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横浜FCラッピングバスの作り方

 首位・神戸撃破という最高の滑り出しで始まった横浜FCの8月。バスコレ「HAMABLUE号」の発売予定月でもあります。

 先日の横浜FCラッピングバスの記事はおかげさまで、たくさんのご反響をいただいております。本当にありがとうございます。

 今回は、そこで予告していた工作モデラー向けの製作記事。はてさて、お楽しみいただけるでしょうか。

横浜市営バス「横浜熱闘倶楽部」コラボラッピング

 一連の作品群のなかで、実はこの子だけ過去作。実車が走っている2015年に製作したもの。当時すでに別途ブログでも紹介しているので簡単に。

 加工のベースは「都営バスいすゞエルガ5台セットA」のA-T185号車(PKG-LV234L2)。車輪はナットの数を実物に合わせるため、同セットのK-X297号車から流用。屋上のCNGタンクは第7弾の東武バスから転用した。

①左側面の全体を見る。このバス唯一の横浜FC要素であるラッピングは自作デカールで再現。 ②③行先表示は「37・直行三ツ沢グランド」。後部は鏡像印刷したシールを貼って表現。 ④行先表示のある窓は透明プラ板で自作。 ⑤「CNG」マークの白色は同じスペルの市販インレタを自作デカールの下地にすることで再現。

 側面の行先表示器があるのは乗務員扉直後で、種車である都営バスと横浜市営バスの相違点。この位置の窓を透明プラ板で自作することで再現した。行先表示はもちろん「37・直行三ツ沢グランド」の自作シールだ。

 一通りの加工を終えたら、横浜市営バスの標準色に塗装。クリーム色はグリーンマックス鉄道カラーのクリーム4号、青帯は旧ガンダムカラー・ブルー44(マスターグレードVガンダム用のブルー)。いずれも手近にあった近似色でやや明るめ、結果的に快晴の空の下のイメージとなった。

 作品の一番の見所となるラッピング。自作のデカールはレーザープリンタによる印刷。インクジェットで発生する色ニジミがこの写真表現との相性が悪く、思い切ってプリンタを新規に購入するキッカケともなった。ラッピングを貼る場所は塗装の際にマスキングして、下地の白のままとして実物と同じ発色するようにしている。

横浜FCチームバス「HAMABLUE号」

 種車は「東京湾アクアライン高速バスセットA」のJRバス関東・日野セレガ。刃物を使う加工はなく、IPAで元の塗装を剥がしたらHAMABLUE一色に染め上げるだけ。
 色味はMr.カラー基準でいうと、34番・スカイブルーと323番・ライトブルーの中間ぐらい。

 残り3作品のラッピングは全て、白の特注インレタ→自作デカールの貼り重ねを基本としている(フルカラーインレタは費用対効果を考えて断念)。

①HAMABLUE号のサイドビュー。鮮やかな青一色の車体だからこそ、車体後部のルーパーのスミ入れが際立つ。②前面のラッピング類は形・配置次第で作品の印象が大きく変わる。③後部のライトケースはメタリックレッド仕上げ。④右側面のラッピング。車体4か所のフリ丸はすべてポーズが異なる。

 HAMABLUE号で一番苦労したのが前面まわり。「MARUDAI」ロゴはワイパーの凸凹と重なる位置なので、インレタ・デカールとも真っ直ぐに貼るのが難しかった。窓ガラス自体もJRマークを消す都合で再塗装している。

 市販品とカブってしまうなら、いっそフジミの1/32プラモデルでもう一度作ってみたい気持ちもあるのだけど、デカくなると省略できない部分も増えるから地獄絵図が容易に想像できてしまうのである。

相鉄バス・横浜FCラッピング

 ベースとしたのは「相鉄バスオリジナルセット」の三菱ふそうエアロスター・ワンステップ。2014年発売の事業者限定品だが、本稿の執筆時点でも入手可能。前面まわりが標準塗装のままなので、作品も元の塗装を剥がさずに塗り重ねる形で製作している。

