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酒井透

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(さかい・とおる) 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイールやパ…
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2024年7月の記事一覧

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】京都市下京区の西本願寺の『親鸞聖人の〝骨仏〟』

 毎年、正月やお盆になると数多くの参詣者を集めている京都市下京区の西本願寺に『骨仏』が奉安されている。  この『骨仏』は、親鸞聖人の木像で、国の重要文化財となっている御影堂(重要文化財指定名称は「大師堂」)の中にある。親鸞聖人の往生後(1262年没)に荼毘に付された聖人の灰を漆に混ぜて木像に塗り込めたとされていることから、「骨肉の御影」という名がつけられている。  朝早くから参詣をする人たちで賑わっている御影堂。しかし、親鸞聖人の木像が『骨仏』であることはあまり知られてい

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】沖縄県石垣島の『川平集落の風葬墓』

 セルリアンブルーに輝く海。咲き乱れるホウオウボクやメヒルギの花。日頃から都会で暮らしている人たちにとって石垣島は憧れになっている土地のひとつだ。  せわしない日常生活から離れ、この島に渡って来た観光客は、観光スポットを回り郷土料理に舌鼓を打つ。しかし、風葬墓を見に行くようなことはない。  石垣島の川平集落にある風葬墓には、7柱の頭骨が安置されている。今から15年くらい前、福岡県に住んでいる男性がこの風葬墓で奇妙な体験をしている。 「石垣島には、珍しい蝶の採集に行きまし

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】青森県つがる市・弘法寺の『花嫁人形』

亡くなった人と冥土で結婚  青森県の津軽地方にガラスケースに納められた『花嫁人形』が祀られている寺がある。  『花嫁人形』というのは、結婚することができないまま亡くなった人たちを、あの世で結婚させてあげることを目的として、親や親戚が寺や地蔵尊に奉納する人形のことを指す。『ムカサリ絵馬』が亡くなった人や結婚する相手を描いたものを奉納するのに対して、『花嫁人形』は、人形自体を奉納する。『ムカサリ絵馬』同様に、このような形で結婚することを『死霊結婚』や『冥界結婚』と言う。  

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】東村山市運動公園の『解体されたD51』

 昭和50年まで日本全国で走っていたD51型蒸気機関車が解体されてしまった。D51は、デゴイチという愛称で呼ばれ、蒸気機関車の中で最もポピュラーな形式だ。この愛称は、鉄道ファンならずとも良く知られている。  解体されてしまったのは、東村山市恩多町の運動公園に保存されていた「D51684」。昭和17年3月に製造されて、関西や東北、北海道で走ってきた。  現役を引退してからは、こちらの公園に保存されていたが、40年以上の年月が流れ、老朽化したことによって解体・撤去されることに