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2.初めての整形外科

子供の頃からあまり丈夫ではなかったが、大きな怪我をすることもなく育った私は、いい大人になって初めて整形外科という所へ行くことになった。

病院はたくさんの患者さんで混み合っていた。初診で予約がないので、後から来た患者さんに次から次へと順番を抜かされていく。その間、今までに感じたことのないこの痛みを何て表現すれば良いのか、先生にどう伝えようか頭の中で繰り返し考えていた。

そして2時間後、やっと順番が回って来た。

診察室に入り待合室でひたすら考えたことを伝えた。2時間考えて出た言葉は「背中がツキンと痛いです」とこのありさま。なんて表現力のないことか。これが2時間考えた言葉かと語彙のなさに自分が情けなくなる。

考えてみれば、学生の頃から国語が大嫌いで、作文が苦手だった。と言いながらnoteを書いているのもどうかと思うが、就職試験のときも作文のない会社を条件に探した。そうして採用が決まった会社は出版社。何故そこ⁉︎と自分で自分にツッコミを入れたくなる。

その後レントゲン撮影をして診察室に戻った。PCに映し出された私の背骨に異常はなかった。脳梗塞を疑われたのか、目を閉じて手の上げ下ろしをしたり、足踏みをしたりもした。結局のところ診断がつかないのか、湿布薬をもらい経過観察であっさり終わった。

先生が異常はないと言うのだから、大したことはないだろうと少しほっとした。しかし今までに感じたことのないこの背中の痛みへの不安は続いた。


3話目へ続く…

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