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「ザ・ノンフィクション婚活地獄」46連続でフラれた29歳男。お見合い中にいきなりブチ切れる34歳女。みんなアレするだけですぐに結婚できるのに【中村淳彦の名前のないコラム】

いまどきの婚活現場がいくらなんでも地獄すぎる!と放送直後から話題となっている「ザ・ノンフィクション 結婚したい彼と彼女の場合~令和の婚活漂流記2024~」(フジテレビ)。今回は2月4日に放送された「前編」を中村淳彦が解説します。

婚活苦戦するのは「傾聴」できていないから

 ノンフィクションライターの中村淳彦です。「ザ・ノンフィクション 結婚したい彼と彼女の場合~令和の婚活漂流記2024~」という番組が放送されていました。前編を見ただけですが、なかなかエグイ内容だったので語っていきます。
 植草美幸さんという婚活本を10冊くらい出されている有名な方の結婚相談所が舞台になっています。植草美幸さんは東洋経済オンラインのパーティーにいらっしゃったんですけど、ちょっと声かけづらかったですね。自分も婚活なんとかやってますみたいなこと言っても、あなた関係ないでしょ、素人がなにやってんの、みたいな対応になる可能性が少しあるかなと思ったから挨拶できませんでした。

東京・青山の人気結婚相談所マリーミー代表、植草美幸さん。
画像は予告編YOUTUBEより(FUJITV GLOBAL CHANNEL)

 結論から言うと、みんながみんな傾聴できてないから、めちゃめちゃ婚活苦戦していました。お見合いの場面が、もう寒すぎる。こんなキツイことをよくやるなって、寒々しい婚活が描かれていて、この番組見て本当に僕の『中年婚活』は正しいことを言っていると再確認したというか。登場人物たちは『中年婚活』に書いてあることができていないので大苦戦を強いられるわけです。
 主役は29歳の男子校出身のコミュ障までいかないけど、マザコンのコドオジ候補みたいな青年がでてくる。それなりにイケメンだし、若くて素材がいいのになんていうかエネルギーがない。あと猫背で喋り方もつまんないことしか聞かないし、女性慣れしてないから喋れないし、コミュニケーション能力がないのでフラれまくる。もったいない。ちゃんと堂々として傾聴すれば、あっという間に決まるようなスペック持っているけど、まったくダメなわけです。この人が46回連続でフラれて、仮交際にいけないというありえないことやっているわけです。

 29歳という一番いい年齢、頑張んなきゃいけないところだけど、やっぱりコドオジがまずい。29歳だから、まだコドオジとは言えないけど、母親と同居していることが悪い方向に向いていて、それを女性に見抜かれて、まったく相手にされてないっていう状況なのですね。
 さすがにフラれ続けたことでコドオジはまずいって気づいて、改善しようとしているけど、またまた話だしますが、いつも僕が話をしている僕の1歳下の50歳の婚活中の熟練コドオジは、29歳でこんな酷い目にあっているのに、50歳の彼は「コドオジしていることは素晴らしい」とまだ言い張っている。普通の人間だったらフラれたら気づくと思うけど、彼はこういう悲劇をいくら見ても、世の中の女性全員がコドオジってバカにしても、まったく気づかなくてコドオジの正当性みたいなものを、まだわめき散らしているんですね。もう本当にね、オヤジはダメですね。みなさんもオヤジは救いがないので相手のするのをやめた方がいいと思います。だから主役の彼が29歳で気づいたことは本当に素晴らしい。

