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フェアプレー

かつて勤務していた店舗でのこと。
ある土曜日の朝、店舗に出勤してみると30台程あるお客様駐車場が開店前だというのに満車だった。
思いかえせば先週の土曜日も開店前の無断駐車が15台程止まっていた。
駅から離れた店舗で近隣に特別な施設もないその店舗で無断駐車が多いのは、それまで近隣の学校で運動会がある時ぐらいだった。それでも満車ということはなかった。
店舗のPCで調べてみると、すぐ近くの中学校でサッカー大会の予選が行われていた。
予選大会はさらに2週間続く予定だった。
なるほど、遠方から応援で来た父兄が駐車場が見つからず止めてしまったらしい。
車の中を1台ずつ覗くとどの車にも、ユニフォームやサッカーボール等が見受けられる。

書き入れ時の土曜日である。無断駐車は売上に大きく影響する。
アルバイトの女性に無断駐車に警告の張り紙を指示した。彼女は少し考えたあと、「黄色い紙」を用意すると文言を書いて車のフロントガラスに一枚ずつ張った。

「お父様、お母様へ。
スポーツだけではなく、社会のルールも教えてあげてくださいね。本当はレッドカードですよ。」

昼過ぎに何組かの父兄はスマートフォンで張り紙の写真を撮影して帰って行った。

SNSの時代である。
幸い翌週は2、3台しか無断駐車はなかった。

ちなみに当日、張り紙を見て謝罪に来た父兄は30台中 2名だけだった。

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