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これから日本語教師になることは勧めないけれども、なってしまった人は続けてもいいと思う

これから日本語教師になるために養成講座に通う、という人がいたら、私は止めます。そんなに夢のある仕事ではありません。費用を回収できない可能性も高いです。

もし、言語を教える仕事がしたいなら、欧米の大学で博士号を取って、言語学者、応用言語学者になって、パーマネントの教授職を目指しましょう。そうでないと、暮らしは安定しませんし、社会的な地位もあがっていきません。日本語教師は対人援助職なので、教師の役割で済む場合もないことはないのですが、ソーシャルワーカー的な役割、キャリアコンサルタント的な役割を求められることもあります。つまり、わりに合いません。

それゆえ、学生との距離が近くなってしまい、ストーカー化してしまった学生に悩まされることも、少なくありません。そうなっても、日本の組織の経営層はほとんど男性か、あるいは成功している女性は男性的なので、そういう状況になったことを責められこそすれ、助けてもらえることはありません。そもそも教育機関や日本語学校の多くは、法令遵守の意識が低いので、大企業で働くような感覚で現場に入ると苦しむことになると思います。

すでに有資格者で経験年数のある人は続けてもよいと思います。やめるべきとまでは言いません。給料は低くても、やりがいはあります。ただ、やりがいだけでは続けられないでしょう。

これは日本の構造的な問題でもあるのですが、女性が多い、女性が採用されやすい職業は大体低賃金に抑えられている傾向があります。日本語学校も、パートタイムで働く非常勤講師に大きく依存して、ビジネスを成り立たせてきました。自分の都合に合わせてパートタイムで働けるのはよいことだと思いますが、学校には休みが多く、ビジネスマンの日本語学習者の学習はなかなか継続が難しいこともあり、非正規雇用だといつまでも収入は安定しないでしょう。常勤になったところで問題は山積みです。

日本語学校は男性教師が足りないと言われているので、男性教師は採用されやすい傾向にあると思います。男性の日本語教師は非常勤講師を経験せず、最初から専任講師として採用されるケースも少なくありません。個人的な体感にすぎませんが、ちょっと露悪的なことを申し上げますと、女性の教師は早慶上智国立レベルの大学を卒業していて、男性の教師はそうでもない大学、というケースが多かったです。仕事の能力と学歴は関係がないといっても、多くの日本語学校は進学目的の留学生の予備教育機関なので、仕事と無関係でないとは言い切れないと思いますが、どうなのでしょうか。

本当に賢い人は女性も、男性も、日本語教師は目指さないでしょうから、自分の人生がどうでにもなれという感覚、やまっけのある人がチャレンジされることをおすすめします。



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