24.奇想天外な病院生活 〜ネックレスの謎とは…〜
入院患者も色々な人がいる。
私が入院していた頃は地下アイドル、YouTuber(当時は違うけど)、俳優さん、歌手(昔に)など多種多様な方が勢揃いしていた。
ある日、入院したばかりの20代半ばと思える男の子が話しかけてきた。首にはなんだかイケていないネックレスを掛けていた。おしゃれにしては大きめなサイズで、何だか野暮ったい。入院患者がファッションで毎日つけているにしては…と気になった。
彼は若者にしてはやけに落ち着いていて、はつらつした感じがない。食事が終わってお茶をしていると「一緒にいいですか?」と私達のテーブルへやって来る。私はHSP気質のところがあるからか、その怪しさを感じ取り観察していた。
そんなある日
「無料で見られる映画があるので休日に外出しませんか?」と誘ってきた。
母親と同じくらいの歳のおばちゃんを誘ってくる時点で怪し過ぎる。まだまだ一人では外出はできないと断ったが、それでもタクシーを出すとか、無料で飲める素敵なカフェがあるからとか、どこを取っても怪しさ満載だ。
そんな中、同世代の男の子が一緒に出掛けた。そして帰るや否や
「あいつヤバいよ‼︎」と興奮気味に話した。
映画は何とも怪しいアニメを観せられたそうだ。
それは
宗教の勧誘
だったのだ‼︎
えー!! こんな所で‼︎
いい鴨が集まっているとはいえ、まさか入院患者そのものがやっているとは。私もいい鴨だと思われていたのだろう。後から知ったがあのイケてないネックレスは信仰の証らしい。
看護師さんから「めぐちゃん、大丈夫? 〇〇君しつこくない?」と言われた。もうすでに病院の方でも気づき監視されていたようだ。
その数日後、突然彼がいなくなった。
病院からの注意を聞かない彼は〝強制退院〟させられたのだ。
彼は入院当初から、リハビリが必要ないくらい全てを習得していた。入院してきたのも勧誘目的だったのか…。そうは思いたくないが、もしそうだとすれば何でもありの宗教というものがちょっと怖くなった。
宗教も心の拠り所になることもあるし、全てが悪いとは思わないが、入院中までそのことに囚われている彼が可哀想にも思えた。
私は〝八百万の神〟で十分だ。
25話目へ続く…
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