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結婚生活が破綻しても妻と離婚できない真面目でモテない50代おじさんが若い女子とのパパ活にハマって地獄、という話【中村淳彦の名前のないコラム】

結婚にはメリットもデメリットもありますが、破綻した夫婦ほど悲惨なものはありません。結婚生活がうまくいかず家庭内での居場所をなくした夫は、妻を憎み、パパ活に若い女子を求めて……。これから結婚を考える人はぜひご一読を。

一番身近な人と憎み合う不幸

 ノンフィクションライターの中村淳彦です。
 ちょっと前の話になっちゃうけど、パパ活の取材をしました。交際クラブ、愛人紹介所の大手の人がめちゃめちゃ協力してくれて、パパ活のパパに20人ぐらい一気に話聞いたわけです。
 パパ活のパパは基本的に既婚者の中小企業経営者が多い。俺と同い年ぐらいのアラフィフの人が多かったけど、男子校育ちとか優等生とか真面目な人が6割ぐらい、4割ぐらいが遊び人みたいなチャラ系の人だった。チャラ系の人はお金があって、時間もあって、お金と時間ができたら家族サービスするのではなく、若い子買うでしょみたいなノリなので利害が一致しているから、まあ丸く収まっていた。

 思うところがあったのは、6割の真面目な人。真面目な人はモテないから、この人はモテなさそうだなっていうのが6割の中の半分くらい。だから20人会ったなかで記憶にあるのが数名。女性に対する誠実さというか、パパ活女子に対して真面目に向き合っているから、この人大丈夫かなと思って心配しながら聞いていたけど、おそらくパパ活女子に根こそぎ奪われて大変なことになるだろうな、みたいな感じだったわけです。
 本当に恋愛とか相手に対してめちゃめちゃ真面目で、特に覚えているのが男子校から超一流大学出身で、俺と同い年か50代半ばくらいの男性。バブル世代だから一流企業に総合職で入って、一般職の女子と25歳〜28歳ぐらいで社内恋愛して社内結婚したらしい。社会の流れがその時期に付き合った女性と結婚します、って流れがあって、その時代は男性も女性もそうだった。
 社内恋愛して女性は寿退社、少なくとも子供が生まれたら退社する。そういう昭和的平成初期的な、一般的な家庭でもちろん上手くいっている人たちもまあ5割6割ぐらいいるかもしれないけど、半分、4割3割ぐらいはなんか信じられないような感じで夫婦関係が破綻している。専業主婦の女性は頭がおかしくなりがちみたいですね。家父長制や男尊女卑で不満を頭から抑え込めばいいけど、その男性はまともで優しいから妻が歯向かって争いになって破綻したらしい。

 その男性はもうとにかく妻の顔を思い出しただけでもう顔が歪んで気持ち悪くなっちゃう状態だった。妻のことを嫌っていて、パパ活取材だけど、家庭の話、妻の話聞くと突然顔が歪み尽くして、もう「あの女は」みたいな感じになった。それで「あの女は」みたいなことになっても、財産とか子どもとかの関係で離婚できないという話だった。お互い憎しみあっているから、離婚したらこいつから財産奪ってやろうみたいな、そういう策略があるみたいで、その男性は妻の腹黒さを警戒していましたね。そういうものがあって離婚したら、こいつの好き放題やられてしまうみたいな末期的な恨み合いになっているわけです。縁があって結婚して、一番身近な人を徹底的に憎んでいるから本当に不幸なわけですね。
 その悲惨な境遇は本人たちもよくわかっていて、妻の方はオヤジが余っているから、そういうどうしようもない旦那ほっといて浮気みたいなことしまくっているらしい。でも、男性の方は真面目でモテないから、もう参り尽くしているんですね。そこで、もう俺はこのまま人生終わるのかみたいなことに悩みに悩んで、不幸が熟し切ったとき、パパ活のパパが誕生してしまうわけです。

愛情はお金では買えません

 夫婦の破綻がパパ活のパパの物語のベースにある。パパには大企業のサラリーマンもいるけど、中小企業の創業社長とか二代目で会社が順調になったら時間とお金に余裕ができて、妻と憎しみ合っているからパパ活のパパやります、みたいな感じになる。
 ほとんどの人は妻の話をしたとき、顔が歪む。で、一番覚えているその真面目な男性だけど、その人はなんか誠実さを売りにしていた。パパ活やって、女性たちに感謝して誠意を持って付き合います、みたいなことを真顔で言っていた。とにかく女性たちに感謝をしていて、パパ活女子への謝礼はピン札が基本、毎回みずほ銀行でピン札に換金していると言っていた。でも女子は、まあロクなものじゃない。お金のことしか頭にないし、男性がそういう気持ちでパパ活やっていることは1ミリも興味ない。お金だけで飯食ったらいくらとか、肉体関係になったらいくらとか、定期の関係になったら後は楽に稼げるな、みたいなことしか考えていないわけです。

