9.久しぶりの一人暮らし⁉︎
病室は個室だった。オレンジを基調とした部屋で、洒落たソファーに観葉植物が置かれていた。シャワーにトイレもあるので、これでベッドが違えば、女子の一人暮らしの部屋のようだ。結婚して以来一人になるのは久しぶりのことで、若い頃の一人暮らしを思い出しちょっと浮かれていた。
病室に入ると直ぐにパジャマ(病衣)が渡された。早速着替えると私の適応能力が高いのか、病衣の魔法か分からないが、一気に病人感が増した。
それまで浮かれていた気分も一気に幻滅⤵︎。もちろん見た目だけではなく、気持ちも滅入ってくるのだから不思議だ。風邪をひいて熱を測った途端に具合が悪くなる、正しく〝あれ〟。
それでもまだ体はピンピンしていたので退屈になる。退屈しのぎにスマホをいじってみるが、Wi-Fiなどというものは飛んでいない。スマホのギガだけでは、いつ足りなくなるか心もとなくて思うようには使えなかった。インターネットが使いたいときは、フリーWi-Fiがあるラウンジへ行くしかなかった。
そこでラウンジへ行くのが面倒なときは、スマホのテレビ機能を使ってテレビを観ていた。今となっては懐かしいワンセグだ。
ちなみに病室にテレビはあったがプリペードカードを購入するタイプ。
今どきテレビを観るのに
お金が掛かる⁉︎
いつの時代よ‼︎
ビジネスホテルだって今は無料でしょ!
とツッコミを入れたくなるが、大きな病院になればなるほど、何でこうも古臭いのか…。
「先進国日本!テレビとWi-Fiくらい無料で提供できる病院であることを切に願う‼︎」
とプラカードを上げたい気分だ。
結局お金を気にしながら観るのはストレスが掛かるし、つけっぱなしにするとあっという間にお札がひらひら〜と飛んで行く。そこで本当に観たい番組はテレビで、ただつけっぱなしにする時はスマホでと使い分けてなんとか退屈しのぎをしていた。
そう言えば最近のスマホにワンセグ(テレビ機能)が無くなったのは何故なのだろう?最近はテレビ離れも進んでいるので不要になったのか?はたまたNHKの受信料の問題でもあるのか?
入院患者の最高の娯楽が見放題で使えるあの機能は最高だった。何気に便利だったので無くなって残念でならない。
そう思うのはテレビっ子世代の私だけかな…。
10話目へ続く…
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