大手 SIer からスタートアップに副業転職した話
はじめに
こんにちは、Jun です。シンプルフォーム株式会社でエンジニアをやっています。
前職では大手 SIer で 12 年ほど SE をしていましたが、思うところあり副業にチャレンジ、そのまま転職に至りました。現在、副業や転職を考えている方の参考になればと思い、その体験談を綴ります。
経歴
簡単に経歴をご紹介しておきます。
2011.4 日系 SIer (メーカー系) @横浜 に新卒入社
2011.7 ソフトウェア設計開発部署に配属
主に Java での開発に従事
サービスの設計や拡販も経験
2015.10 飲み会で伝えた希望が叶い、フロント SE 部署 @福岡 に異動
大学関係のシステム提案・構築・運用を担当
徐々にクラウド案件が増えてくる
2019.4 大人の事情で広島に異動
やることは変わらず勤務場所だけ変わった感じ
クラウドとオンプレの案件が半々くらいになってくる
2020.10 福岡に戻りたい希望と福岡の別部署からのお誘いが合致して再び福岡に異動
自治体関係のシステム提案・構築・運用を担当
自治体はまだまだオンプレがほとんどだったが、政府のガバメントクラウド推しもあってクラウドのご相談が増えてきた
2024.3 シンプルフォームに転職 ← 今ここ
なぜ副業しようと思ったか
私は、新卒で日系大手 SIer に就職しました。
今思えば、就職活動当時は会社の違いや自分のやりたいことも何となく分析した気になって、「人が良い」「大手なら安心」、また心の奥底では「ブランド (見栄) 」で就職を決めたように思います。
大手は大手なりに、研修制度や福利厚生、人材の厚さは申し分ありませんでしたし、同僚にも恵まれて特に大きな不満はありませんでした。
それに加えて、社名を誰に言っても気後れすることはありませんでした。
自分のキャリアの志向性に合致しない役割が増えてきた
しかし、ある時「このままで良いのか」と考えるようになりました。
自分で言うのもなんですが、社内ではそれなりに評価されていましたし、当時まだノウハウの少ないクラウドの知識・経験を有していたため「クラウドといえば Jun」と言われるくらいには地位を得ていました。
それでも、考えれば考えるほど「もっと他に選択肢があるのでは」と思うようになってきました。
マネジメントや社内業務だけではなく、エンジニアとして力を発揮したい
でも、今の会社ではエンジニアとしてキャリアアップする術が無い
最新の技術を追い求めるエンジニア気質の人がたくさんいる環境で切磋琢磨したい
そもそも、自分個人の力が社会に通用するのか試してみたい etc…
いざ転職活動… でも中々踏み切れずにいた
そう思いながら転職活動を始めて数社面談を受けてみたものの、「今の会社を辞めて後悔したらどうしよう」という不安が付きまとい、中々踏み切れずにいました。
そんな中「副業」という選択肢があることを知り (禁止されていないことは会社に確認したうえで)、リスクなく他の仕事を体験できるということで挑戦してみました。副業であれば、もし合わなくても本業に戻れますし、自分の力を試す場としても最適でした。
副業探しと新しいキャリアのスタート
副業先を探すため、フリーランス・転職/副業向けのサイトにいくつか登録しまし、Offers を通じて現職のシンプルフォームと出会いました。
経験のマッチと元大手 SIer 出身の CTO と意気投合し副業開始
面談を受け、本業で担当していた AWS の経験がマッチしたことと、CTO が元大手 SIer 出身で意気投合したことで、ここなら自分の力を発揮しながら新しい挑戦ができる! と思い、副業を開始しました。
シンプルフォームとは
シンプルフォームという会社をご存じない方のために、私が感じたことを交えて簡単に会社紹介しておきたいと思います。
心の底から世の中を変えようと思っている
CTO である小間さんと話をしたとき、「私達は世界を平和にする仕事をしている」という言葉が印象に残っています。背景を知らずに聞くとちょっと戸惑いますが、目指すところを伺って納得しました。
シンプルフォームでは約 30 秒で法人に関する情報収集を可能とする SimpleCheck というサービスを展開しています。
