南アルプス市に残る「隼Ⅲ型」胴体部品の調査
あらまし
2024年1月29日、報国515資料館を管理する中村氏を中心とした有志グループにより、山梨県南アルプス市「ふるさと文化伝承館」に収蔵された一式戦闘機「隼」Ⅲ型の胴体部品の調査が行われ、私ちゃりおも参加してきました。
この胴体部品は2023年に明るみに出た比較的新しい航空遺産です。
部品の来歴等については、今回も参加された吉川氏によるこちらの記事をご参照ください。
今回の調査は部品を腐食や劣化から保護する処置を主目的とし、それに伴う記録・考察・報告書としての資料化を狸航空模型氏とちゃりおが行いました。
報告書について
報告書の内容は下記の4つの内容に大分できます。
・隼胴体部品の観察と記録
・隼胴体部品に施した処置の内容
・隼胴体部品の来歴や背景について
・隼や当時の工業規格に関する知識分野
つまり、「部品がたどった過去と、現代で行った処置と、将来的に部品が劣化しても参照可能な観察記録」として資料を制作しています。
また、これまでは存在しなかったアプローチとして3Dスキャンデータ及び
3Dスキャンを元に復元した復元CGも駆使して、資料を作ってあります。
大戦機の残骸の保存調査などは、より古い時代を扱う考古学分野の研究者や、地域の歴史を扱う民俗学分野の研究者が中心となることが多いようです。そのため、専門分野から離れたところにある大戦機について、画像や立体を活用することでより平易かつ議論が行いやすいように工夫したものです。(もちろん、世界中にいる大戦機・歴史ファンがより簡単に情報にアクセスするためでもあります。)
また、狸さんも私もモデラーですので、みなさんが気にしているであろう色の項目も大変充実したものとなりました。
他にも、部品の来歴を知るために整理した情報や、当時の航空写真などもまとめてありますので、部品自体に興味が無く歴史に興味がある方にも楽しんで頂けると思います。
現状、日本のアカデミックなシーンでは近現代の航空遺産についての保存や調査に対して大きなリソースを投入できる状態が整っていないため、保存のために必要な内容や、調査の手立てとなる基本的な情報を体系的に知ることは、欧米に比べて難しい環境にあります。そのため、近現代の工業製品の遺産の保存の方法が分からず朽ちてしまっていたり、来歴を調査して観光資源として活用する方法を掴みかねている方々のお話も耳にすることがあります。
そういったケースにお困りの皆さまの参考にもなればと、保存と調査の雰囲気をつかみやすいよう報告書にまとめたつもりですので、ご一読頂けると幸いです。
報告書
報告書へは下記の画像をクリックしてアクセスしてください。
皆さまへのお願い
厚かましくはありますが、報告書を読んで頂けましたらリアクションがあるとグループ一同が喜びます。
ご感想でも、ご質問でも構いませんので、Noteのコメント(◀)やTwitterでの言及がありますと幸いです。
また、報告書の利用等に関しては基本的にOKですが、商用利用等の要確認事項については私のTwitter(現X)のDMまでご相談をください。チーム内に共有して協議したり喜んだりしたうえでお返事いたします。
それでは、楽しんで!