見出し画像

日々是暴食★トラウマめし【第9食】エジプトのビールとピラミッドのケンタッキー

 エジプト、キューバ、チベットの3カ所は死ぬまでに行きたいと思っていた。チベット以外はもう行けたのであとはポタラ宮でお参りできれば死んでもいいかも。

 そんなわけでエジプト、正月に行ったらすげー寒い。格安航空券で深夜着だったので空港のロビーで朝を待っていたらすっかり風邪をひいてしまった。

早朝のバスターミナル
空港から市内への移動は安価なバスを利用

 暖をとりたかったので唯一空いていたコーヒーショップでカフェオレを購入。ズズズっと飲んで落ち着いた。しかしあとで気付いたがお釣りが少なくないか? エジプトの飲食店で困ったのがこれ。値段はあって無いようなもので、レシートはまず出ない。全部の店がプチぼったなので気をつけないといけないのがエジプト流で、旅行中これは本当にまいった。

 ちなみに空港で両替した際に、大きな札しかくれないことにまず困った。例えば日本でいう1万円札で千円の食品を購入しようとすると「釣りがない」と購入を拒否されるのだ。これしかないと粘って頼むと、「じゃあ5千円しか釣りはない」と言われ4千円損する羽目になる。個人商店に限らず全部こんな調子なので、かなり面食らった。

 本当に釣りがないのかどうかは確かめようがない。実はあるんじゃないかと踏んでいるのだが…いちいち交渉することになるので、かなりめんどくさい。しかしエジプト玄人になると、そういった交渉がまたこの国の魅力で、慣れてくると怒鳴り合いながら買い物して仲良くなるんだそうだ。ともかく先へ進もう。

アラブ世界でも戒律の緩いエジプトは、女性もおしゃれ
俺を撮れというオジサン。カメラを持っているとこういう人が本当に多い
食堂にいたかわい子ちゃん

 カイロはとにかく混沌としていた。街並みもそうだし、住んでいる人のキャラもすごい。世界3大「うざい国」はインド、エジプト、モロッコと言われるがよく分かる。会う人会う人、西成のおっちゃんを100倍うざくしたくらいの濃さである。俺、あんたの知り合いだっけ? と思うくらいガンガン話しかけてくる。大体そういうやつは詐欺師と決まっているのだが、エジプトはそうでもないからややこしい。ナチュラルに異常な馴れ馴れしさを持った国民性なんだろう。

エジプト考古学博物館。今年新しい大博物館がオープン予定

 バスターミナルについて、エジプト考古学博物館の行き方をオジサンに尋ねたら「お前日本人か!」とはじまって「ここでジャスミン革命が起きたんだぜ。俺も参加したんだ、ガハハ!」と30分くらいの独演会が始まった。英語わからんけど、なんとなくそんなこと言ってるのがわかるから不思議だ。

紀元前製の展示物がそこら中に置かれている
ミイラもいっぱい

 オジサンに連れてきてもらった博物館は見所たっぷりだった。そこらへんに無造作にドーンと置いてある像が紀元前数千年ものなのがヤバい。ミイラもたくさんありすぎて頭がバグる。ツタンカーメンの本物も見れてお腹いっぱいである。

ナイル川をバスで渡る
カイロのゴミ処理は大きな公害問題に
新鮮な果物や野菜を売る露天商
とにかくフレンドリー。言い方変えると馴れ馴れしいエジプト人たち
スイーツはとことん甘い
ヨーグルトテイストのスイーツ
冬だけどジェラードを頬張る少年

 寒さと埃っぽさと人のうざさで疲れた。風邪で熱っぽい。ここは逆転の発想でビールを飲んで血流をよくする作戦に出てみた。イスラムの国であるにもかかわらず、エジプトでは国産ビールが作られていて酒屋もある。ただしムスリムの多い同国でおおっぴらに外でグビグビいくのはマナー違反だ。チキン弁当とビールを買ってホテルで寝酒とすることにした。

ビールとチキン弁当。外で酒は飲めないので、買ってきてホテルで

 STELLA、SAKARA、LUXORとメジャーそうなのを500ミリ缶でとりあえず買ってみる。南国っぽい軽いサラサラ飲みやすい系ではなく、しっかりとコクがあってわりと重め。

 種類によってスーパードライと一番搾りのような味の違いがあるらしいが、正直覚えていない。なぜなら熱が上がって次の日の昼過ぎまでダウンしていたから。バカなのか。

安宿でも朝食付き。エジプトは紅茶文化だ
薬局で購入した風邪薬。これは効いた!

 頑張ってシャワーを浴びた午後3時、ガン寝したおかげでなんとなく昨日より調子は良くなっていた。タクシーに乗ってギザのピラミッドへ向かう。数日滞在するとエジプトのタクの運ちゃんにもいろんなパターンがいるのがわかった。道は激混みでルール無視なのでガンガン車同士ぶつかったりこすったりするのは日常茶飯事。それにいちいち対応してブチギレるオヤジ、冷静でぶつけられても無視する無口なオヤジ、ひたすら喋りかけてきて自分の知り合いの店に連れてこうとするオヤジ、色々だ。この日は無口なオヤジにあたってありがたい。

ピラミッドの入り口

 着いた。ピラミッドでかい…。子供の頃から「世界ふしぎ発見!」で吉村教授が解説してたのがここだ。こりゃ想像よりでかい、マジで4500年前にどうやってこれ作ったんだろ? 周りをうろうろ歩いてみたけど全然わからん。それにしてもデカすぎる。実際に見た感想は「デカい」それしかなかった。この頂上に着物で登った小池百合子ってどんだけ目立ちたがり屋なんだよ。

四角にカットされた石が積み重ねられているだけなのに、いまだその工法はわかず
現在は登頂禁止
風化はしているが積み方は建設当時のまま
ピラミッドの野良猫
おーいラクダにのれよ!としつこいオジサン

 坂を下ってスフィンクスの横を通ると、その目の前に世界一有名なケンタッキーとピザハットがある。よし、今日のメシはここだ。日本にはないメニューの焼き鳥丼みたいなやつとコールスローをむしゃり。甘い照り焼きみたいなソースがかかった米とチキンがうまい。

スフィンクスを横目に見ながら。その先には街が広がる
スフィンクスからわずか数十メートルにピザハットとKFCが
たぶんエジプトオリジナルメニューの丼物。甘めの味つけ

 なんか綺麗な店なんだけどスフィンクスに見られてる気がして落ち着かないな。そういえば古代エジプトの労働者たちはビールを飲みながらピラミッドを建設していたそうじゃないか。数千年経っても、飲まなきゃ仕事なんかやってらんねえとこは変わんねえよな!

やっぱデカい

続く

【写真・文】バーガー菊池
岩手県出身。花巻東高校卒。 実話ナックルズ編集部在籍の編集者。不良からエロまで何でもやります精神の何でも屋。注射を打ちながら毎晩暴飲暴食を繰り返すハゲ巨漢。

https://twitter.com/kikuchi_BURGER