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R2D2season5決勝 オカルト観戦記(後編)

最終戦。
第1半荘(前編)の結果はこちら。

第1半荘結果
高見 +60.2
小泉 +10.1
森口 ▲23.0
岡田 ▲47.3
支配色 ソーズ 
アヤ牌 7ソウ

高見以外の3人はトップ必須で、かつ岡田・森口は高見の着順も意識する必要がある、そんな展開。

※解説はフィクションです。

東1局

支配色がソーズに確定したとは言え、新しい半荘の始まりは場が不安定になり、先手の取り合い・色のせめぎ合いになりやすい局面。

まさにそのような展開になる。

まずは先制でテンパイを入れる岡田。
打点が必要な局面でタンヤオ移行を視野に入れてもいいが、シャボの片方のアヤ牌を強く意識してリーチを選択

7ソウのアヤ牌に頼ったリーチ。

ここも、アヤ牌に頼りたくなる気持ちは分かるが、この形からは手牌に蓋をしてはいけない

次順6マンがきてタンヤオのリャンメンテンパイを逃してしまい、岡田は自力でのアガリが難しい状態へ移行する。

それを感じ取った高見・森口が得意の仕掛けで次々とテンパイを入れる。

3ソウとドラのシャボ待ちのテンパイ。奇数牌待ち。
6ソウとドラのシャボ待ちのテンパイ。偶数牌待ち。

まさにせめぎ合いの局面。ドラの3ピンは持ち持ちなので、こうなってしまうと、どうしても奇数牌である3ソウに軍配が上がる。
高見がここでもサボらずにしっかりと先制でアガリをものにする。

東2局

ここにきてコスモを失った岡田が、逆噴射による国士手を入れる。

ここは8種からでも国士に向かわなければならない。

逆噴射(ぎゃくふんしゃ)とは
放銃やミスが重なりコスモが枯れて配牌が悪くなりすぎる事で、逆に国士手が入る状態。
半荘単位での逆噴射(連続でラスを引きすぎた次の半荘、突然手が入り大きなトップを取る事)という概念もある。

真麻会語録

だが先制したのは高見、ピンフドラ1の軽い手を入れるが、国士の岡田に6ピンを間に合わされた事、そして支配色ではないピンズ待ちを疑ってダマに構える。

アガリ色を意識した渾身のダマ。

岡田は国士2シャンテンまで手を進めるが、危険なソーズを手牌に残してしまう。

危険なソーズを残しての進行。

さらに、ドラを引き入れた高見。打点がいらないこの局面で、あえて待ちの少ない8ピンと残り1枚の6ソウのシャボに受け変えてリーチ。

オカルトシステム×支配色

オカルトシステムNo.17「ドラが出て行く形は凶!」と、ソーズの支配色を強く見た選択と言える。

また、国士の岡田に間に合わされた6ピンにあがりが薄くなっているという事実も考慮しての好判断。
解説陣も、あまりの支配色への意識に言葉を失う。

結果、手牌にソーズを抱えて進行した岡田が、国士無双のイーシャンテンから、盲点となる6ソウを放銃してしまう。

高見の待ち変えで捕まった6ソウ。

高見とソーズががっちりと手を組む姿が見えるだろうか。例えるなら令和の薩長同盟

東3局

岡田の親番。ここまで苦しい展開でも、親番で手を入れられるのは流石と言わざるを得ない。先制の東と南のシャボ待ちリーチ。東は山に2枚。

最後のコスモを燃やし、先制リーチの岡田。

直後、森口がカン2ピンを入れて追いつく。待ちは支配色のソーズ

ソーズ待ちで追いつき、勝ちを確信する森口。

こうなると岡田の一発放銃は不可避である。

5ソウを掴み肩を落とす岡田。

岡田の灯が消えかかる。

東4局

逆に、一発アガリにより満潮に近づいた森口が、マンズだらけの超好配牌を入れる。

森口にマンズが語りかける

詳しい説明は割愛するが、ここは支配色のソーズは意識せずに、素直にマンズを目指していい局面となる。

平たく言うと、マンズが業を煮やしたのである。
マンズの武士達が、「いつまでもソーズの奴に好き勝手させられん、我らを使え」と言ってくれている。それに応えるのもまた主君のあり方と言える。

流れに沿ってイーシャンテンまで歩を進めるが、確実なマンガンが欲しくなった森口は、オカルトシステムNo.12「門前アガリの次局、自ら動くことなかれ!」を破ってしまう。

