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書籍紹介 村上和雄『生命の暗号 あなたの遺伝子が目覚めるとき』

本書では、遺伝子のメカニズム(目覚めるとき)と、それが人間の生活にどのように影響を与えるかについて解説しています。

遺伝子とは
 遺伝子とは何か、どのように機能するのかについて、著者は次のように述べています。

遺伝子とは生命の設計図のことです。親から子へ、子から孫へとつながっていく生命の、もとになる要素が遺伝子なのです。

出所:本書(P40 )

環境で遺伝子が変わる 
 著者は、環境の影響がいかに遺伝子の働きを変えるかについて説明しています。著者は、特定の環境において遺伝子が活性化する現象を以下のように述べています。

ある環境に巡り合うと、それまで眠っていた遺伝子が「待ってました」とばかりに活発にはたらき出す。それがはたらき出すと急に人が変わるといことがあるわけです。よく「心を入れ替える」といいますが、心の変化が、いままでとは違った遺伝子を目覚めさせ活性化するのです。

出所:本書(P82)

 さらに、環境を変えることが自己成長にどれほど重要であるかを述べています。

行き詰りを感じているときは、思い切って環境を変えてみることです。やはり人間というのは「動く」ことによって伸びるのです。その意味で環境をガラリと変えて、新しいものにふれるのは、自分のなかに眠っている遺伝子を目覚めさせる絶好の機会といえます。

出所:本書(P87-88)

遺伝子ONにして生きる
 遺伝子をONにするためにはどのような態度や行動が必要かについて、著者は具体的な例を挙げて説明しています。

いい研究をする人、いい業績を上げる人には共通するものがあります。それは非常に前向きな点です。

出所:本書(P98)

 さらに、情熱と実行力の重要性を強調し、いくつになっても自己の才能を開花させることが可能であると述べています。

人間はいくつになっても、自分の才能を開花させる能力をもっているのです。あることをやろうという情熱と実行力があれば、どんなことも可能性はゼロではない。それを阻害するのは「もうダメだ」という気持ちだけです。

出所:本書(P151 )

 ギブ・アンド・ギブの実践や、心の働きが遺伝子を活性化させる要素として重要であることも強調しています。

生命設計図の不思議
 
病気と遺伝子の関係についても詳細に説明しています。多くの病気は遺伝子の働きによって引き起こされるという見解を示しています。

 病気の多くはすべて遺伝子のはたらきによって生じます。遺伝子が正しいかたちではたらかないとか、はたらいては困る遺伝子がはたらき出すといったことが病気というかたちになって現れる。ただ、その遺伝子の異常の原因は大別して生まれつきの場合と、環境因子による場合とがあるわけです。
 生まれつき特定の病気になりやすい人が、環境因子がよかったために発病しないこともあります。そういう場合は発病させるはずの遺伝子がONにならないですんでいると考えられます。

出所:本書(P166)

だれが生命の暗号を書いたか
 著者は「サムシング・グレート」と呼ぶ存在について述べ、科学と宗教の結びつきを模索しています。

サムシング・グレートとは「こういうものである」とはっきり断言できる存在ではありません。大自然の偉大な力ともいえますが、ある人は神様といい、別の人は仏様というかもしれません。どのように思われてもそれは自由です。ただ、私たちの大もとには何か不思議な力がはたらいていて私たちは生かされている、という気持ちを忘れてはいけないと思うのです。

出所:本書(P200)

科学を信仰するのはいいけれど、それによってすべてが解決するとはとても思えないのです。かといって宗教も科学と距離がありすぎて、科学的思考になれた現代人を納得させることがむずかしくなっています。私は科学と宗教は同根と思っているので、この二つをどうにかして結びつけてみたいと思っています。

出所:本書(P209)

私たち人間は宇宙の一部です。そして地球の大自然の秩序のなかで生かされている。しかし一方で、私たちは大自然のなかで地球の秩序をかたちづくる作業に参加している。生きているだけでも立派に参加しているといえるのです。

出所:本書(P213)

最後に
 以上のとおり本書は、科学と信仰、遺伝子の可能性、そして人間の生き方に関して洞察を提供しています。サムシング・グレートは、「空」や「ゼロポイント・フィールド」といった宇宙や生命の背後に存在する神秘的な力とも重なるものと捉えています。新しい視点を与えてくれる一冊です。


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