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18.コード•ブルー‼︎コード•ブルー‼︎

入り口の自動ドアが開くと、陽子線治療室内ではクラシック音楽が流れ、その後ろから機械音が聞こえてくる。それが何とも宇宙船を想像させる。

「うわっ!何!このカッコいいの!」

それに加えて技師の方達が抜群にいい!先進医療だからなのか海外帰りの若者がゾロっといた。すらっとした容姿に英語がペラペラ。これがまたカッコいい!英語が話せるというだけでクラッときてしまう世代なので、病人なのに気分が一気に上がった!

陽子線の治療は痛くも痒くもない。本当にこれで腫瘍が消えるのかと思うくらいだ。患部が赤くなっている人もいたが、私は患部の感覚は術後からなくなっていたし、背中を見ることもできないので全く気にならなかった。

しかし治療と共に下肢の機能は完全に失われていった。術後から足は一度も動かなかったので、これ以上落ち込むことはなかったが、最後の引導を渡された気分だった。

そんなある日

「コードブルー!コードブルー!」

のアナウンスが病棟に響き渡った。ナースステーションでは青色のランプが点滅している。

あっ!それ!ドラマで観たことがあるー。
看護師さんが慌ただしく動き始めた。

ちょうどヘリポートが病棟の真横にあり、窓越しに見ることができた。もちろんこんな機会を見逃す訳にはいかない。野次馬のごとく暇人軍団は窓にへばりついた。間もなくしてドクターヘリがやって来た。まさしくドラマで観たヘリコプターそのもの。

緊張感が漂う中、ドクターヘリの扉が開いた。ドキドキ!ドキドキ!期待している訳ではないが、もちろん山ぴーもガッキーも降りて来るはずはない。ドラマさながらの様子でヘリのお尻?が開き、ストレッチャーが運び出された。

へぇ〜。お尻が開くんだぁ〜。
と感心しながらも興奮気味の私。看護師さん達はテキパキと動きドクターヘリはあっという間に飛び立っていった。さすが緊急救命!

後から看護師さんに聞いたのだが、コードブルーとは隠語のようなもので、他にコードレッド(火災)、ブラック(危険)…など色によってそれぞれの意味があると教えてもらいちょっと勉強になった。

そんな事があった夜、近くで花火大会が開催されていた。病院でも最上階から花火を見ることができた。

来年も花火を見ることができるのかなぁと少々感傷的になりながら、命と引き換えに機能を失った足をみつめ、命について考えさせられる一日になった。

19話目へ続く…↓


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