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オールドカメラでフィルムのモチーフを憶える - カメラ編

#デジタルだけどフィルムのモチーフを忘れない

この言葉にあるフィルムのモチーフとは単にフィルムで撮った写真の風合いの事だけではありません。
フィルムをカメラに装填して巻き上げレバーを回し絞り値とシャッタースピードを決めてピントを合わせてシャッターを切ると言った操作を経て撮ったフィルムを現像し出来上がるとようやくその1枚1枚の写真に向きあうとこができるというデジタル機では味わえない一連の作法とも言うべき過程から得られる感覚すべてがフィルムのモチーフになります。
一度もフィルムカメラで撮った経験がなければフィルムのモチーフを知ることは難しいと思います。
それで今回はオールドカメラを使ってフィルムのモチーフをどのように憶えることが出来るか実際に体験してみて憶えてみます。

オールドカメラ Nikomat EL を知る

Nikomat ELは1972年にニコンが発売したマニュアルフィルムカメラ。
ニコン初の電子制御シャッターを備えた機種で50年以上も前のカメラですが絞り優先でシャッタースピードはオートで撮れるという意外と使いやすい機種です。(写真1)

写真1

5年くらい前に友人が僕がカメラ好きと知ってこのELを2台を譲ってくれました。1台は電池の+端子がなくなっていてシャッタースピードが変化しなくて使えませんでしたがもう1台は電池を入れるとシャッタースピードも変化して使えます。

デジタル機に比べて操作の仕方がかなり違うので各部分の名称と使い方を説明します。

カメラ上部(写真2)

❶巻き上げレバー…シャッターを押した後このレバーを半時計方向に回しフィルムの巻き上げをします。電源の役割もあり少し引くと電源がオンになりシャッターボタンが押せるようになります。
❷シャッターボタン…押すとシャッターが切れます。
❸フィルムカウンター…シャッターを押す度にカウントされます。
❹シャッタースピードダイヤル…真ん中のボタンを押しながらダイヤルを回しシャッタースピードを設定します。Aの場合は電子制御でシャッタースピードが決まります。Bはバルブでシャッターボタンを押し続けるとシャッターが開いた状態になり離すとシャッターが閉まります。
❺ASA(ISO)感度ダイヤル…フィルムの感度を設定します。ISO100のフィルムの場合は100にレバーを内側に押しながらダイヤルを回し合わせます。
❻巻き戻しクランク…フィルムを巻き戻す際に使います。⓭のボタンを押しながら巻き戻しクランクのレバーを回転方向に回します。
❼レリーズレバー…裏蓋を開ける場合レリーズレバーを裏蓋側に❻の引き巻き戻しクランクを上側に引っ張ります。

写真2

カメラ前面(写真3)

❽絞りボタン…通常ファインダーを覗いた時は絞り開放で見えています。実絞りで確認する時にこのボタンを押します。
❾セルフタイマーレバー…セルフタイマーでシャッターを切りたい場合このレバーを反時計回りに回転させます。シッターボタンを押すとタイマーが動き出し約10秒後にシャッターが切れます。
❿ミラーアップレバー…清掃や電池を交換する時にこのレバーを回しミラーをアップさせます。
⓫レンズレリーズボタン…レンズを外したり交換する場合このボタンを押しレンズを時計方向に回転させるとレンズが取り外せます。

写真3

カメラ背面(写真4)

⓬バッテリー確認ボタン…電池の確認をする時にこのボタンを押します。右側の確認ランプが点灯すれば電池の残量があります。

写真4

カメラ下部(写真5)

⓭巻き戻しボタン…フィルムを巻き戻す時このボタンを押しながら❻の巻き戻しクランクのレバーを回転方向に回します。

写真5

電池の交換

電池を交換は❿のミラーアップレバーを回しミラーをアップさせます。
シャッター下部に電池蓋があるので左に押しながら上げます。(写真6)

写真6

電池の極性が電池蓋に記載されています。
電池を抜く場合は左側のマイナス側から引き上げて電池を抜きます。(写真7)
電池を入れる場合は右側のプラス側から入れてからマイナス側を入れます。
※この順番を間違えるとプラス側の接点が壊れる場合があります。

写真7

電池は4LR44か4SR44を使いますが大型カメラ店くらいしか置いてなくかつ高価なのでLR44を4個使って4LR44に変換するアダプターを使う方法があります。

しかしこの変換アダプターですが極性ラベルとは反対に使った方が入れやすいのでマイナスのラベルをカメラのプラス側に入れています。(写真8)

写真8

⓬バッテリー確認ボタンを押し右側の確認ランプが点灯することを確認します。
シャッタースピードダイヤルをB(バルブ)に合わせて押してシャッターが開き離してシャッターが閉じれば正常に動作しています。

フィルムを装填する

フィルムを装填するにはまず裏蓋を開けます。
❼のレリーズレバーを裏蓋側に引き❻の巻き戻しクランクを上側に引っ張ると裏蓋が開きます。(写真9)

写真9

パトローネ室にフィルムを挿入し❻の巻き戻しクランクを押し戻します。(写真10)

写真10

フィルムを少し引っ張り出して右側の巻き取りスプールにあるスリットにフィルムの先端を差し込みます。この時にシャッター幕を壊さないように慎重に作業します。(写真11)

写真11

❶巻き上げレバーを回しフィルム送りのスプロケット(歯車)に正常にかみ合っていることとフィルムが巻き取りスプールに巻き上がるのを確認して裏蓋を閉めます。(写真12)
この部分が中々上手くいかない事がありますが巻き上がってないと空回りして写真が撮れてない場合があるので確実に巻き上がっているのを確認してから裏蓋を閉じます。

写真12

❺ASA(ISO)感度ダイヤルを回してフィルムの感度に合わせて設定します。(写真13)

写真13

フィルムカウンターが1になるまでシャッターを切り巻き上げて準備完了です。(写真14)

写真14

オールドカメラでフィルムのモーチフを知る

今回のオールドカメラのNikomat ELはメタルボディで堅牢な作りのカメラでありながら電池やフィルムを交換する時は部品を壊さないように慎重に作業しなければいけない繊細さも持ち合わせています。
さらに撮影するまでに幾つもの過程を経て脇を閉めてシャッターを切るというようなある意味フィルムマニュアルカメラで行うべき作法というものがありそのようなものを総じてフィルムのモーチフと言えます。

デジタル機だと多少雑に扱っても壊れたりしないし電源をオンにすればすぐにシャッターを切れるのでそういったカメラに慣れている人はこの繊細さや作法がもどかしい思いがあるかもしれません。
しかし実際にフィルムマニュアルカメラを使い始めるとこのすべてがどんどん愛おしくなってきてフィルムのモーチフが記憶に残っていきます。
記憶されたフィルムのモチーフを忘れないでデジタル機に反映していくと自ずと写真1枚に込める気持ちが入れが変わっていくと思います。

ヘリテージデザインのニコン Z fとかZ fcなんかでフィルムのモチーフを反映したら半端なく楽しくなりそうですね。


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