法人に関する情報とは、どういったシーンで必要とされるのでしょうか。
例えば、銀行にとある会社から借入の相談があったときなどは分かりやすい例として挙げられます。
銀行員は登記簿をチェックして実態のある会社なのか、経営者は過去に怪しいことを行っていないか、他に取引においてリスクとなる事業を行っていないかなど、さまざまな角度から「この会社と取引すべきかどうか」という確認を行います。
ビジネス上の損害を与える会社と取引したくないのはもちろんですが、突き詰めれば犯罪を行うような会社に資金を流すことがあってはならないからです。
リスク判断のための情報収集には、非常に時間と手間がかかります。インターネットで検索すれば全ての情報が容易に手に入るというものでもありません。これを SimpleCheck は素早く、かなり正確に行うことができます。
つまり、悲しくも戦争やテロを行う組織に対して、SimpleCheck であれば簡単に資金調達を行わせないことができる、つまり世界を平和に導くことができる、というわけです。
飛躍しているかもしれませんが「この人たちは本気でそこを目指しているんだな」ということが分かってワクワク感がこみ上げてきたのを覚えています。
エンジニアが活き活きしている
シンプルフォームでは日常のやり取りに Slack を使っています。
社員や副業で参画されている方のやり取りが常に飛び交っているのですが、特にエンジニアの方の前向きな発言が多いことに気付きました。
何かをやり遂げたりアイディアを共有したら感謝と称賛を、失敗したり障害が発生したらすぐにみんなで助け合い、解決したときは励ましと労いの言葉を掛け合っています (時には議論が白熱することもあります)。
中でも Slack のカスタム絵文字をフル活用して「ありがとうございます」「よろしくお願いします」「大丈夫だ」「問題ない」「(人の名前)神」「キタコレ」などなど、あらゆる絵文字で互いに称賛し合う文化が個人的には好きです。
私も障害を起こしてしまったことがありますが、皆さんの即時の行動や考えていることが Slack 上で共有できて迅速に解決に導けましたし、上に書いた絵文字で救われました (笑)。
非難や責任の押し付け合いではなく感謝と称賛があるからこそ、みんなが失敗を恐れずに新しいことにもチャレンジできると思いますし、何より楽しく仕事ができるのだと思います。
副業から見えたキャリアアップと新たな可能性
実際に副業をしてみると、心から楽しかったと思えましたし、自分の考えの幅も拡がりました。
はじめは本業での経験を副業に活かしていましたが、しばらくすると副業で得た知識や経験が本業にもフィードバックできるようになり、相乗効果で自分のスキルが向上できるのを感じました。
本業の同僚にも「いつそんなこと覚えたの?」「何でそんなこと知ってるの?」と不思議がられるくらいでした。
副業と本業との相乗効果で自分のスキル向上を実感
本業では AWS を使った仕事を主にしていましたが、レガシーなアプリケーションが多いためにどうしても EC2 を数多く並べるようなシステムが多く、何とか IaC や Lambda をねじ込むくらいが関の山でした。
しかし、副業ではスタートアップということもあり、逆に EC2 はほとんどなく Lambda、ECS、OpenSearch などのサーバーレスをフル活用して効率良く開発を進めています。
エンジニアとしてキャリアアップしていきたいと考えていた私にとっては、副業で得た経験はとても価値のあるものでした。
スタートアップという環境に大きなやりがいを感じた
また、これは自分の中でも発見だったのですが、経営層やサービスとの距離が近いスタートアップという環境に、大きなやりがいを感じ、楽しいと思えたのです。
これは、実際に働いてみないと分からなかったので、そういう意味でも副業をやってみて正解でした。
ただ、本業に支障が無いようにやるためにはプライベートの時間が削られるので、やり過ぎには注意が必要です。私の場合、連日深夜まで仕事をしていたことで体調を崩してしまったことがあります。
最低限の睡眠は取らないといけないですね(笑)
副業から正社員へ: 転職活動のきっかけとスタートアップへの道
