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初志

久しぶりのnoteですが、4月より新たな挑戦をすることになるので、いずれ振り返ることができるように、大きな幹の部分(初志)を記しておこうと思います。

私事ですが、3月末をもってサイバーエージェントを退職することにしました。
従いまして、この一年半、微力ながら関わらせていただいたFC町田ゼルビアとの歩みも一旦終了となります。
中途半端なところで離脱することへの申し訳ない気持ちと、悔しい気持ちもたくさんありますが、自分で決めたことなので、後悔はしない(予定)です。
むしろ、スタジアムで、今までお世話になった皆様に直接ご挨拶できないことが一番の心残りですが、これからもクラブは前を向いてチャレンジをしていくので、私もそれを応援していきたいです。

一方の私は、、というと、今回の新たなチャレンジを決意するまでに、初志を振り返りました。

「ブレない軸はなんだろう?」と思った際、立ち返る場所として、2018年に参加していたSHCで行った内省がありました。(SHCについては、自己紹介noteでも触れているので、もしよろしければご覧ください。)

今回は、自分へのメモの意味合いが強いですが、ここにその時の内省の一部をそのまま載せたいと思います。

これが、まさに私にとってのスポーツとの距離感です!

SHCの振り返り

SHCの受講を決めた時の自分が今の自分を見たらどう感じるだろうか?「よくやった」なのか、それとも、「もっとできた」なのか。瞬間的に浮かんだのは「もっとできた」ということなのだが、実は「よくやった」とも内心思っている。この両面は確かに内在していて、どちらもある意味正しく、どちらか一方では決してない。
この二つの感覚を持っていることを明示した上で、たくさんの想いや葛藤を抱えながらの4ヶ月のグループワークを振り返ることとする。
私は、当初のアクションプランとして、以下の5つを掲げていた。
① どんな状況に置かれても、最大限に楽しみます!(大前提)
② 現場に最低一度は足を運び、リアルな情報を自分の目で確かめます!
③ スポーツ界の常識・非常識に囚われず、他業界・ビジネスのエッセンスを取り入れた事業計画をつくります!
④ 講座内外の全てのパートで、時間の許す限り議論を促し、本音をぶつけます!
⑤ 独立に向けた準備として、スポーツ界での自分の役割(理念・will/can/should)をワンペーパーにします!
形式的に見れば、どの項目もある程度達成できていたようにも思える。しかし、これはあくまでもアクションプランという手段であり、目的が達成できていなければ、設定も含めて見直す必要があるだろう。

人生の目的

では、目的とは、何か。目的とは、私がSHCに参加した理由そのものである。行動計画上、私は以下のように設定している。「競技スポーツ弱者の私にとっても、人格形成にスポーツが多大なる影響を及ぼしました。そんなスポーツが持つ魅力を最大限に活用し、スポーツ能力に関わらず、人生の豊かさを増やすことに貢献したいと思い、SHCに参加することを決めました。」あくまで、私の中でスポーツは手段であり、「人生の豊かさを増やすことに貢献したい」ということが私の目的である。私自身の人格形成に多大なる影響を与えてくれたものがスポーツだから、スポーツを手段として使いたいのである。他のものでもよければ、他の手段を選ぶだろう。さて、SHCやグループワークを通じて「よくやった」と思える最大の要因は、SHC期間中の思考の連続やグループメンバーをはじめ多くの方との対話のおかげで、このスポーツの価値について、私自身の中ではっきりとした納得解を持つことができたことにある。Jリーグ25周年のワークにも参加させていただき、私自身の25年のタイムトラベラーとして振り返りを行なってみたことも大きかった。

