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【文化人類学とビジネスの融合】 松薗美帆

本記事は、株式会社金風舎が9月30日に発刊する「妄想」をテーマにしたオムニバス単行本『妄想講義』の著者紹介記事です。

文化人類学とビジネスの融合

人類学とは、「人間とは何か」という根源的な問いに向き合う学問である。ストラテジックデザイナーである松薗美帆氏はそう語る。

松薗 美帆(まつぞの みほ)
国際基督教大学教養学部卒、文化人類学専攻。株式会社リクルートにて人材領域のデジタルマーケティング、プロダクトマネジメント、サービスデザインを経験したのち、2019年より株式会社メルペイで新規事業立ち上げやUXリサーチの仕組みづくりなどに取り組む。現在は生理用品メーカーにて、ストラテジックデザイナーとして新規事業に携わる。北陸先端科学技術大学院大学、修士(知識科学)。同学博士課程にて応用人類学の研究中。著書「はじめてのUXリサーチ」。

大学で文化人類学専攻した後、メーカーで新規事業立ち上げやUXリサーチの仕組みづくりなどに取り組み、大学院での研究も並行して行ないながら、文化人類学とビジネスの融合を目指している。多岐にわたる活躍をする著者は『妄想講義』で何を語るのだろうか。


人類学の民族誌や研究にインスパイア

本書は「ビジネス書の皮を被った人文書」という、少しのイタズラ心をスパイスとした企画からはじまった。更に言えば、ジャンルや形式にはとらわれず、次世代に残すべき知恵をオルタナティブに発信していきたいという思いが編集部の根本にある。そんな中で、人類学とビジネスの融合を目指す松薗さんであれば、きっと価値ある文章を寄せてくれるのではないかと依頼に至った。

編集部から「妄想」をテーマに寄稿いただきたいと依頼した際に、松薗さんから次のような言葉があった。

 私は人類学の民族誌や研究にインスパイアを受けて、妄想するような文章を書いてみたいなと思っています。たとえば、「文化人類学の思考法」という本で石貨と暗号資産の類似性を比較する事例があります。一見性質が全く違いそうで無関係に思えるものを惹きつけて妄想し、新規事業のヒントを得るといった人類学の活用法があるのではと考えています。

と、こちらの想像を超えるような、興味深いアイデアを出してくれたのだった。

打ち合わせの中でも、「人類学の研究者の方々がすでに類似した取り組みをされていますが、私のバックグラウンドを活かして、より人類学とビジネスを繋げるようなものを書けたらと思います。」と力強く語ってくれた。

「月経」の民俗誌から妄想する

松薗さんは現在、生理用品メーカーにてストラテジックデザイナーとして新規事業に携わっている。その強みを活かして、今回「月経」の民俗誌にフォーカスして原稿を寄せてくれた。

打ち合わせの中で、「月経」というセンシティブな内容を取り扱っても良いか?と気掛かりを寄せてくれたが、担当としてはむしろ歓迎であった。

担当は生物学上の男性であるので、実体験としては月経は生じない。けれど、姉妹や友人、パートナーなど身近な人で話を聞くことはある。そしてそれは、他人事ではいられない生活に重要な影響を及ぼすものである。

『生理ちゃん』(KADOKAWA)など(担当もすごく好きで全巻持っています)、「月経」を取り扱うコンテンツはあるものの、「生理休暇」への賛否など、未だ「女性」だけのものであることは否めない。

今後、社会の中でどう捉えていくかをみんなで考えていく上でも「知る」きっかけは非常に重要だと考える。そして「知る」きっかけである「開く」ことについても人類学の民俗誌との関係性を、著者の文章で触れられている。少し引用してみたい。

長期のフィールドワークに出かけることはできなくても、人類学者が記した民族誌を読むことを通じて、ありうるかもしれない世界を妄想し、私たちの世界を開き続けることはできるのではないだろうか。

『妄想講義』人類学とともに妄想する(松薗美帆)

世界が開かれることで、私たちは「妄想」を膨らませ、想像を広げることができる。想像が広がれば、誰かを、何かを、理解することにつながる。これらの「知る」「開く」ことが未来を明るく照らすための希望だとういうことを、「人類学とともに妄想する」は証明してくれる。

あなたも「人類学とともに妄想する」で、明るい未来を描いてみませんか?


この松薗さんの文章が読める『妄想講義 明るい未来の描き方と作り方』  9月30日が発売!

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