副業をきっかけに自分のやりたいことを明確に思い描くことができたので、エンジニア重視・スタートアップ (または近しい風土のある会社) をターゲットに転職活動を再開しました。
転職前提の副業から見えたキャリアパス
シンプルフォームは転職前提の副業で、仕事の安定した進め方やドキュメントの丁寧さに一定の評価をいただいていましたので、「社員にならないか」とお誘いは受けていました。
副業をして「一緒に働けたら良いだろうな」とは思っていましたが、納得がいくよう他社を見てみたいという想いから、選考対象を広げてみることにし、スタートアップに転職した先輩に相談したり、いくつかスタートアップの面談を受けました。
副業によって自分の目指す道が見えてモチベーション高く活動できた
以前は不安を抱きながら何となく転職活動していましたが、副業によって自分の目指す道が見えたことでモチベーションを高く持って活動することができました。
しかし世の中そんなに甘くはなく、SIer での経験 (マネジメント中心) とスタートアップ (技術中心) とでは求められるスキルが合致せず、面談で手応えを感じても中々内定には至りませんでした。
内定をいただいた会社もありますが、シンプルフォームほどの条件・マッチ感はなく、残念ながらお断りしました。
「もっと早くから自分のキャリアを考えて活動していれば...」とか「今の会社でやっていくしかないのかな...」とか何回か気落ちすることもありました。
副業で一緒にお仕事をして転職後のイメージができた
そう思ってしばらくした頃、シンプルフォームから改めて現職同等の条件を提示いただき、そこで転職を決意しました。こう書くと「なんだ、結局条件か」と思われかねないですが、家族と住宅ローンのある私にとっては条件も重要な要素の一つでした。
とは言え、何よりも副業で一緒にお仕事をして転職後のイメージができたことが大きかったと感じます。イメージができたことで「今の会社を辞めて後悔したらどうしよう」という不安はほとんどありませんでした。
一般的な「転職」との違い
一般的な転職では、面接を数回行うと思います。
色々な方と話をすることで、どのような職場なのか、どのように働いているのか、楽しいことや苦しいことは何かなどを知ることができます。
しかし、自分がどう感じるかまでは実際に働いてみないと分かりません。
私の場合、副業でジョインしていたことで普段のやり取りや雰囲気が Slack 上で読み取れましたし、何時から何時まで働いているのか、障害が発生したときはどのように対応しているかなどリアルな生の情報を直接知ることができたのです。
面談でお話することも大事ですが、副業によって会社のカルチャーや社員の方々の考え方、働き方に直に触れることができたのは非常に大きかったと今でも思います。
さいごに
最近では転職は当たり前の時代になってきましたが、書類と面談のみ (場合によってはテストも) で決めることが多いと思います。
実際に働いていないので、転職してみて「転職しなければ良かった」となったらどうしようと考えてしまうと、どうしても尻込みしてしまう方がいるのではないでしょうか (現職がブラックならともかく優良企業なら尚更)。
現にそれで私も数年、転職を決心しかねていました。
そんな時に副業で今の会社に出会ったことで、それまでの迷いが消えて転職を決意できました。そして、「ブランド (見栄) 」も気にすることなく、自分で選んだ楽しい仕事だと胸を張ることもできます。
副業を経験して転職後のイメージができたことで、納得のいく転職ができたと考えています。もし、転職を考えてはいるものの決心がつかない方は、副業から始めてみることをオススメします!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※この記事は Offers Magazine に投稿した記事をプライベート用にリライトしたものです。よろしければこちらもご覧ください。
※この記事の画像は Image Creator from Microsoft Designer を使用して生成しています。
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