相手を否定しない、余計なことを言わないだけでいい

 で、撮影のためかわからないけど、植草さんの会社のすごく狭いテーブルでお見合いをさせられている。場所が良くない。これだと傾聴しづらい。距離が近すぎるし、テーブルが小さすぎるし、正面で向かい合っているし、この場所でお見合いはキツイなと見ていました。やっぱり、ほぼほぼのお見合いがうまくいってない。もうめちゃめちゃ寒い。ちょっと自分だったら考えられないから、なんでこんな寒々しい会話をお互いするのかな?みたいな感じが続くわけです。
 寒々しい理由はどうでもいいことを聞いている。「好きな映画は?」とか、「好きな言葉はなんですか?」とか。婚活とは関係ない雑談みたいなことを応酬して、そんな話をしてもお互いにまったく面白くないから、話盛り上がらないまま辛いわけです。辛くなってしまうと、盛り返すのが難しいから、それで1時間が経ってしまって終わりっていうね。まあ、会話ができてないっていうことなんですよね。

 で、メインシーンは29歳青年のお見合いで34歳事務員がでてきた場面。34歳事務員はヤバイ女でした。この変な女に29歳青年が余計なこと言ったわけですね。34歳事務員は聞き流せばいいのにブチ切れて、なんかお見合い中にわーわー撒き散らした。なんなの、これ?みたいな、大変キツイ場面でした。余計なこととはこの変な女が熱心に取り組んでいるプログラムの勉強を、青年が苦し紛れに否定的な返答をしてしまったことでした。
 29歳青年が相手を否定したのはまずいけど、こんなことで激怒する女の方が明らかに悪い。会話が盛り上がらないときに、否定とか比較の要素を返答してしまうのは本当にありがち。普通だったら相手の気分を害してムッとしてしまって終わる程度のことだけど、この34歳事務員はブチ切れてわめき散らした。女の質が悪いとこういう惨状になるわけです。そもそも、29歳青年が傾聴できてない。
 こういう会話ができないおかしな異性を相手するとき、するべきことは傾聴一択。理由は傾聴しないと余計なこと言って破綻、という結末になるから。もう1人、55歳のオヤジが出てくるけど、このオヤジもまったく傾聴しないで、自分のこと話し倒すような典型的なジジイで、資産家でスペックがいいのにフラれまくっているわけですね。

最重要なのは「相手に興味を持つこと」

 この29歳青年と55歳オヤジにアドバイスしていきますが、29歳青年は外見も悪くないし、普通に働いて真面目。コミュニケーションとコドオジ以外、なにも問題はないわけです。まず、家を出てお母さんと距離置いたほうがいい。一人暮らしができたら、猫背を治すこと。運動してもうちょっと胸を張らないと厳しいでしょう。メガネもダメですね。目つきが悪いからコンタクトにする。目つきが悪いだけでなく、なんかマザコン目つきなんですね。僕も最底辺業界で何人か見たことあるけど、マザコン育ちで内向的で危なくなってしまうような人の目つきをしている。これを治さないと、どれだけ婚活しても結婚までいかないと思いますね。
 その2つを克服して、傾聴すればうまくいくはず。傾聴はどうするかと言うと、この場所は良くないけど、最重要なことは相手に興味を持つこと。相手に興味を持てば、こんな寒々しい会話にならない。「何の映画が好きなんですか?」とか、どうでもいいことではなく、もうちょっと肝心なこと、婚活の相談所に通っているっていう2人の共通点があるから、「どうして、いつから婚活?」とか、結婚とか恋愛絡みの話から始める。質問をしたら相手はなにかしら、こうこうこうだから結婚したいという話になる。それを聞いているだけでいい。どういう生活がしたいとか、いくらでも話は広がるし。お互いの共通項である婚活をフックにして、相手が話しやすそうなことをどんどん質問していけばいいわけです。遠慮があったり、慣れてなかったり、緊張してしまって質問すら出せないのが、この29歳青年の敗因というか、うまくいかないことなんですね。

婚活に苦戦する29歳男性、進藤さん。
画像は予告編YOUTUBEより(FUJITV GLOBAL CHANNEL)

