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よーく考えよう、名前は大事だよ。~のどごし……ゼロvsSTRONG~

 いまさら書くまでもないことだが、私はお酒が好きである。決して十分とは言えない給料の、さらに少ない自由に使える範囲でまず何を買うかと言えば酒であるし、何か食材を買う時にも飯のおかずよりも酒のつまみになるものを買ってしまう。

 そして買う酒はと言えば大半が安い缶チューハイや発泡酒の類で、たまのビールはぜいたく品、もともと甘い酒が好きではないこと、人工甘味料が苦手であることで選ぶのは宝 焼酎ハイボール ドライや、twitterでのハッシュタグ、ストロングゼロ文学が話題となったシリーズからサントリー -196℃ ストロングゼロ ドライである。


 とはいえ他の酒を全く飲まないわけではなく、日本酒や焼酎、ワインやウイスキー、その他スピリッツ類など様々な酒を手の届く範囲で楽しんでいる。

 今日も今日とてスーパーマーケットのお酒売り場を眺めていると、キリンビールから発売されたある新商品が目についた。それがタイトル画像右側のものである。最近はアルコール度数が高めの缶チューハイやビール類が人気のようで、この「のどごしSTRONG」も、そういった企業戦略のもと発売されたのだろう。

 いささか安直な命名ではあるが、それゆえ分かりやすい。ほかの商品に比べてアルコール度数が高い、つまりは強い酒である。もともとの商品名とあわせて、「のどごし”が”STRONG」でもあるのかもしれない。

 さっそく買って帰ってそのSTRONGさを味わいながら、以前発売された同じ「キリン のどごし」シリーズのことを考えていた。目について当然のごとく買ってきたその名を「のどごしZERO」という。

 命名の狙いはわかる。ビールに多く含まれ風が吹くだけで痛いと言われる痛風の原因となるプリン体や、ダイエットの大敵である糖質を含まず、そして人工甘味料を使用していない。つまり、それぞれが「0」である。それをアピールしたかったのだろう。酒を飲みながら健康を気にするというのもおかしな話ではあるが、何しろ酔っ払いに理論を求めてはいけない。

 誤解されると困るので書いておくが、もちろん、のどごしZEROに何か問題があったり、私が実際に飲んでみたところでは個人的な嗜好の範囲を超えて、極端にまずかったりするわけではない。ただ、名前がまずい。

 なにしろ元の名前が「のどごし」で、そのうえで「ZERO」なのである。「のどごし」も「ZERO」もそれぞれ単体では問題がないのだが、組み合わせると非常にまずいことになる。賢明な皆さんはすでにお気づきであろうが、「のどごしZERO」であるかのように感じてしまわないだろうか。

 商品名の与えるイメージは、我々が考える以上に重要である。1980年に発売されたタカラ(現タカラトミー)の玩具「豆ダッシュ」は「チョロQ」と名を変えた途端に大ヒットした。伊藤園「お~いお茶」は、当初「缶入り煎茶」という商品名であったが売り上げは芳しくなかったそうである。「モイスチャーティシュ」は売り場で埋もれてしまうが「鼻セレブ」と書いてあれば「一体どういうことだ?」と目に留まる。

 何か商品名に限らず名前を付けて世に送り出すからには、その名前が世間に広まり知れ渡ってほしいものである。言うは易し行うは難しである。


1/30 追記

 本日見かけたサッポロの新商品、今度は爽快がゼロだそうだ。

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爽快ゼロ/サッポロビール
http://www.sapporobeer.jp/soukaizero/

 

元の商品名が極(ごく)ZEROということ、のどごしZEROと同じく糖質やプリン体が含まれず、人工甘味料不使用ということで当然の命名ともいえる。元の商品名はZEROの極み、あるいは飲むときの「ゴクゴク」という擬音語を意識したのかもしれない。しかし、あまりにも安易ではないか。ちなみにアルコール度数は2.5%と低く、アルコール度数が高めで良いやすい、コストパフォーマンスの良いRTD(《ready to drink》蓋を開けてすぐにそのまま飲める)飲料が求められている時代の流れに逆行している感じだ。もちろん購入して飲んでみたところ、麦芽ではなくエンドウたんぱくを仕様しており風味、後味が私の好みに合わない。とはいえ同種の商品と比べて特別不味いわけではないが、しかし、やはり物足りない。

キリン「のどごし STRONG」 1週間で2000万本販売http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1801/30/news082.html

 一方で、のどごしSTRONGは販売好調のようである。

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