アンダスタンド•メイビー(上下)
ネタバレあります。読んでない人は注意
最近島本理生さんにハマっている。
以前『君が降る日』を読み、非常に感動したので(特に野ばらというお話)こちらの作品を手にとった。
…のだが、『君が降る日』との振り幅の大きさに死にかけた。静かな恋愛の話だと思って借りてきちゃったよ。
今まで読んだ小説の中では、後味の悪さや、受けたショックでは1、2位を争うかもしれない作品だった。
でも凄いのは怖かったりグロテスクな話ってよくあるけど、それだけじゃなくて、ずっしりと重たいものを投げてこられたような感じだった。
個人的には主人公の母親との関係が印象的だった。母親も1人の人間であり女だし、親子といえども他人だし、でも親なんだよなと思うと苦しくなった。
あと、友人である紗由ちゃん、四条くんのその外見とかの時間の経過の描かれ方がリアルで、だから余計に救いがなくてゾッとした。田舎でイケメンで人気があった男の子に久しぶりに会うと、なんか普通の男の人になっていた時のショック。
紗由ちゃんはよくある女の子の陰口とか男の子の取り合いだけの嫌な感じじゃなくて根本で歪んでて、でもなんか清々しさもあって1番怖かった。でもこういう子いるんだろうな。
この作品は上.下になっていて、是非どちらも読んでほしいなと思った。
上だけ読むと、主人公の女の子があまりに救いようがなくて辛い、男の人怖い、幽霊とかでてきそう それにしても女の子もちょっと単純じゃないか?とか色々思ってしまっていた。(実際ネットのレビューもあんまり良くなかった。主人公に共感できないとかで。)
でも下を読むことで女の子の過去や親子の確執が明らかになっていき、最終的に納得できて、ラストにも少し救われた、多分。この人が主人公を守ってくれてたんだってのも意外な人だったけど、そこに月日の流れと一緒に生活や人間関係も変わっていく、もう中学生の時のままじゃない主人公がいるんだな、と感じた。
いつまでも過去の傷とか親子の傷から抜け出せてない、自分は可哀想な被害者だって思い続けて過去に生きることもできるけど、それは結局甘えてるのかもなと自分にも少し当てはまる部分があるラストでした。
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