[モバイル&サウンド69]〜ジェネシスから見たキーボード・サウンド・ヒストリー
今回の[モバイル&サウンド]は、ブリティッシュ・ロック・バンド”ジェネシス”から見た「キーボード・サウンド・ヒストリー」。
数あるプログレ系のバンドの中から。。。なぜジェネシスを取り上げるのか!?
ってのは、JISAIONEがプログレッシブ・ロック好きだからってのはもちろんだけど、1969年のデビューから(紆余曲折を経ての)2021−2022年のツアーまでのキーボードのトニー・バンクスの機材の変遷が。。。
「キーボード・サウンド・アーカイブ」
的な側面があるから。。。ってのが。。。その理由。
音楽ジャンル的に偏ってる感もあるけど(笑)、1980年代以降はトップチャートの常連的超人気バンドになったので、そういう時代はむしろメジャーな音楽シーンの話でもある。
「アコースティック・ピアノとオルガンがメインの時代から、メロトロンやアナログ・シンセが加わって、サンプラー、デジタル・シンセへと。。。」
って変遷。。。
トップ画像のCDの何枚かは、ロンドンやパリで買ったもの。
トニー・バンクスの機材
音楽シーン的には「プログレッシブ・ロック」って1970年代前半が絶頂期ってことになるんだろうけど、その時期をリアルタイムに体験した者じゃないので、そういった人達の熱い語りにはとても及ばないんだけど。。。バンドでキーボードやったりしてるので、その辺の機材については興味を持って接してるので、そういう目線で、改めてトニー・バンクスの機材について触れてみる。
参考にしたのは、以下のサイト。
その機材情報には。。。脱帽。。。
これらの情報からすると。。。トニー・バンクスのキーボードのスタジオ・アルバムでの大きな区切りで言うと、次のような流れなんだけど、今回のnoteは自分のための情報整理的な面が強くて、ザックリとダーッって。。。羅列した感じになってしまったので、より詳細な機材解説を別の機会に出来ればと。。。
ボーカルがピーター・ガブリエルからフィル・コリンズに変わって。。。というのとは違った区切りになっている。。。
タイトルはイメージ的にってことで、それらしか使ってないってことではなく、詳細は最下部の「アルバム・タイトル/年代/使用機材」リスト参照。
シンセやエレピのそれぞれの機材のリリースは、トニーが使い始めるより数年前ってのが多い印象を受ける。
オルガンとアコースティック・ピアノがメイン(1960年代)
メインはオルガンとアコースティック・ピアノで、エレクトリック・ピアノもプラス・アルファで使用。ピックアップした曲は、ピアノ・メインで、生のストリングスがアレンジされてる。
From Genesis to Revelation 1969年
"The Silent Sun"
オルガン、メロトロンとアナログ・シンセ(1970-1977)
1970-1972年まではオルガン/アコースティック・ピアノ/エレクトリック・ピアノ/メロトロン、1973年以降はアナログ・シンセサイザーが加わって、1977年まではこのラインナップ。シンセはARPを好んで使っていて、その辺にトニーの個性を感じる。
ピックアップ曲は、イントロのピアノと6分45秒ぐらいからのメロトロンのパートが特に印象的。
Selling England by the Pound
"Firth Of Fifth"
新世代アナログ・シンセにエレクトリック・グランド・ピアノ(1978-1981)
オルガン/エレクトリック・グランド・ピアノ/アナログ・シンセサイザーがメイン。
この時代のサウンドは、ヤマハのエレクトリック・グランド・ピアノCP70が大きな役割を果たしている。この輪郭のはっきりしたエレピの導入で、音に「芯のある」フィールが加わった。
さらにプロフェットやポリムーグ等の新しい世代のアナログ・シンセが使われてる。
この機材のラインナップは1978年から見られるけど、サウンドが大きく変化して、CP70がサウンドの核になったのは、このピックアップした1980年のアルバムから。
Duke 1980
"Turn It On Again"
サンプラーやワークステーション的シンセの登場(1983)
シンセ・テクノロジー激変の時代。イミュレーターのような数百万円のサンプラー、サンプリングに加えてシーケンサー等をトータルでコントロールする「デジタル・オーディオ・ワークステーション」的な1億円越えのシンクラヴィア等が導入された。ストリングスの輪郭もよりハッキリしたものになった。
加えて、エフェクターの進化も著しく、ドラムなどにも過激なゲートやドライなリバーブ等曲全体の質感をかなり左右している。
Genesis 1983
"Mama"
クリアーな質感のデジタル・シンセが加わる(1986)
サンプラーや超高価なシンクラヴィアに加えて、ヤマハのDX7のようなデジタル・シンセサイザーも導入。
ストリングスの質感はクリアでデジタルだけど、機材表には複数のアナログ・シンセもリストされている。
ピックアップ曲のバキバキしたシンセ・ベースは、ヤマハDX7とのこと。
Invisible Touch 1986
Land Of Confusion"
原点回帰のアナログ・テイスト(1997)
サウンド・テイストは分厚いアナログ・フィールに回帰するも、使用機材は幅広い音源を持つローランドやコルグの日本メーカーのオール・イン・ワン的なデジタル・オーディオ・ワークステーション・シンセをフューチャー。
機材の価格も劇的にコストダウンされ、それぞれ数十万円で手に入る。
1990年代は”We Can't Dance”(1991)もあるけど、音的には重さやダーク感はないので。。。個人的には”Invisible Touch”の延長ってイメージ。。。ながら、機材的にはこの90年代後半のアルバムのように日本メーカーのシンセをいくつも使っている。。。ってアルバムなので、どちらの時期にも入れなかった。
Calling All Stations 1997
"Calling All Station"
アルバム・タイトル/年代/使用機材
From Genesis to Revelation 1969
Hammond L-111 organ, Hohner Pianet N, Farfisa Compact Deluxe Organ, Acoustic piano.Trespass 〜 Foxtrot 1970 - 1972
Hammond L-122 organ, Hohner Pianet N, Mellotron Mark II.Selling England by the Pound 〜 Wind & Wuthering 1973 - 1977
Hammond T-102 organ, RMI 368x Electra Piano and Harpsichord, Mellotron M-400, ARP Pro Soloist, ARP 2600....And Then There Were Three... 1978
Hammond T-102 organ, Yamaha CP-70 electric grand piano, ARP 2600, Moog Music Polymoog, ARP Pro Soloist, Roland RS-202.Duke 1980
Hammond T-102 organ, Yamaha CP-70 electric grand piano, Sequential Circuits Prophet 5, Moog Music Polymoog, ARP Quadra, Yamaha CS-80.Abacab 1981
Sequential Circuits Prophet 10, Yamaha CP-70 electric grand piano,Roland Jupiter 8, Yamaha CS-80, ARP Quadra, Moog Music Polymoog.Genesis 1983
Sequential Circuits Prophet 10, Yamaha CP-70 electric grand piano, Roland Jupiter 8, NED Synclavier (VPK version), E-mu Emulator, ARP Quadra.Invisible Touch 1986
Sequential Circuits Prophet 10, Yamaha CP-70 electric grand piano, NED Synclavier (VPK version), E-mu Emulator, ARP Quadra,Roland Jupiter 8, Yamaha DX7.We Can't Dance 1991
Roland JD-800, Korg Wavestation, Roland Rhodes MK-80, E-mu Emulator, Ensoniq VFX.Calling All Stations 1997
Roland A-90 ,Roland Jupiter 8,Korg Wavestation, Korg Trinity, E-mu Proteus.
(Radio Swiss Jazz Music MUSIC DATABASEより)
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