原体験

「なぜ、Jリーグを、サッカーを好きになったのか?」。当たり前になっていたことをもう一度見つめ直すことで見えてきたものが、次のことであった。
「Jリーグ(サッカー)は、私を大人へと成長させてくれた場」であったのだ。
小学校3年生の時にJリーグができた。開幕当初は、TVの中の華やかな世界というイメージだった。そして、95年に初めて生観戦をした。兄と一緒に売り出し初日に朝からチケットぴあに並び、なんとか手に入れたチケット。兄と二人だけで、都内から三ツ沢へ観戦に出かけたことは、私にとって大冒険だった。あの手に汗握る緊張感と感動は、今でも忘れられない(マリノスが延長Vゴールで勝ったということも念のため記しておこう)。中学になると、友達と観戦に行くようになり、高校の時はサポーター団体に所属をして、大人の方と烏龍茶片手にサッカー談義を行うまでになった。観戦に行けない時は、記念グッズを代わりに買ってもらうなど、お金のやりとりも発生し、一気に大人の社会の仲間入りをした気がしたのもこの頃である。高校のサッカー好きの教師ともサッカーを一緒に観に行くなど、普段とは別の立場での関わりを持つことができたのもサッカーのおかげである。
大学に入った後は、サークル活動やデートにも度々利用した。誘い文句は、「楽しいサッカーというコンテンツがあるから見にいこう」ということではなく、「自分のアイデンティティである、大好きなサッカー観戦という世界観をあなたにも知ってほしい」という理由だった。そして、入籍日にも観戦に連れて行ったことは語り草である(開幕戦にも関わらず、雨が降った上に、試合にも負けてしまった。)。きっと、これからは、子供も一緒に家族で楽しむ場となるのであろう。このように、成長の思い出の横にはサッカーがあったのだ。
確かに、サッカーの試合結果に一喜一憂もしたし、優勝した瞬間、逆に、優勝を決められた瞬間など、喜怒哀楽の感情を爆発させることのできるコンテンツとして、サッカーの魅力はとても大きいと思う。けれども、私にとっては、サッカーの試合ではなく、その前後も含めたストーリーこそがスポーツの本質的価値の源泉だと気付いたのだ。

スポーツとの距離感

そのことがわかった以上、私がやりたいことも明確になっていった。きっと、スポーツクラブの事業そのものというよりかは、自分の強みや、やりたいことをより活かせる分野で、スポーツと連携して豊かな生活をつくっていくことがしたい。それが、「x Sports(クロススポーツ)」という考えにもつながっている。とにかく、この気づきは、SHCに参加したことによる大きな収穫であったし、それだけでも本当に参加してよかったと心より感謝している。特に、村井チェアマンと根岸さんのお話からインスピレーションをいただいた。その結果、独立という道を選択し、今はこころのワクワクを育むような教育事業への取り組みを行っている。

ちなみに、「x Sports(クロススポーツ)」とは、スポーツクラブが主体となって地域に何かを起こしていくのではなく、スポーツというものを地域や地域のステークホルダーに活用してもらって、ステークホルダーや地域が成長していくことを目指していこうというもの。

これからやりたいこと

振り返りは上記の通りですが、この時から色々なご縁が重なって、サイバーエージェントでの仕事をすることになり、その結果、FC町田ゼルビアの担当としてスポーツビジネスの中に携わることもできました。このことは本当に感謝しかないです。
一方で、この一年半で強く感じたのが、今はスポーツ業界自体が変革期であり、非常に魅力的な人たちが、熱い気持ちを持って、「スポーツというものの価値を高めていこう」、「社会の活力になろう」と努力していることでした。
一つのクラブに属し、そのクラブの一員として他クラブと切磋琢磨しながら、または、連携しながらその夢を叶えていくことはもちろんできるし、それはそれでとても素晴らしいことなのですが、私自身は、魅力的なクラブ・人たちに横串を通して、まさに「x Sports」として価値を共創していくということをやりたいと思ったのです。
したがって、すでにいくつかのクラブのスポンサーをしており、子ども向けのサービスを行っているところで、実際にビジネスを行う中で、いかにスポーツと連携して価値を創って行けるかというチャレンジしていきたいと思っています。

おまけ

最後になりますが、先ほどの内省の後半部分に書いていることも今後のヒントになるかもしれないのでメモしておこうと思います。こちらは、現地視察に行った際のコメントです。

中間報告後に行った現地視察では、試合中にスタンド観戦をあえてせず(試合もほぼ観ていない)、試合中の飲食店やVIPルームの様子、バックスタンド、ゴール裏の通路で困っている人への声がけ、サッカーに関心のない人の居場所がどこにあるのかのチェックをし、スタッフの方やボランティアの方、地域イベントの主催者へのインタビューを行い、なるべくサッカー以外の視点からのヒントを収集するように努めた。現地視察をする中で、サッカーの試合以外の価値を、特にボランティアの方々が感じていることに感銘を受けた。具体的には、彼らの中にはもともとサッカーが好きできていた方も多いのだが、今は地域やクラブ、ファンの方への貢献が何よりも楽しみだと皆、口を揃えておっしゃっており、そのきっかけをつくっているクラブの役割は非常に重要だと感じた。そのことは、グループの事業計画の骨組みでもある「HOME」へとつながっている。海外旅行から帰って来ると無性に和食が食べたくなる感覚と同じように、なんだか落ち着く私たちのHOMEスタジアムに集まる仕掛けというのは有効な策となるのではないか。開催日数の限られるサッカーだからこそ可能な仕掛けかもしれない。

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