確実なマンガンを狙いオカルトシステムNo.12を破ってしまう。

結果、テンパイを入れたのは高見、待ちはソーズ。
こうなってしまっては薩摩、いや高見の思う壺である。

1マンを鳴かせ、自身にテンパイを入れる高見。

数巡後、テンパイ打牌のドラを鳴いた小泉の放銃となる。

東4局 一本場

ここからは、3人が協力して高見の親番を蹴らなければならない。
まずは森口が、中を鳴いてのテンパイを我慢して打点を作り、高めチャンタ三色でリーチ。

ピンズでのテンパイをアガリきる事できっかけを作りたい森口。

そこに追いついた小泉が、追っかけカン5マンリーチ。

ピンズに続き、マンズも剣を抜く。

こうなると、協力して親を落とすという理念の元に集まった仲間である。
まさに倒幕運動、幕末の志士達

どちらがツモるかで色の強さが変わる大事な局面に、高見が匠(たくみ)を使う。安全牌がある中で打点を読み切って、安めの4ピンを差し込み気味に放銃する。

匠(たくみ)を使う高見(たかみ)。

匠(たくみ)とは
読み(手牌読み・打点読み)を駆使しての差し込みや、場況を読んでのダマ等、技術を使った選択や差し込み。使い方を間違えると大きな失着になり得るので、初心者が使うべきではない

真麻会語録

南1局

いよいよ最後の一周。最終局面
これまでを振り返ると、予想通り支配色のソーズを中心に展開してきたが、この最終局面では、色ではなくなる

マンズ・ピンズ・ソーズ・字牌。
条件のある3人は、それぞれに必要な打点を、牌との対話の中で作りにいく。それに牌が呼応するかどうかの勝負となる。

条件のない高見のみ、ソーズでのアガリやすさは維持される。
言うなれば以下のような構図である。

高見 vs 岡田・森口・小泉
ソーズ vs マンズ・ピンズ・字牌

何を言っているかは、分からなくてもいい。

ここでも先制は高見。完全に手牌を飼い慣らしている。

手牌を飼い慣らす高見。

ここで4ソウを浮かせ、放銃不可避に見えた岡田が、5ソウを引き入れる事で放銃を回避し、見事に倍満まで見えるタンヤオピンフ三色のテンパイを入れる。天晴れ

牌との対話の中で作り上げた美しい最終形。

しかしここでも高見は、支配色の待ちで押し切る。

危険牌を押す高見。

結果、手が進んだ森口が、1ソウを高見に放銃。
岡田の最後の灯が消える。

南2局

親番を失った小泉には、まだ僅かに条件が残る。
2巡目にテンパイを入れ、1300-2600をツモり条件を残す。

親番の終わった森口も、ここまでかと思えた。

小泉・森口・岡田はソーズ以外の方がアガリやすい場。

南3局

ここで、後に「伝説の配牌」と呼ばれる手を入れる森口。
まさに三元牌の連合軍

連合軍を味方につける鷲巣(森口)。伝説の配牌。

しっかりと第一打に3ソウを離して、真っ直ぐ大三元に向かう。
ここで、森口が剛(ごう)を使い、2巡目に発を持ってくる。

森口の剛(ごう)。

剛(ごう)とは
匠(たくみ)と対をなす概念。技術の匠に対して、剛は力強さを表す。
通常一発赤や裏裏を指すが、今回のように、役満に必要な牌を自力で持ってくるような場合にも使われる。匠が鍛錬で身につくのに対し、剛には人間力が必要となる。

真麻会語録

そして白を鳴き、たったの3巡で役満のテンパイを入れる。
山に6枚の6-9マン。

役満和了時の森口の条件
ツモあがり オーラスマンガンツモ条件
高見からの直撃 ほぼ優勝
岡田・小泉からの出アガリ オーラスハネツモ条件

打点の必要な森口が、ドラターツを落としている。
そして白を鳴いている。
緊張感が走る卓上。

そこに、テンパイを入れた小泉が魂のリーチ。宣言牌は6マン。

赤を引き入れて、リーチの小泉。宣言牌は6マン。

「ロン」
ゆっくりと手牌を倒す森口。

大三元の出アガリを選択する森口。

小泉散る。
背中に傷はない、武士(もののふ)として見事な散り際。

ターミネーター2の最後を思わせる見事な散り際。

南4局

いよいよ最終局。
親番の高見は伏せられるので、一発勝負での森口のハネツモが、唯一の逆転条件となる。

条件は満たせないが、9種を入れる小泉。
ドラも赤もない手牌の森口。
8マンのカン。ツモ番を増やし四暗刻を目指す岡田。

最後は、ハネマンの見えるイーシャンテンまで手を進めるも、森口にテンパイが入ることはなかった。

ラストワンマイル(最後の一牌)が遠い森口。

手牌を伏せ、安堵の表情を浮かべる高見。

親の高見が手牌を伏せ終局。
安堵の表情を浮かべる高見。

こうして、追い風ポールポジションからしっかりとリードを守り切った高見が優勝を手にする。

最強位瀬戸熊プロから優勝トロフィーを受け取る。素晴らしい。

総括

最後は全員ノーテンだったが、小泉・岡田はそれぞれ役満である国士無双・四暗刻のイーシャンテン、そして森口は条件を満たすハネマンのイーシャンテンまで手を進め、非常に場の波動の高まりを感じる一局。

全体を通しても、やはり今年もソーズが中心となり、実に8/17がソーズでのアガリであった。ここに役満のアガリ牌となった6マンのアヤが来期に残る事になる。


以上、観戦記を終わります。
最後までお付き合い頂きありがとうございます。

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