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本要約〜リーマン・ショックの真実〜

こんにちは。Jammyです。今回は近年の世界情勢を紐解いた一冊をご紹介します。

この本の結論から言うと「アメリカは没落する」ということです。それはどういうことなのか。

まずはアメリカについて語られるときに必ず出てくる「双子の赤字」の話です。双子の赤字とは貿易赤字と財政赤字が併存している状態のことです。

アメリカの貿易赤字は1981年以来、一貫して増え続けてきました。2008年には6959億円まで膨れ上がっています。消費激減などにより増減しますが構造的問題は変わってません。

財政赤字も軍事費などの影響もありニクソン初年度と1998〜2001年を除いて50年以上も財政赤字が続いているのです。

普通の国ならとっくに破綻しています。

ではなぜアメリカは破産しないのか。
その理由は2つあります。

1.ドルが還流しているから。
2.ドルは基軸通であるから。

1つ目のドルを還流させるというのは「貿易収支の赤字を資本収支の黒字で補う」ということです。
例えば、高金利です。お金は低金利の国から高金利の国に流れます。レーガン大統領は高金利政策を取り、世界から資金をかき集めます。要は「ドルを買わせる」ということです。

今アメリカの財政を支えているのは日本と中国です。日本はアメリカの天領だから仕方ありませんが、中国は貿易黒字で貯まったドルを米国債にしており、「米国債は外交カード(脅し)に使えるよね)などと考えているに違いないでしょう。

もう1つの方法が株です。投資先の魅力としてアメリカがいるのは誰もが知ることでしょう。アメリカ株を買うということはドルを買うということです。
主にこの2つがありますが他にも方法は多くあります。

次に2つ目の「基軸通貨」の話です。

世界最大の貿易赤字国アメリカのドルはなかなか下がりません。その理由はドルが基軸通貨だからです。

基軸通貨とは、国際間の資本・貿易取引において幅広く使われる決済通貨のことです。つまり、世界通過、国際通貨ということです。
1.アメリカと他国の貿易決済通貨
2.他国と他国の貿易決済通貨
3.外貨準備
4.世界中の民間人がドルを保有している

などの理由からアメリカは貿易赤字にも関わらずドルの需要は下がらないのです。

またアメリカだけが他国と違い、外国からものを買うために外貨を稼ぐ必要はなく、刷るだけでいいのです。

ただこの状況を続けるためにはドルを強くしておく必要があります。ドル安により基軸通貨としての地位から転げ落ちればアメリカはただの貿易赤字国になりかねません。

つまり、アメリカはドルの強さを保つことが最重要ということです。

この状況を踏まえ、反米国は何を考えるでしょうか。そうです。いかにドルを基軸通貨でなくすことを考えるはずです。そのためには他国の貿易でドル以外の通貨を使ったり、米国債を大量に購入し続け、後で売り浴びせる必要があるのです。

これに対し、アメリカは軍事力を使ってでもドル体制を守るでしょう。日本人は平和ボケをしているかもしれませんが、実際に第二次世界大戦後アメリカは、中国内戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、第一次アフガン戦争、湾岸戦争、ユーゴ空爆、第二次アフガン戦争、イラク戦争など多くの紛争に介入してます。

ただ近年、このドル体制を脅かす事柄が多く起きているのです。

ドル体制の危機

基軸通貨ドルを脅かす存在のひとつは1999年に誕生した欧州通貨統合、つまり「ユーロ」です。

しかし流石のアメリカも欧州を攻撃するわけにはいきません。そこで別の国を攻撃することにしました。それが「イラク」です。

当時、イラクのフセイン大統領は「石油代金として今後一切ドルを受け取らない」と宣言しました。裏から手を回したのは基軸通貨をユーロにしたい、フランスのシラク大統領です。

