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湯浅譲二 95歳の肖像 ~室内楽作品を中心に~ コンサート詳細

この公演は、同月12日に開催される合唱作品個展と組になり、湯浅譲二の創作を俯瞰するものです。
合唱作品個展についてはこちら
湯浅譲二 95歳の肖像 ~合唱作品による個展~ 演奏会詳細|石塚潤一 (note.com)

湯浅譲二の室内楽作品は、その質に比してあまりにも演奏されていない、と考えています。これはなぜか、を考えるに、演奏が大変難しい、ということに尽きるのではないか。湯浅譲二は、電子音楽の創作を通じてその音楽性を涵養した人物であり、湯浅作品の難しさとは、第一に「電子音楽を器楽で演奏する」がゆえの演奏マナーの在り方に起因すると考えます。

湯浅譲二は、器楽作品の作曲においても、まず方眼紙上のグラフとして作品を完成させ、それを五線譜に置き換える、というプロセスによって創作を行っています。この結果、たとえば、譜面に書かれている拍子は、グラフから五線紙に置き換える際につけられた便宜的なもので、これを伝統的なクラシックのような拍節感でとらえると、その電子音楽的な厳しさは霧散してしまう、ということがままあります。

と、同時に、電子音楽と伝統的な器楽の間では、素材となる音そのものに質的な違いがあり、湯浅の器楽作品は、電子音楽での手法を、ただそのまま器楽に置き換えた、というほど単純なものでもないはずです。

というわけで、今回の演奏においては、電子音楽的な手法を前面に立てつつも、器楽ならではのソノリティにも耳を澄ましつつ楽曲を構築している、湯浅譲二の厳しくも優しい音楽世界を、厳密かつ豊穣に表現することを目指し、中堅・若手を中心にトップレベルの演奏家を集めました。

その演奏は、湯浅作品が「時代が追いついた」どころか、未だに「時代を切り開く」ポテンシャルを持っていることを明らかにするものと信じます。

これが具現化されるとき、必ずや音楽史は変わる。その瞬間を体感すべく、ぜひ豊洲までお運びください。

以下、コンサート詳細

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湯浅譲二 90歳の肖像 室内楽作品を中心に

1、ピアノ4重奏曲「トライアル」(2012)
vn:石上真由子、va:田原綾子、vc:山澤慧、pf:大瀧拓哉

2、弦楽四重奏のためのプロジェクションII (1996)
vn:成田達輝、vn:石上真由子、va:田原綾子、vc:山澤慧

3、ホルン・ローカス(2014)
hr:庄司雄大

4、芭蕉の俳句による心象風景(2007)
vn:成田達輝、pf:大瀧拓哉

休憩

5、弦楽四重奏のためのプロジェクション(1970)
vn:成田達輝、vn:石上真由子、va:田原綾子、vc:山澤慧

6、歌曲「おやすみなさい」(詞:長田弘) (2013)
sop:松原みなみ、pf:高橋アキ

7、内触覚的宇宙II トランスフィギュレーション (1986)
pf:高橋アキ

8、領域(Territory) (1974)
fl:内山貴博、cl:東紗衣、mar:悪原至、perc:安藤巴、cb:長坂美玖、cond:石川征太郎

2024年8月7日(水) 19時開演
豊洲シビックセンターホール
料金:前売り一般:4000円、前売り学生:2500円、当日:4500円
12日公演との通し券:7000円 ( transient2020@gmail.com  のみにて受付)。

6月17日19時より、カンフェティにて発売。

企画制作:TRANSIENT
後援:特定非営利活動法人 日本現代音楽協会
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
   公益財団法人 野村財団

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