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ししノベル

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#逆噴射小説大賞2019

「まほうつかい」を探して

「まほうつかい」を探して

「私は魔法使いではないよ」
終生、私が「先生」と呼ぶことになる人は、困り顔でそう告げた。
年若い私は、夜通し馬で駆けてきた疲労で朦朧としながら、両の手をついてこう繰り返したのだという。
「大賢者アーヴィエリ様、どうか名高い魔法のお力をお貸しください。どうか、どうか」

目を覚ましたのは広間の長椅子だった。夜は明け、朝霧の美しい気配が窓から立ち込めてくるようだった。側には帳面を手にした先生がいた

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ウォールナットグローブの復讐

ウォールナットグローブの復讐

「落ち着いて話そう、ローラ。20年も前の話だ。誰も正確に覚えてなんていない。君は子供だったからショックだっただろうね。だが……」

銃声は激しい雨の音にかき消された。神父はご自慢のしみったれた教会を転がり、情けなく這い回った。
「話をしたいわけじゃない、オルデン」
「痛い、痛い、血が」
「どうせもう死ぬ」
心底どうでもよさそうに言い放つと、乗馬靴の爪先をオルデン神父の口に捩じ込む。頬の肉を踏み

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くろがねの創世記

くろがねの創世記

「お前、呪われた戦士って知ってるか」
野営中、隣に座った奴が話しかけてきた。

「後ろの方の奴のな、向こうにいる親戚が知らせてきたんだと。『こっちには呪われた石の戦士がいる。死にたくなければ逃げろ』とさ」
「脅し文句だろ。親戚同士で戦は俺も嫌だ」
器の麦粥を木匙で突きながら言い返す。毎日食えるのはいいが、毎日食ってると飽きてしまう。天界の暮らしに飽きたサンビエータもこんな感じだったろうか。
「これ

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尸解帝廟弑逆録

尸解帝廟弑逆録

殭屍百八十六年。
壊死六国の大乱世を制し、大帝国「棺」を建設した皇祖張惨が自我と腐肉の全てを失い、皇太子張絞によって「埋葬」されてから百八十六年が経った。
一時は絶滅寸前と目された未死人だったが、二世皇帝張絞の計画的な増産によって、一千万人の水準を取り戻していた。
総人口の四分の一が生者となったのは実に四百年ぶりであり、棺帝国の繁栄はここに極まったといってよい。

「死して神仙となるにも、人として

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