 パパ活は男性と女性の意識が違いすぎる。本当にまったく意識が違う。男女関係になっても、パパは肉体関係だけ、エロだけ求めるんだったら風俗行けばいいだけの話だけど、寂しい男性が求めているのはエロじゃなくて愛情なわけです。妻とは違う若い女子と恋愛したいとパパ活のパパになるのだけど、女子たちはそんな感じだから、もう関係は成り立ってない。簡単に言えば、愛情はお金で買えないわけです。この事実は間違いないですが、真面目な男性たちのほとんどはその現実を理解していないですね。
 彼らがパパ活を超えて頂き女子被害に遭うのは時間の問題で、ちょっと考え直した方がいいんじゃないですか? ヤバいですよ、と伝えたかったけど、愛人紹介所からの紹介なので言えない。そこでその男性に「あなた、狙う女性の年齢上げた方がいいと思いますよ」ってことを遠まわしにアドバイスしたけど、「いや、20代で。おばさんは妻でコリゴリ、あんなのは人間じゃない」みたいなことを言っていた。あーそうなんだと、被害も時間の問題だなって帰ってきたわけですね。

 その男性は偏差値めちゃめちゃ高い男子校から超一流大学に進学、超一流企業に入って、そこで一般職で入ってきた短大卒かなんかの妻と知り合って結婚した。もう心の底の底の底から、なんであんなやつと結婚したの? 俺の人生、こんなんでいいのか? あのババアのせいで俺の人生はボロボロ、なんであいつは! みたいな。そんな絶望的な自問自答をずっとして、妻を本当に恨み尽くしていた。妻って言葉聞いただけで顔に怒気みたいなのがぶわーって盛りあがった。やばい表情になって、妻への恨みを言いまくっていた。妻のことは思い出したくもない、話したくもない、あんな奴がなんで生きているのかわからない、みたいな感じでした。めちゃめちゃな破綻。だったら離婚すればいいのにと思うけど、離婚をしたらあの野郎は俺の財産を奪ってみたいなことで、あいつだけの得には絶対にさせないみたいな感じなんですね。恨みすぎて八方塞りなわけです。
 その人は元々女性のことが苦手で、男子校育ちは俺も男子校だからわかるけど、今のアラフィフや50代男性に女性が苦手な人を膨大に生みだしてしまった。そういう人は大学時代にようやく女性と会話できるぐらい能力が身について、それで社会人になって初めて恋愛になる。たまたま24歳〜27歳ぐらいで付き合ってしまった女性と結婚、憎しみあうみたいな流れなんですね。そういう熟年カップルはたくさんいるみたいで、そういう人がパパ活のパパになっているわけです。

 そういう男性はババアは悪、若い女子は純粋みたいな勘違いがあるから、悪魔のような頂き女子にやられるのは時間の問題と思う。女子たちはものすごいスーパー演技シナリオを組んで、あのオヤジにもう本当に同情引く、本当に君はかわいそうだみたいになる演技をし尽くして、100万200万300万ぐらいボーンと出させるでしょう。その男性は年収800万円って言っていて、その年収はパパ活のパパにしては最低年収の部類なので全財産奪われるみたいなことになりかねない。
 それが妻にばれて本当にゴミのようなジジイってことで、生きていることを否定されるくらい罵り尽くされて、もうなんか本当の地獄の地獄の地獄みたいな状況になってるんじゃないすかね。
 離婚できてればいいけど、離婚したらしたら妻に好き放題やられるでしょう。だからパパ活する余裕があるとき、20代半ばとかじゃなくて、せいぜい3歳下4歳下ぐらいの40代後半ぐらいの女性を狙えばいいのにと思うが、その男性は絶対にババアはダメだ、妻と同じだって、25歳下の女子の尻を追いまわしているわけです。

 今日はパパ活のパパについて話してみました。女性慣れしていない真面目な人が多いというのは意外だったんじゃないでしょうか。

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<著者プロフィール>
中村淳彦(なかむら・あつひこ)
ノンフィクションライター。無名AV女優インタビュー『名前のない女たち』シリーズ、『東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか』、『悪魔の傾聴』などヒット作多数。花房観音との共著『ルポ池袋 アンダーワールド』(大洋図書)が絶賛発売中。Voicy「名前のない女たちの話」ほぼ毎日放送中。ニコニコチャンネルプラス「中村淳彦の40歳からの婚活ちゃんねる」が2月より配信スタート。