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ロボットが普及するためのポイントは1つ

世の中ロボットと言われるものがたくさんあふれてきているが、自分がいつもお話しているロボットは、いわゆる仕事で使用するロボットのことであり、産業用ロボットや協調型ロボット、あるいはRPAのようなことを指しています。

残念ながら、家電のルンバとかを話題に取り上げているわけではアリませんのでご了承ください。


ロボットが普及するためには何が必要か?

ロボットが普及してきているとニュースで話題に上がることが多くなりましたが、現実に目を向けてみれば普及と言われるレベルが全然違っております。

どういう意味かと言いますと、同じ普及してきているという言葉を使っても、スマホが普及といえば何千万台というレベルが最低レベル。

一方で、ロボットが普及と言っても何百社が導入というそんなレベルなんです。

もう全然桁が違うのですが、もともとの目的がちがうのでそんなもんなんでしょうね。

さて、普及をしていくためには顧客が持つニーズを達成していく必要があります。

そういった観点から言うと、現状のロボットだってニーズに対しては実現できるレベルには到達していると思うんですね。

しかし、現実から言うと普及してきているとは言い難いレベルなんです。

一体全体、この普及してきていると言われる話とのギャップには何が存在しているのでしょうか。

現状における普及してきているという言葉の前には、実は主語によって全然変わってくるのだと思います。


実際に普及しだしてきているところを見ると、設備投資資金を持っている会社とか、自己解決できる技術力を持っている会社とか言う主語ですね。

簡単に言うと、今普及してきているケースは設備投資ができる資金を潤沢に持っており、かつ導入後の課題を自己解決できる技術部隊を保有しているような会社という前提がついています。

そしてそのロボット導入後に、ロボットが立ち上がるまでのロスに耐えられる体力が有る会社ですね。

それ以外の会社は、それを夢見ても現実を振り返るとできないのが実態だと思います。

したがって、現段階で普及させるためには投資を支援する団体と、導入をサポートしていくような技術団体ってことになりますかね。

これらが整っていれば、導入をしてみたいという会社に対するハードルはかなり下がるんではないでしょうか。


普及への課題とは?

さてそれらを実現していくためにはどうなれば良いのでしょうか。

資金については、国の補助とか県の補助など今でも数多く存在しているので、調達しようと思えば調達は可能かと思います。

しかし、サポートしていく技術団体についてはなかなか、一長一短にはいかないでしょうね。

現在、世の中には導入を支援するためのコンサルティングのような仕事が溢れております。

これらのコンサルタントの人は、実際にシステムを作っていくSIerという人へのインプットを行ったりするのですが、いま問題になっているのはこのSIerと言われる人達の人数が圧倒的に少ないということです。

このSIerと言われる人達は、顧客の要求している内容に対してシステムを実現していくのですが、実際に今のSIerはソフト屋さんの割合が多くて、ロボット制御やAIなどという技術は取り扱えるのですが、ものづくりのしくみやプロセスについては、専門家とは言い難いですね。

したがって、素晴らしいシステムを組んでも実際の生産にマッチせずに、思ったパフォーマンスを発揮できなかったり、過剰機能となったりしているんです。

またこれは、導入後に機能改善を実施して生産性を更にアップしていこうと考えても、同じように生産プロセスの本髄をしらないと、メスを入れる場所がどこだか分からないのですね。

このように、技術団体は存在していますが、帯に短し襷に長しという状況のため、バランスが悪い状態になっているんです。

また、悪いことにロボットメーカー自体も優れたロボット性能は追求しますが、それを生産ライン内でどう活かしていくかの解は持っていないんですね。

更に言うと、使いたいなと思っている顧客側にも課題が有り、導入してどのようにしたいのかというビジョンがなかったり、そもそも導入する理由すら分かっていなかったりすることが多いのです。

したがって、普及するための課題は以下の通り。

顧客側

1.現状生産ラインの何が課題か分からない

2.課題をどう解決すればよいか分からない

3.どのように導入すればよいかわからない


ロボットメーカー、SIer側

1.生産ラインプロセスが分からない

2.顧客ニーズを聞き出せない

3.提案ができない


普及させるために着眼する点

課題としてはいくらもありますが、総じて言えることはたった一つになるのではないでしょうか?

それは、顧客が自身の課題点が分からないということに尽きると思います。

なぜならば、課題点、いわゆる改善しなければいけない点がわかっていれば、その内容について深堀りをしていけば、どんな設備が必要になるとか、ロボットならどんな事ができなければいけないとか、概略でも見えてくるからです。

概略すら見えない状態でなんとかしなければ、そう思っていたとしても何からしていいか分からずに、いたずらに時間を消費していってしまうのではないでしょうか。

そう、RPAを含めてロボットを普及させていくためには、まず最初に顧客の何が課題なのかを気づかせるためのコンサルティングが必要だと思います。


これは経営的数値もそうですが、現状の生産現場をよく見て現状分析を行い、何が無駄なのかを明確に指導してあげるサポートが必要だと思います。

そこから見えてくる課題を、仕様書に落とし込みSIerに依頼すればそれにあったシステムを提案してくれますので、あとは時間とコストで決めれば良いことだと思います。

そう、ロボット普及に今一番力を入れなければいけないのはたった一つ。

顧客の課題の見える化ですね。


じぇいかわさきです。生産技術者として35年、今まで培った経験とスキルを元に、ものづくりに関わる世の出来事に対して思ったことをホンネで書いてます。ノウハウやアイデアもありますよ。 また写真も全力で撮っています、気に入った写真があればサポートや感想をぜひお寄せください。