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母、お気に入りの「ノートルダム」

刺繍仲間だった(故)小柳太美子さんが、銀座松屋での展示会に出品していたのを見て、母は自分も刺したくなった。
ボロボロになった「図案」を彼女から譲ってもらって、それを基に自分で「図案」を作り直し、糸の色だけは、少し変えて母は刺した。30年以上前の作品。

小柳太美子さんは「雄鶏刺しゅう研究グループ」を引退後、ハンガリー刺繍を専門に独学で学ばれ、五反田にある「日本ハンガリー友好協会」の「刺繍教室」で講師をされてた方だ。母は、公私ともにお付き合いがあった。

基本的なステッチは、
「ロングアンドショート」と「アウトライン」を使用

母は、半世紀に亘り、今は無き手芸出版社「雄鶏社」が主催した刺繍研究グループで、欧風刺繍の作品作りをしてきた。このグループは、定期的に銀座・松屋デパートで展示会を行い、作品を販売していた。その当時の「時代」や「場所柄」もあり、出品された作品は殆ど売れた。

だから、たぶん小柳さんが出品した「ノートルダム」は、この時、誰かが購入され、今も、どこかにあるのかもしれない。

一方、母の「ノートルダム」は、自宅に飾って、楽しんでいた。

やはり、よく見ると、とても丁寧に刺してある。まるで、機械でやった刺繍のようだ。

「どこかで展示したの?」と尋ねると、売れてしまうのが嫌で「近所の公民館で出展しただけ」とのことだった。

母は、とにかくこの作品がお気に入りだ。

「母の刺繍展」で、展示することにした2つの理由

お気に入りのこの作品を、「4月の刺繍展」で飾る事にした。

今回の刺繍展には、Instagramに掲載した作品は、飾ろうと思っている。

以前noteにも記事を書いた「黄色の花」も飾る予定だ。
ところがこの作品の「箱」が、気が付いたらなくなっていた。「箱」が無いと、作品を運ぶのがキツイので、だいたい同じ大きさの「ノートルダム」の額縁の「箱」を代用しようと思った。多分、入るだろう~と思っていた。しかし思ったより「黄色の花」の額縁が大きく、「ノートルダム」の箱では入らなかったのだ。仕方なく「別な作品の箱」を代用する事にした。

そうなると「ノートルダム」の箱が残る。「箱」があるんだったら「ギャラリーに運べるな」と思ったのだ。

さらに、この作品の額縁は、草土舎の方によると、額職人さんが作ったもので、その職人さんが退職され、後継者もいないため、この額縁の在庫は、あと一つだけで「もう手に入りません」と言われた。

そんなに貴重なら〜~と思い、飾る事にした。

残念ながら「本物のノートルダム」は、焼失してしまったけれど、「母のノートルダム」は、今も母の手元にある。
大変美しい作品なので、多くの方にみて頂けたら嬉しいです!


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