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きみが芽吹くとき

たねのきみは まっさきに
ねっこを ぐーんと ふかく のばす
きみは まだ地上からは みえないけれど
みえないところで のびている
ちからづよく すすんでいる

樹木の芽吹きは 野菜とちがって
じかんを たっぷり じっくり そそぐ
長い長い 月日のあとで
ついに きみが 芽吹くとき!
まるで 稲妻が 走りぬけるように
どん!と 太鼓がひびくように
胸は トクン!と おおきく たかなる

はじめて その ちいさなつよい 新芽にふれて
植木鉢のしたを のぞいたとき
きみの そのたくましさと
透明な きみの意志に
ふかく胸を うたれたよ

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たねのきみは ひとりぽっちのようでいて
ひとりだなんて ありえない
よりそう なん億もの 微生物
おひさまの あたたかさ
雨や月の 子守唄
きらきらそそぐ 夜空の星
みみずの寝息に もぐらのくしゃみ
小鳥たちの おしゃべりと
いろんな根っこの 笑い声
そこは ほんとうに にぎやかな せかい

何ヶ月 何年も 土のなかで
きみは なかなか芽吹けなくて
もどかしく 感じることもあるだろう
それでもきみは 着実に すすんでいる

太陽と雨雲が かわりばんこに やってきて
季節が めぐっていくかぎり
きみは 一歩一歩 すすんでいく
このちきゅうが まわるかぎり
きみは たしかに すすむんだ

そしてそれは とてもしぜんに やってくる
きみにとって いちばんぴったりな 時期をえらんで
それは きみに やってくる

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どの芽吹きも ひとつひとつ ちがっていて
新芽は みんな ちがう顔

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やがてそのまま 大地に還る たねもある
それでも 無駄なたねは ひとつもない
それは 微生物たちに とりこまれ 
また このおおきな流れと営みの うつくしい一部となる

さんさんとふりそそぐ おひさまをあびながら
芽吹いた ちいさな たねたちは
わたしといっしょに みあげるだろう
じゆうな雲と はてしない あおぞらを
たとえそれが ほんの ひとときだとしても

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そこには いつも無限の よろこびがある





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