青山トンネルで痴漢に遭遇した夏の話

人生で、痴漢に遭遇したのは、これで2度目のことです。

 1度目は、日比谷線の車内の中で。それは、またの話で。

で、今回。

 暑い夏でした。用事があって六本木から渋谷まで、246をずっと自転車でのんびり走ってました。六本木からですと、西麻布の交差点でぐっとおりて上がって、それからは、比較的なだらかなに下がっていっている感じ。比較的漕ぐの楽な感じなんですよね。で、たらたら。自転車のカゴを気にしながら。

友人の結婚式の祝いということで、六本木のワインショップで、シャンパン購入してました。やや危ないながら、カタコトトと。

 で、青山トンネルの手前の交差点あたりで。

 道路挟んで反対側の歩道に、

赤いキャリーバックでゴロゴロ歩いている女性がいました。

白いシャツ、体のラインがくっきりでてまして、デニムのショートパンツですかね。

長く白い足がこれもはっきり、すらっと。薄暗い電灯の中ではっきり見て取れました。

 で、女性、信号待ちしてまして。

と、その時、信号無視のベスパが徐々に女性に近づいていくんです。

あれ、とやや、はなれた場所から自転車漕ぎながら、見ていると。

 おもむろに、ベスパにのっている男がおりまして。

いきなり女性の後ろからガバッと抱きつき。

 下品な言い方しますと、後ろから乳揉んでいるです。

 声にならないような感じで、「ちかんです...助けて!!」と必死に叫ぶ女性。

しゃがみこむんですが、調子にのってのしかかるように、止めない痴漢。

 とっさですかね。

自転車、乗り捨てて。

 駆け寄って。

 引き離して。

 肩掴もうとしたんですが、奴も必死に逃げに入って。

顔、対峙した時に、「うんぎゃー」なんて訳のわからない声を

発しまして。

メガネかけて、まあ、学生ですかね。大人しい感じ、10後半、20代前半といったところ。

いやあ、間近30cmのところに痴漢の顔ありましたから、びっくりしましたし、今思い出しても、あの表情と、奇声、気持ち悪くて。

変なことって憶えているもんですね。

 逃げる奴。

バイクに乗り込もうと。

追いかけてバイク蹴ろうとしたんですが、届かず。

ブーっと。

 で、女性に駆け寄ると。

「ありがとうございます」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫です。こういうこと、よくあるんです」

「よく!?。はあ」

「ところで、バイクのナンバー見ましたか?」

「いやあ、それどころでなく必死で追いかけてたんで」

「大丈夫です。私憶えてますから」

で、携帯とりだして、警察に、

「はいはい、そうなんです。今、痴漢いあいまして。青山トンネルの手前の交差点で。はいはい。茶色のベスパで、ナンバーは、××23..です。きっと、この辺徘徊しているんで、気をつけてください。はい、はい。あっ、私は、全然平気です。それじゃあ、お願いします」

 

また、手際のいいこといいこと。

ちょっと、びっくりしながら。

「大丈夫ですか?少し送りましょうか?」

「あっ、全然平気です。ありがとうございました。それじゃあ」

 って、またゴロゴロと。去って行きまして。

 

しかし、同じ経験したあるから、事後処理含めて対応慣れてたんでしょうか、わかりませんが...。

あんな、状況の中、被害者の彼女が、きちんとバイクの機種、色、ナンバーまで憶えてたのも、いやあ、いろんなことが驚きでした。

 

なんだか、変な気持ちのまま、自転車へ戻って。

ちょっと、正義のヒーローしたような、仕損なったような気分で。

救いは、「しまった!」と思って割れてるものと思ったワインが、乱暴に乗り捨てたカゴの中で存外無事だったことぐらいですかね。

 

 

 

 

 

 

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