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短歌抜粋(2022年6月)

短歌や詩を音楽に合わせて朗読するライブをたまにしています。
先日そのポエトリーリーディングにて朗読した自作の短歌をこちらにも掲載します。

https://twitter.com/jitsuzon/status/1533270799456829440


前髪を重く瞼に乗せたままかきあげないで夜を見ている


真夜中に酔ってあの子に電話した「OK, Google.僕を許して」


花や雲 道に零れたピアスさえあの日の君に擬態している


携帯の画面に落ちた水滴が虹の色して天気を汚す


ズルをして夜の3時を飛ばしたら君との10時が増えたりしないか


太陽が膨張するのを待ってるの私ができるわずかな自殺


てんとう虫が突然に膝に着き理由も聞かず払ってしまった


スカートが君の口より雄弁に午後の体育を憂いで揺れる


公園に秋の風が吹いている子どもたちはエゴサーチをする


高校の三年間の窓際で君を愛したエイリアンです


いつもより多く光が揺れている雨は止んだと言われたはずだ


コンビニのシュークリームを幸せといつまで思ってしまうんだろう


大勢でモンスターを殴る切るし皮を剥いで夜空に浮かべる


アパートの真上で人が死ぬように真下の僕は生きているのだ


自転車で空を踏み込みこぼれ出る「ごめんなさい」の雲を連ねる


風に舞うホームページを追いかけて君が育てたトマトを見つける


「おなかに赤ちゃんがいます」大声で叫ぶ男のおなかにいるもの


日曜の家族が集う公園で音量上げるナンバーガール


パーカーの紐を限界まで締めて差した光をあなたと呼ぼう


水滴がガラスを流れ混じり合う雨が止むまでひとつになるまで


幸福が何なのかすらわからずに急行電車に乗ってしまった




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