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カルト

柳さんと見た!
三浦涼介がとにかく良い役で出ているという情報だけを持っており、TRUMPシリーズを共に見ている柳さんと一緒に見たら楽しめるかもな〜くらいの気持ちで見始めたらえらいことになった。
えっ、連載漫画だったの……?と思いながら終わった映画は初めてだよ。

母と娘が住んでる悪霊が取り憑いているらしいお家にあびる優をはじめとした女性タレント3人と霊能者と一緒に向かうドキュメンタリー風の映画かと思いきや……という内容。
前半出て来る霊能者の雲水さんはかなり頼りなく、本当に大丈夫?と思いながら見ていたが、案の定大丈夫ではなく、この人だけじゃ祓いきれない。
そこでこの霊能者である師匠の龍玄という貫禄のある人が出てきて、この人のお祓いなら安心だ!というところでお祓いは失敗に終わる上に、最初に出てきた雲水さんは悪霊らしきものに取り憑かれて亡くなり、龍玄さんも事故に遭って全身めちゃくちゃになって入院し、その病室までついてきたものによって最終的に取り憑かれてしまう。

この入院しているシーンの龍玄さんが「病室でカメラを回しておいてください。何かが映るはずです」と言っていて、エンタメ魂が凄まじいなと感心した。
自分の命が無くなるかもしれないところ含めて全てカメラに映そうとしている。そんなの放送できないよ。
ちなみにここまで全部が後半をより魅力的に見せるための前フリであるまである。

もうダメかもしれない……悪霊が強すぎる……人間が手を出していいものじゃなかったんだ……と絶望しているところに颯爽と現れた三浦涼介演じる霊能力者NEO(仮名)!
金髪の前下がりボブっぽい髪型で全身黒で細身のスーツを着こなしているスタイル。
元々テンポ感のいい映画だったけどNEOが出てきてから画面の華やかさと魅力が凄まじく上がった。
容姿端麗だけど傲岸不遜で傍若無人で実力の塊である霊能者が嫌いな人なんていないでしょ。小野不由美のゴーストハントかと思った。

悪霊が住んでいる家の母親に「信仰している宗教は?」と訊かれて、「俺は俺を信仰してるよ」と返すシーンで虜になった。
あまりにも美しくあまりにも強い男から出る「俺は俺を信仰してるよ」の言葉の凄まじさたるや、もう、言葉を失うほど魅力的だった。
そしていかにも霊能者らしい和装をして雰囲気のある龍玄さんのことをサラッと「龍ちゃん」と呼んでいる部分にも強者感が滲み出ており、好き。

NEOが出てからストーリーも加速して物語もどんどん面白くなっていくんだけど、あまりにも美しいNEOに目を奪われてしまって話があまり入ってこない場面があった。あとNEO、パーソナルスペースが狭いので人にぐんぐん接近する。
後半ずっと助けて欲しかった。あまりにもNEOが魅力的なキャラクターだったから。
切り取られた猫の足が家に仕込まれるシーンがあるんだけど、普段猫が酷い目にあっているとかなり悲しい気持ちになる自分もその猫の足をとって「猫の足だにゃー」と言うNEOを見たら正気を失ってしまった。猫どころではない。

そしてこの映画、犬が家の娘さんに食い殺されたりするシーンもあり動物好きにはあまり優しくないものの、実際犬が痛い目にあってキャイン!と鳴くようなシーンなどはなく娘が霊に乗り移られた!?暴れている!追いかけろ!→口の周り血まみれで周囲に赤い塊らしきものがある という描き方をされているのでショックはかなり少ない。

NEO、爪の先まで美しくてすごい。爪がピカピカしている。
そして鼻の形がこの上なく美しいため斜めの角度や斜めの煽りで見るととにかく美麗でホラーどころではなくなるし、真っ暗な屋外で撮影するシーンでは照明も相まっていかにNEOを美しく映すかということに重きを置いていた気がする。これは100%主観です。

見終わってしまうとNEOの印象があまりにも強く、魅力的であったためNEOありきの映画なのかと思ってしまうかもしれないんだけど、全然そんなことはない。

怒涛の後半で何故かやたら意味深に映り込む悪霊の家の隣人が実はこの家に悪霊を取り憑かれていた張本人だったこと、実はこの家の母だと思っていた人物は母ではなく娘の記憶を改竄して母だと思い込ませていた他人だったこと、娘が選ばれたのは幼い頃重い病気をして臨死体験をしているので向こうの世界と繋がりやすい器であったこと、その母含め隣人はカルト教団に入っていること、ロケ中様子がおかしくなってロケを離脱した入来まりという女性タレントの一人もそのカルトに取り込まれたことなどが綺麗に伏線回収される。この丁寧さは本当にお見事。
あびる優の霊感が明らかになる場面や、もう一人の女性タレントの霊が取り憑きやすい体質もちゃんと利用する。
見ている間「ん?」と思った要素を全て盛り込んでくるし、タイトル回収までの流れがとても自然でここでこの「カルト」が効いてくるのか!と感動した。

さて、この映画の問題はここから。
悪霊の正体が実はカルト教団によるものだったと明らかになってから。
家に出た入来の生き霊を一旦祓い、娘に取り憑いてたものを取り憑かれやすい女性タレントに移し、ここからどうなるんだ!?という場面でNEOが「俺たちの戦いはこれからだ」と言って物語は終わる。
物語は終わる。
そう!物語が!ここで!終わる!

どういうこと!?今まで我々は打ち切り間近のバトル系連載漫画を読んでいたの!?いや映画ってこんな終わり方していいの!?そして2013年に公開された映画なのに続編作られてないの!!と、とにかく衝撃的だった。
前半の雲水龍玄シーンもう少し削ったら収められなかったかな。それをいったら野暮か……

でももし自分が映画作るとなったらこの終わり方させるのは気持ち良いし面白いと思うかもしれない。ちなみに監督曰くカルトの続編を作る予定はないらしい。なんでだよ。

おそらく一人で見たらキレていたと思うので、柳さんと感情を共有しながら一緒に見られて良かった。この上ない幸せだったかもしれない。

CGがチープすぎるというのはあるものの、それは最初からB級ホラー映画だろうしな〜とある程度覚悟した上で見たのであまり気にならなかった。
我々はきさらぎ駅もN号棟も見ているので……

予想外の部分から予想外の感情を揺さぶられたところはあるものの、面白かった!ジャンプスケアがないのでホラー苦手な人も見やすいんじゃないかな。
オチにはふざけるなよとは思うけど、それを含めてこの映画の魅力だと思う。
は〜いい映画を見た。

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