【ラグビーワールドカップ】ジャッカルというプレーに思うこと

日本におけるラグビーがワールドカップを経て、市民権を得られるか。これからの取組が極めて重要となる。前回ワールドカップでは南アフリカ戦勝利後、一時的に盛り上がりを見せたものの一過性のものに終わってしまった。
今後のラグビー協会の取組に期待するとともに、我々ファンも地道にラグビーに関心を持ち続け、触れ続けたい。

今回ラグビーを観戦していた方で「ジャッカル」というプレーを聞いたことがある人も多いと思う。倒れ込んだボールホルダーからボールを奪取するプレーだ。
実はこのジャッカルというプレー。
ぼくは聞いていて、懐かしくも甘酸っぱい郷愁に駆られていた。

ぼくは中学高校と啓光学園(現在は常翔啓光学園)という学校でラグビーに明け暮れた。ちょうど全国強豪の仲間入りを果たしたタイミングで6年の在籍期間で、全国優勝1回、準優勝1回、ベスト4進出が1回。卒業後は全国制覇4連覇の偉業を成し遂げた。近しい世代では、先輩に大西将太郎さん。後輩に佐々木隆道など。とにかく勝つことが義務付けられた学校だった。

啓光と言えばディフェンス。
伝統的に固いディフェンスが有名で、顧問の記虎先生も選手一人一人にどれだけ身体を張れるのか。そこを問うていた。一方で、戦術も当時としては控えめに言っても日本で一番洗練されていたと思う。
今では当たり前となったマナーアウトディフェンス。スクラムから出たボールに対して、外へ外へと追い込むディフェンス。オープンサイドのフランカーがスタンドオフを見て、スタンドオフがインサイドセンターを見て、インサイドセンターがアウトサイドセンターを内から外へ追い出すようにみていく。そうすると物理的には一人余った状態となる。内に切り込まれても自分の内側にいる選手がディフェンスに行ってくれるので問題ない。感覚的にはディフェンスの網に相手プレイヤーが勝手に捕まるような感じ。このディフェンスを最初に高いレベルで実現したのは僕の2個の上の先輩。もちろん全国優勝を飾った。

そもそもディフェンスとは相手の突進を止めるもの。そういう意識が強かった中、啓光では意識の転換を行った。ディフェンスはオフェンスにつなげるための手段。したがってボールを奪取しなければならない。そこで表れたのがジャッカルというプレー。一人目が相手の突進を食い止める。二人目が素早くボール奪取を行う。もしくは一人目も相手を倒した後、すぐに起き上がってボール奪取に動く。そんなプレーを20年前の当時から徹底して行われた。

啓光ではスタンドオフであろうが、ディフェンスできなければレギュラーになれない。そんなディフェンスの代名詞的なプレー、ジャッカルは啓光の十八番だった。
今回のラグビーワールドカップ中継で解説者が「今やジャッカルは日本でも市民権を得た」と表現されていたが、ラグビー経験者で啓光出身の僕は懐かしい思い出が先行した。

少し時代錯誤を感じながらもラグビーがまだまだ十分にメジャーなスポーツと言えない中では仕方ない。ただ、ジャッカルという一つのプレーを通じて如何に啓光ラグビーが最先端を走っていたのか、という誇り高き誉れと、そんな言葉が流布して確実に市民に浸透し始めたラグビー。

ぼくは色んな立場でこれからもラグビーに携わっていたいと思う

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