 相鉄バス塗装のままとなっている前面は、ICカード案内など時代設定の違う表現を現在のものに変更。以後の作業はこの部分をマスキングした状態で進めることになる。

①HAMABLUEをベースとしながら、後半部分はフラッグっぽい配色としたデザイン。②行先表示は製品にもともと付属している「浜7・三ツ沢グランド」のシールを貼付け。③右側面には大きな「YOKOHAMA FC」ロゴが輝く。④上から見ると斜めストライプの位置が左右非対称なのがわかる。⑤サブカラーの濃いブルーに彩られた後端部。

 どことなく’90年代テイストを感じる斜めストライプのベースカラーは塗装表現。ライトブルーは「HAMABLUE号」と同じ調色品、白はMr.カラーGX1番・クールホワイト、濃いブルーはMr.カラー80番・コバルトブルーをベースに微量の白などを混ぜている。

 ロゴ・エンブレム類は「HAMABLUE号」と同様の特注インレタ・自作デカールを中心としているが、この相鉄バスの場合は平面が多いので、デカールと同じデータを印刷した自作シールも併用している。
 シールの素材はA-oneのフィルムラベルシール・ツヤ消し・ホワイト(レーザープリンタ用:品番28430)。ラベル厚みが0.05mmで、この縮尺のモデルに対しても違和感のない薄さ。最近の作品で多用しているマテリアルである。

初代チームバス

 最後にご紹介する初代チームバスは第24弾の三菱ふそうエアロバス・MS7がベース。本体は大阪空港交通で、窓ガラスを千葉交通から流用するという2個イチ構成。ドア形状も考慮すると、ズバリ同じ形の製品がなかったのである。

①大きなフェニックスが「復活」を思わせる初代チームバスのサイドビュー。②前面には表示器の上に別体のヘッドマークを装備。③後面にもフェニックスの姿。「冷房車」のアピールが時代を感じさせる。④側面デザインは基本的に左右対称。⑤本作品の通風グリル類はデカール表現。⑥後部バンパー上のライトは鉄道模型用部品で再現。⑦左側面の最後部の窓は元の塗装を剥がして、磨きなおしてからフェニックスマークを貼っている。

 窓ガラスは左後部の「成田空港 直通高速バス」の表示がある黒い部分をシンナーで拭き取り、コンパウンドで透明になるまで磨き込み。最後に黒縁を書き込んでいる。

 実車は後部にはライトが増設されており、本作では鉄道模型用の部品(銀河モデルN-020:テールライト)をレンズごと銀色に塗装したものでこれを表現。

 車体面積のほとんどを占めるペールブルーはMr.カラーGX01・クールホワイト+同34番・スカイブルー+ガンダムカラーUG08・MSパープルの20:1:1。「YOKOHAMA FC」ロゴの周りは白く塗り分けられているので要注意。

 濃淡の青帯は塗装ではなく、手元に余っていた仙石線用の帯インレタ(SBモデルズ製)を使用。帯の太さが足りない所は複数枚貼り重ねている。表面保護のクリアーを吹いた上で、他の作品同様に特注インレタ・デカールを貼りつけ。

 青帯部分には当時のスポンサーだった星槎学園グループの学校・幼稚園名が並んでいる(その中の星槎国際高等学校は市川暉記選手の母校)。これも自作デカールによる表現であるが、資料不足で内容違いがあるかもしれないので、悪しからず。

おわりに

 以上、横浜FCラッピングバスの工作内容を振り返ってみた。旧作・横浜市営バスを除く3作品は約半年で100時間強の製作時間を費やしており、書き切れてない内容も多々あるが、そこは「言葉よりも作品を見てほしい」ってコトで。
 また別の横浜FCラッピングバスを作れる機会を期待しつつ、本日はこれまで。それでは。

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