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SOBO【記憶記録】
「ふと、思い出す記憶」を文にする試み。
この試みの動機については、この投稿に書いているので、
よかったら読んでみてください。
前置き 突然脳内に祖母登場
夜。
寝ようとしていたら急に亡くなった祖母の思い出が蘇ってきました。
思い出しながら私は布団の中で、静かにニヤニヤ、身をよじって笑いをこらえながらクスクス…。気づけば、最後には祖母への感謝と「大好きだよ」を心の中で言っていました。数分しか経っていないのに、まるで映画を1本見たような、感情の高まり。
自分でも、なにがなんなのかよくわからないけど、興奮して寝られないので、寝るのはやめて文にしてみました。
◇
1. クックククク
祖父母宅にて。親族が集まって、宴会をしていた。
「クッククク、クッククク・・・」
静かにご飯を食べているかと思っていた祖母が、急にこんな声を出しながら一人でクスクス笑い始める。
周りの家族の会話の中で、祖母が面白いと思うポイントがあって、笑い始めるんだけど、周りにいる者はどこがおもしろくて笑っているのか見当がつかない。
祖母がこの笑いのツボに入ったら「クッククク、クッククック・・・」の笑いは止まらない。
母「ばあさん、なにで笑ってるの?」
祖母「ックククク、あの・・・ハッハッハ・・・アーハハハハハハハハハ!」
と、説明しようとするが、再び笑いのツボにハマる祖母。涙を流しながら身をよじって笑う祖母を見て、母も可笑しくなってきて、笑いが止まらなくなる。
私もその状況が可笑しくて、最後は狂ったように笑い転げていた。
追記:2023年から15年くらい前の話。私は祖母の「止まらない笑い」には2回くらい遭遇したと思う。祖父母が亡くなって、親族が集まってワイワイ宴会をする機会もなくなってしまった。すこしさみしい。
◇
2. カルタ
祖母と私(小4)の2人でカルタをすることになる。
祖母は脳卒中が原因で左半身が不自由だ。なので、椅子に座って、杖を使って床に置いているカルタを取る。
詠み手は私。詠んだあと、カルタを探す。
私は、神経衰弱とかカルタは疲れるからあまり好きではない。
絶対に勝ちたいという性分でもない。
以前、友達の家でカルタをしたとき、闘争心むき出しの友人に引いた。戦意バリバリではなかった私は、自分はあんな姿を人目に出さないで生きたいと思った。
年頃的にも人からの目を気にし始める時期でもあり、「勝ちにいくことは恥ずかしい。相手にあわせてゲームはやるもんだ」と思っていた。
祖母とのカルタは序盤から、小4の私の方が沢山カルタを取り、祖母はほとんど取れないという状況に。
私は「なんかおばあちゃんに悪いな」という気持ちになった。こうなることは対戦前から薄々感じていた。
勝負は力が互角なほど燃えるけど、そうでないなら燃えない。さらに私は祖母にカルタで勝ちたいとも思っていないのに、勝ちそうだなんて。
はやく終わらないかなと思った。
カルタを取らせてあげようと変な小芝居や手加減をするのも嫌だ。だけど、このままだと私の圧倒的勝利に終わってしまう。
そこで私はズルを始める。声に出して詠む前に、先に目で読んでおいて、正解のカルタを探すというもの。
はじめはさりげなく始めたが、次第に口にすら 出さずニヤニヤしながらカルタを取りに行く。
祖母「なにぃ、詠んでないやないの、もぅ〜」
祖母は私のズルに対して呆れるように少し笑っていた。
対戦の最後まで、あからさまなズルで通したのか、ズルも交えつつだったのかは記憶が定かではないが、「なんか圧倒的に私が強くて居心地が悪い」と思った気持ちはずっと覚えている。
私があからさまなズルをすることによって、私の勝利は確かな勝利ではなくなる。
真剣勝負で祖母を負かしたくはないから、ズルをしたんだと思う。たぶん。
祖母は、ズルをせず対戦してほしかったんじゃないかと、振り返って後悔する時もある。
「どうしたほうが良かったのかな」と大人になっても、ふと考えることがある。
もう祖母には会えない。
今振り返ると、もう少し祖母と向き合ってお話したら良かったと後悔する。引っ込み思案で人付き合いが苦手だったとはいえ。
祖母に限らず、過去の誰との関係においても、私は向き合ってお話をしたことは限りなく少ないように思う。
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