見出し画像

危ない「池」があるなら、子どもを守るための「フェンス」を作れ!

この言葉を言ったのは、国際NGO「ECPAT(エクパット)の創立メンバー、ロン・オグレディ氏だ。

「危ない池」というのは、「子どもの商業的搾取」つまり、「子ども買春」や「子どもポルノ」のこと。

「子どもの性目的の人身売買」は、日本では、身近には感じないけれど、グローバルイシューには含まれる、世界的な深刻な問題だ。


ずいぶん前、私は、このNGOの活動に関わっていた。

昨年、久しぶりに、当時、一緒に活動をしていた方から連絡を頂いた。

「シンポジウムがあるので、来ませんか~」とお誘いを頂いた。

何気なく、行ってみようと、出かけた。
会場の「国連大学」も、かなり久しぶりだった。

若い頃、さんざん歩いた道を、この歳で歩いてみると、いかに体力が落ちたかが、誠に残念ではありますが、実感した…

この活動から離れて、20年ぐらいになる。


シンポジウムで話を聞き、自分が、若かりし日のことを思い出し、この記事を書いています。



NGOの活動に関わった理由~


私が、この活動に関わろうと思った「スタート」は、ロン・オグレディ氏のタイトルにある「この言葉」に凝縮されている。

※気さくな、優しい物腰の彼に、親愛の意を込めて、以下「ロンさん」と呼ばせて頂きます。


当時、ロンさんとは、いろんな場所で、お会いする機会があった。
彼は、よくこんな話をした。

 子ども達が、過ごす場所に、「危ない池」があって、そこに「子ども」が落ちてしまった。
 その「子ども」を助けに行って、介抱してあげて、家に帰してあげた。
ところが、それをしている間に、「別の子ども」が、また、その「池」に落ちてしまった。
だったら、子どもが、「池」に落ちないように、今度は、池の周りに「フェンス」を作るでしょ~?
その「フェンス」が、「法律」なんです。

ECPATの活動のメインは、「性暴力」や「性搾取」から、子どもを守るための「法制化」や「法改正」に向けた「ロビー活動」だ。

だから「ロビー活動」をする対象は、「政府」や「国会議員」だ。

日本国内においても、1999年に施行された「児童買春・児童ポルノ等禁止法」の成立に、尽力した「ECPAT/ストップ子ども買春の会」は、その功績を称えられ、同年に「加藤シヅエ賞」を受賞している。

加藤シヅエは1920年代から女性解放運動と産児調節運動といわれる、男女差別をなくす社会運動家のパイオニアとして活躍し、太平洋戦争終結後は国会議員として国政で女性運動、男女差別撤廃運動などを推進した。また外交や環境問題にも力を注いだ。国際家族計画連盟(IPPEF)の設立にも携わ世界的な運動にまで発展した。
この加藤の業績を称え、またその精神が長く維持されるようにすると共に、働く女性の育成を目指すことを念頭に、1996年に創設された。

「加藤シヅエ賞」Wikipediaより
(途中略)

私がやっていた事は、1997年から、法制化が実現した1999年の3年、「通常国会」の期間、集めた署名を持参し、立法化の要請行動のため、「議員会館」に足を運ぶことだった。

(※要請行動というと、かっこいいけど、実際には、一人ひとり議員に頭を下げていく感じ~)

そこが、なかなか、一般的に理解されにくい。

だから、「会員集め」や、「寄付集め」も、苦労が多かった。


ロンさんが、立ち上げたムーブメントは、1991年にキャンペーンとして始まり、タイ・バンコクに国際事務局を置き、現在も、120以上の国と地域で、活動が行われている。


もし、「児童買春・児童ポルノ等禁止法」が、無かったら~


よく「警察24時」のようなテレビ番組で、犯罪の現場や、犯人が逮捕されるシーンが、テレビで放映される。

この番組の中で「児童買春・児童ポルノ等禁止法」違反として、犯人が逮捕されるシーンを観る度に、もし、「この法律が無かったら」この人は、逮捕もされず、その人が、子どもに対してやっている卑劣な行為は「放置されるんだろうな~」と思う。

だから、この法律があって、本当に良かったと、私は、心から思っている。

それでも、有名大手の進学塾「四谷大塚」から、逮捕者が出たのは、記憶に新しい。

塾だけでなく、学校関係者からも、逮捕者は出ている。

もし、この法律が無かったら、彼らは逮捕もされず、仮に、この行為が表ざたになったとしても、「被害者である子ども」が、周りの大人から「なんで、そんなことしちゃったの~!」と責められただろう。

1990年代後期「援助交際」と言われた、大人による「子ども買春」は、圧倒的に、子どもが非難されていた。

「援助」したいのなら、お金だけ渡せばいいのに、大人が、そこに「性行為」を求める。そして、一方的に「子どもが非難される」という現状が、この法律ができるまでは、あったのだ。


もっと、「高いフェンス」が必要だ~!


この法律があるから、子どもに対する大人の卑劣な行為は、「処罰対象」となっているけれど、「処罰」が軽すぎると、結局、再犯となってしまう。

ヤクザの人が、犯罪を犯して刑務所に入り、出所すると逆に「箔」が付いて、「娑婆に戻る」のと、似たようなことになってしまう。

このぐらいだったら、逮捕はされるけど、「大丈夫だよ~」みたいな・・・

その結果、軽んじられるのは、子どもの「人権」であり、「尊厳」なのだ。

日本国内においても、「子どもに対する性犯罪」の深刻さが、ずいぶん認識されてきている。

「児童買春・児童ポルノ等禁止法」は、施行から、25年が経ち、これまでも法改正は行われてきたはずだ。

しかし、法律上の刑罰は、被害である「子どもが受けたダメージ」に比べ、まだまだ生ぬるい感じがする。


みんなで「スープ」を作ろう!


各々の手元にある「材料」を持ち寄って、

みんなで、ECPATスープを作ろう!

世界中から集まったECPATメンバーを前に、ロンさんが、呼びかけたことがあった。

一人ひとりに、いったい何ができるのか・・・


ロンさんが言っていた「スープ」は、きっと、もっと美味しくなるはず~

だから、みんなが「スープ」を美味しくするために集い、「危ない池」に、子どもが落ちないように「フェンス」を作ろう!

せっかく、この社会に「生まれてきた子ども達」が、安心して、成長していかれる社会を作ることは、大人としての「責務」だと思っている。

最後まで、お読みくださってありがとうございます(*^-^*)


よろしければサポートお願いします! 頂いたサポートは、「刺繍図書館」と「浪江・子どもプロジェクト」の運営に使わせて頂きます! サポート頂けたら、大変助かります。