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【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】沖縄県石垣島の『川平集落の風葬墓』

 セルリアンブルーに輝く海。咲き乱れるホウオウボクやメヒルギの花。日頃から都会で暮らしている人たちにとって石垣島は憧れになっている土地のひとつだ。

 せわしない日常生活から離れ、この島に渡って来た観光客は、観光スポットを回り郷土料理に舌鼓を打つ。しかし、風葬墓を見に行くようなことはない。

 石垣島の川平集落にある風葬墓には、7柱の頭骨が安置されている。今から15年くらい前、福岡県に住んでいる男性がこの風葬墓で奇妙な体験をしている。

「石垣島には、珍しい蝶の採集に行きました。黄色い斑点のある蝶を追いかけているときに、あの風葬墓を見つけたんです。頭骨がいくつか置かれていたので手を合わせましたよ…。

 その後、10メートルほど歩いたときのことです。後の方から石が飛んできたんです。その石は、拳ほどの大きさがあって右足に当たりました。ビックリして身を伏せたのですが、その後、風葬墓の方から5回くらい石が飛んできたんです。

 自分は霊の存在を信じる方ではありません。でも、あんなことがあると信じないわけにはいかなくなります。きっと『ここに近づくな!!』という意味があったのでしょう…」

 川平集落の風葬墓は、海水浴場となっているビーチからさほど遠くないところにある。毎年、夏になると海水浴に向かう観光客がこの茂みの前を往来する。もしできることならば、行政などの手によって新たな墓地を作り、その中に埋葬してあげることが望ましい。


写真・文◎酒井透(サカイトオル)
 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。
 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイール(現:コンゴ民主共和国)やパリなどに滞在し、ザイールのポピュラー音楽やサプール(Sapeur)を精力的に取材。帰国後は、写真週刊誌「FOCUS」(新潮社)の専属カメラマンとして5年間活動。1989年に東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(警察庁広域重要指定第117号事件)の犯人である宮崎勤をスクープ写する。
 90年代からは、アフロビートの創始者でありアクティビストでもあったナイジェリアのミュージシャン フェラ・クティ(故人)やエッジの効いた人物、ラブドール、廃墟、奇祭、国内外のB級(珍)スポットなど、他の写真家が取り上げないものをテーマとして追い続けている。現在、プログラミング言語のPythonなどを学習中。今後、AI方面にシフトしていくものと考えられる。
 著書に「中国B級スポットおもしろ大全」(新潮社)「未来世紀軍艦島」(ミリオン出版)、「軍艦島に行く―日本最後の絶景」(笠倉出版社 )などがある。

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