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現代とちょっと距離を置く

こんにちは。梅雨に入ってから大雨が続いたり、急に猛暑になったりと目まぐるしく変わっています。まるで、現代そのモノを表しているようでなんとも言えない気分になります。

さて、ネット社会の中でちょっと距離を置くと言うか、逆らっているような事を最近始めましたので紹介しますね。ナンダそんなことかって思うかもしれませんが、これがまた還暦前のおじさんには非常に楽しいんです。

興味が有る方や、同年代の方は昔を思い出してやってみると良いかもしれませんよ。いながらにして今を忘れタイムスリップする感じです。


超リアルな世界は思い出を麻痺させる

さてと、ほとんどの人が今はネット社会に関わるというか、依存して行きていると思うんです。物を買う、お金を送金する、お金を受け取る、映画を見る、音楽を聴く、全部ネットの中で完了する世界ですよね。

今まで自ら足を運んで対応していた内容が、全てネットさえあれば全てできてしまいます。画期的で合理的って思えば非常に素晴らしいことだと思います。

事実、自分も非常に助かっていますから別に非難するつもりも全くありません。

しかし、いくらネットが発達したとしても、今の技術ではいかんともしがたいことがありますよね。

それは、人が想像することです。

例えば写真です。確かに、Instagramなどが流行っており、スマホのカメラ性能が飛躍的に向上したため、簡単に素晴らしい写真が取れるようになりましたが、それらの写真はいわゆるインスタ映えすると言う目的で撮っている人が多く、記念のメモリーとして撮っている人はそんなに多くないんじゃないかな。

インスタ映えすることを目的に撮っている人と、その瞬間を思い出として撮っている人では明らかに目的が違い、思考回路も全く別だと思うんですよ。

インスタ映えする写真を観て、その時の思い出が脳裏に蘇りますか?まあ旅行に行って、観光名所で撮ったインスタ映えする写真なら多少は思い出すでしょうが、そもそも写真を撮る目的が違っていますからね。

その瞬間の思い出を切り取るつもりで撮っている人の写真は、その写真に対する思い出や物語が込められており、後で観た時にもその時の情景が脳裏に蘇るんです。

しかも、何十年経ってもね。

これはビデオではなかなか起きない事です。写真という物を通して、脳内に記憶の塊が蓄積され、1枚の写真に紐付けられて行くんです。

超リアルな世界で生きて、こういう意味の写真を撮っていないと、思い出と言う事自体麻痺してしまい、あまり気にしなくなるのかもしれません。

つまり、今さえ良ければ良いって言うふうにね。


時間の流れを感じる瞬間

あなたはBCLと言う言葉を知っていますか?自分と同じ世代の人は知っていると思いますが、自分が中学の頃に一世風靡した趣味です。


Broadcasting Listenersの略で、簡単に言えば海外放送を聴くことを目的とした趣味でした。当時、ラジオでラジオ放送を聴くと言うと、AMで国内の各地の放送を聞いたりするのが一般ですね。車のラジオもAMだけでしたから。

このAMはAmplitude Modurationの略称で、振幅変調を意味しています。本来は中波放送と言うことでMW(Medium Wave)と言われています。それに対してBCLは主に短波放送で、海外の放送を聴くことを目的としていました。

今でこそネットが発達し、ネットラジオというものも出だしましたが、当時はそんなものはないですから、世界各国で日本人の移民宛に日本語放送というものをやっていました。

中学で満足に英語も分からなかった頃、この日本語放送を狙って夜な夜なラジオにしがみついていました。

遠くエクアドルから放送される「アンデスの声」や、ラジオ・オーストラリア、西ドイツのドイチェベレなど、遥か彼方からくるラジオ放送に心躍らされたものです。

当然、NHKもラジオ・ジャパンとして海外移民に向け放送を行っており、大晦日には紅白歌合戦が短波帯で聞こえたものです。

リアルな世界で生きていると、ネットラジオもいくら遠くの国でも、時間のズレがなく安定して聞こえてきます。

しかし、実際のラジオを通して聴く信号は、電離層の反射を繰り返して到達するために、信号の大きさが時事刻々と変化して、受信音が大きくなったり小さくなったりします。

その信号を聞いていると、ネットワーク上にあるタイムサーバーが出す規則正しい信号ではなく、まるで地球が息している事をそのまま影響を受けて到来するように感じ、時間の動きを自ら感じることができるのです。


今も聞こえる地球の息遣い

たまたま、片付けをしていたら、当時使っていたラジオが出てきました。知っている人もいるかも知れませんが、SONYから発売されていたスカイセンサー5900と言うラジオです。


当時のラジオは周波数を直読できることなどありませんでしたが、このスカイセンサー5900は10/2KHzc直読が可能と言う謳い文句で一斉を風靡しました。

やく5KHzの周波数まで直読できるということは、待受受信ができるようになり、手探り状態の受信から待受受信への転換期になった代物です。

まあそんな事は良いとして、このラジオまだ現役で十分使えるようです。夕方短波帯に合わせてダイヤルを回していくと、たくさんの海外放送が聞こえます。

すごく懐かしく思い、しばらく聞いていると、最初の放送局はどうやら中国国際放送のようでした。近いから聞こえて当たり前ですが。

その後、別の周波数で見つけたのはラジオ・ニュージーランドでした。時々自局のアナウンスをするので、それを聞き取れればどこの放送局かわかります。

流石に中国の放送局と比べると信号は弱いので、音声が大きくなったり小さくなったりしています。時折、信号の山谷の切り替わり時にザァっという雑音が入るのが、いかにも短波帯放送って感じがします。

そんなの何が面白いんだって思われるかもしれませんが、南半球から飛んでくる電波を受信しているんですよ。しかも、地球の息遣いのように信号が上下しながら、まるで生き物のように電波が飛んでくるんです。

そう頭の中で考えると、すごいと思いませんか。

自分は、この信号の強弱を聞きながら放送局のある国の風景を想像するのが非常に好きでした。

今、一台の古いラジオに電源を灯したら、40年以上も前の感動が蘇ってきました。

こういうラジオを聴きながら、現在と少し距離を置くのも楽しいですよね。


じぇいかわさきです。生産技術者として35年、今まで培った経験とスキルを元に、ものづくりに関わる世の出来事に対して思ったことをホンネで書いてます。ノウハウやアイデアもありますよ。 また写真も全力で撮っています、気に入った写真があればサポートや感想をぜひお寄せください。