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酒井透

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(さかい・とおる) 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイールやパ…
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#廃墟

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】東京都杉並区の『商船三井・上井草社宅』

 廃墟マニアや建築構造物マニア、ゴスロリファッションマニア、写真愛好家などから親しまれていた「商船三井・上井草社宅」(東京都杉並区)が取り壊されていたことが分かった。  この建築物は、 1970年代に建てられたものと見られ、2018年まで住居として使われていた。閉鎖されてからは、敷地内に入ることはできなかったが、独特の外観がフォトジェニックなことから注目を浴びていた。  何と言ってもその特徴は、住宅公団などで良く採用さていた階段室型の住棟になっていることや階段室部分にある

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】軍艦島のお隣、中ノ島の『忘れられた火葬炉』

 2015年に「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一部としてユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録された軍艦島(長崎県長崎市・端島)。その北側約0.8キロの海上に中ノ島という島がある。軍艦島を目当てにやって来る観光客にとっては、〝まったく興味のない島〟だが、この島は、軍艦島と切っても切れない”縁”がある。  驚くなかれ、島内には、2基の火葬炉が残されているのだ。どちらも煉瓦造りのもので、軍艦島で亡くなった人たちは、この火葬炉で荼毘に伏されていた。軍艦島閉山後

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】埼玉県川越市の『西武安比奈線の跡』

「西武新宿線に乗って、廃線跡をいつでも見に行くことができる!」、「廃線跡の残る魅惑の鉄道」などといった触れ込みで人気のあった西武鉄道の安比奈線(埼玉県川越市 南大塚駅から安比奈駅間 3.2 km)。1963年から50年以上の長きにわたって運行休止となっていたが、取材時その遺稿の撤去が進められていた。  廃線マニアや廃墟マニア、林道マニアからすれば、安比奈線は、特別な存在だったと言うことができるだろう。1日あれば様々な角度から写真が撮れたし、フォトジェニックな写真も撮ることが

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】松山・道後温泉の遊郭廃墟『旧・朝日楼』

 松山・道後温泉のシンボルとなっている道後温泉本館の裏手に、色町の臭いを残した街並みが広がっている。  この界隈は、昭和33年まで道後・松ヶ枝町遊廓として栄えていたところだ。だらだらとした坂道を登りきったところには、『旧・朝日楼』という名前の遊郭廃墟があった。通りに面したところには、格子状の枠が設けられ、遊女を買いに来た男たちは、ここから中の様子を窺っていた。最盛期には、40名ほどの遊女が働いていたという。解体されたのは、平成19年のことになる。  筆者は、解体される前に

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】埼玉県入間市の「透明人間の殺人鬼に狙われた芸術家」

透明人間に放火された家  ネット上には、廃墟に関する情報があふれている。廃墟の王様として知られる軍艦島から、廃墟マニアが見つけた廃屋まで、その数は2万とも3万とも言われている。ある日、ネットを見ていると『???』となる物件が目に止まった。  『透明人間の殺人鬼(電波物件・埼玉県入間市)』。このページには、人間を模したような絵が描かれている看板の写真がアップされていた。気になる… 〈この家に来て2・3年の頃。夜中寝ているとなんとなく人の気配がするので半分体をおこしたら、そ

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】東京都青梅市の『東京炭鉱』

1960年に閉山した幻の炭鉱  今から70年も前のこと、東京にも炭鉱があった(!!)。場所は、東京都青梅市の小曾木地区。その名もズバリ『東京炭鉱』。東京都唯一の炭鉱であった『東京炭鉱』は、1935年頃から採掘を開始した。閉山したのは、1960年のことになる。竪坑の跡はしばらく残されていたようだが、後に地元住民によって埋め戻されている。現在、残されているのは、「東京炭坑前」(都営バス)、「東京炭鉱前」(西武バス)という名のバス停と、抗口と見られるようなものだけだ。  軍艦