと遠くがよくみえている遠視の人では、ピント合わせの力が少し低下するだけで老眼の症状が現れやすく、同年代の中でも早期に老眼を感じやすいという特徴があります。

Q11

花粉症の時期になると目が猛烈にかゆくなります。何か対策があれば教えてください。(40代男性)

花粉が飛び始める前から抗アレルギー点眼薬を使用することで、症状が軽くなることや、症状が出る期間が短くなることが報告されています。花粉飛散時期の約2週前から抗アレルギー点眼薬を開始することが勧められています。また外出時に眼鏡やゴーグルを使用し、目の表面に飛び込んでくる花粉を減らすことや、防腐剤の入っていない人工涙液の目薬で目の表面を洗い流すことも有効です。


監修

長谷川泰司
東京女子医科大学 眼科学講座 講師