アメリカはイラクは大量破壊兵器を持っているというありもしない理由でイラクを攻撃しました。ドル体制防衛のために、アメリカは手段を選ばないのです。

資源争奪戦

世界では年々、石油の需要が増加しています。クリーンエネルギーの時代が来るといわれていますがデータを見るとそんなに甘くはありません。世界での人口は年々増加し、アメリカや中国、インドなどの石油消費量も年々増加しています。
アメリカは産油国ですが消費量が多いため、輸入量が増加しています。
石油に恵まれた地域の中でも中東の存在感は他を圧倒しています。アメリカは中東への軍事介入を恐れません。しかし、現在、中東産油国は徐々に輸出相手を多角化し、「アメリカに買ってもらわなくても大丈夫だよ」となりつつあります。
石油消費量1位のアメリカと2位の中国はペルシャ湾なしでは経済成長はできないので両国の紛争が起こる可能性も否定できません。

覇権国家アメリカが現在直面している問題は次の3つです。

1.双子の赤字
2.石油が枯渇すること
3.中国の台頭

覇権国家であり続けたいアメリカはドル体制を死守し、中東を支配したいはずです。
そして中国を民主化し、ドル圏離脱を許さない方向に持っていきたいのです。以上がアメリカが抱えている問題の解決策として出てくる解答です。

アメリカから見たロシア

アメリカら見たロシアは今どんな位置にいるのか。
アメリカ世界戦略のキーワードである「ドル体制」、「石油・ガス」、「中国」です。ロシアは世界有数の石油・ガス大国であるので非常に重要な国になります。また旧ソ連にも豊富な資源があるのでそこも抑えたいのです。

ではロシアから見たアメリカは過去から冷戦と言われるだけあり、もちろん恨みや憎みの感情は多いです。またアメリカに次いで仮想敵として中国がいます。ロシアは「アメリカを恨み、中国に恐れている」のです。そしてロシアが望むのはアメリカと中国が共に没落することです。
イギリスとドイツ語戦って没落し、アメリカとソ連に覇権が移動したように。

中国の戦略

中国の戦略は

1.ドル体制の崩壊
2.中東、ロシア、カスピの石油・ガスを確保する
3.経済力と軍事力を強化し続ける

です。

中国にとってもロシアは最重要です。武器輸入の90%を占めており、かつアメリカに中東を取られた場合、陸で繋がっているロシアからしか原油を輸入できなくなります。

今ではロシアは中国にガスパイプラインを引き、莫大な量の原油を輸出しています。この様子からも反米で一体化している様子が伺えます。

そして注目されているのが上海協力機構(SCO)です。創設時の加盟国は中国、ロシア、中央アジア4国です。中国にとってSCOは石油・ガスか豊富な国への影響力を確保するのに必要なものです。中国とロシアはSCOを「多極化推進の中心的組織」に育て上げました。これは別の言葉で言えば「米一極支配を崩壊させる」ということです。

また中国は近年、外国準備高で日本を抜き、世界一位に躍り出たのです。これはいざとなったらドルを売るぞ!米国債を売るぞ!と脅しをかけることもできます。


そして、リーマン・ショック後、全く別の時代が始まりました。ユーロは22カ国で使用され、外貨準備にも広く利用されるようになりました。現金流通でも2006年時点でドルを抜きました。また、中東は「湾岸共通通貨の導入」を目指しています。

また中国は「ドルにかわる準備通過」として国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を提案しています。SDRとは固定為替相場制のときにIMGによって創出されたもので金ドル体制の時に世界の金の流通量では世界の発展を支えるには不十分とされた時に新しい国際準備資産として作られたものです。SDRはもともと世界通貨になるべくして作られたものでした。今まで基軸通貨としての使われなかった理由はドルが安定していたからです。しかしアメリカが弱っている今、中国はSDRを基軸通貨にしたいのです。

この提案が実現するかはともかく、世界はすでに「アメリカ後の新世界秩序模索」が始まっているのです。

2008年でアメリカ一極時代は終わり、2009年からは米中二極時代に突入しています。

また2015年裏歴史的大事件が起きます。

それは「AIIB事件」です。
AIIBとはアジアインフラ投資銀行のことで中国が支配する国際金融機関です。アメリカは新米諸国、同盟国郡に「AIIBには参加するな」と要求をしていました。しかし2015年3月、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、オーストリア、イスラエル、韓国など親米国家郡が、ことごとくAIIBへの参加を決めてしまったのです。

この行動から世界では少しずつ中国の影響力がアメリカを勝ってきていることに気がつき始めています。

今後の世界動向にも注目です。

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