 変な女に怒られていたけど、相手の言葉を否定してはいけないわけです。だから余計なこと言わないために傾聴する。相手が言っていることは全部受け入れて、相手がおかしなこと言っているなと思っても、そんなことは言わない。おかしなこともすべて共感して、受け入れて、そうですねそうですねって聞けばいい。相手から1時間話を聞き終わった後、この人は嫌だと思ったら断ればいいだけの話。早々に話がなくなって寒々しすぎる場が耐えられなくなって、さっきも言った否定の要素とか、比較の要素みたいなことを出してしまうから、相手が怒ってしまうわけですね。
 で、この怒ってしまった34歳事務員、これどうしようもないですね。大体、婚活しているのに1日10時間勉強しているとか、やっていることが中途半端。ヒステリーだし、短気にもほどがあるし、こういうやつは婚活では即切りする。でも、お見合いの場になってしまったら1時間は話しなきゃいけないから、心の中で半端な奴だな、おかしな女だなと思っていても、1時間で終わることなので相手に興味を持って、相手に気持ちよく喋らせて、その場が終わってからあの人はナシって断ればいいだけのことなのです。
 ああいう女を切り崩すのも、傾聴です。共感しながらね、そうなんだそうなんだ、そうだよね、頑張っているね、みたいなこと言っていれば、相手はだんだんだんだん心開いて喋りまくりますよ。僕がちょっとイメージすると喋りまくるイメージはつくので、いけると思う。そうやって、お見合いを乗り切ればいいんですね。傾聴ですね。傾聴です。

55歳オヤジの自分語りなんて誰も聞きたくないんです

 で、55歳のオヤジは自分の話しまくって断られまくっている。スペックが高いからお見合いまで行く。でも、書類審査は通るんだけれども、お見合いを切り抜けてもデートしたときに、なぜか1回とか2回で断られてしまうのは、自分の話をしまくっているからですね。オヤジは自分の話はしちゃダメ。オヤジの話なんて誰も聞きたくないんですね。それわかんないのかな? そこを矯正するのは簡単なんだけど、どうしても自分の話をしてしまってダメになるっていうことなんですね。
 55歳のオヤジは自分がもうダメなんだ、オヤジなんだ、もうどうしようもないんだ、醜いんだ、気持ち悪いんだっていう自覚が必要。オヤジなんかもう口開く権利がないと強く思って、とにかく相手に興味を持って話を聞く。しかも相手の女性が40代後半とか50代前半なんだから、もう人生いろいろあるから話すことはたくさんある。そんな女性の話を傾聴してればいいだけなのに、余計なことを言って断られている。55歳オヤジも、自分の話をやめて傾聴しましょうということを強く言っておきます。

 傾聴は簡単ですよ。質問投げて相手が言ってることを聞いて、共感して、質問投げて、相手が言っていること聞いて、共感して、へーそうなんだとか言ってれば傾聴になる。カラダ鍛えるのはいいけど、傾聴を3日くらい誰かに習って相当覚悟していったらね、すぐうまくいくと思いますよ。という、感想ですね。
 婚活厳しいですね。大変厳しいなと思いました。「ザ・ノンフィクション 結婚したい彼と彼女の場合 ~令和の婚活漂流記2024~」はニコニコチャンネル+「中村淳彦の40歳から婚活ちゃんねる」2月15日生配信で解説します。

ニコニコチャンネル+「中村淳彦の40歳から婚活ちゃんねる」
「ザ・ノンフィクション」解説回は2月15日生放送予定!
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<著者プロフィール>
中村淳彦(なかむら・あつひこ)
ノンフィクションライター。無名AV女優インタビュー『名前のない女たち』シリーズ、『東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか』、『悪魔の傾聴』などヒット作多数。花房観音との共著『ルポ池袋 アンダーワールド』(大洋図書)が絶賛発売中。Voicy「名前のない女たちの話」ほぼ毎日放送中。ニコニコチャンネルプラス「中村淳彦の40歳からの婚活ちゃんねる」が2月より配信スタート。