30分刻みでない変則時間カセットテープの謎
はじめに
初めてC46テープを見たときは、なんて中途半端な長さのテープだと思ったが、その理由を知りなるほどなった。今回は30分刻みが基本のカセットテープの異端児、変則時間テープの話をしよう。
1.カセットテープの長さは30分刻み
カセットテープはオランダのフィリップスが開発、その収録時間は60分(片面30分x2)でC60と表記した。その後、30分短いC30、30分長いC90などが追加されバリエーションが増えた。
C60テープの長さは約90m、C90テープの長さは1.5倍の約135mとなる。これを同じ大きさのカセットケースに収めるため、C90はテープの厚みを薄くしている。さらにテープを薄くしてC120も製品化された。
これはテープレコーダーとの相性もあるので言い切れないが、C120は早送り巻き戻し時にテープが絡まったりすることがあった。それもあって大事な音楽録音では使うことを避けることがあった。
2.C46は何のためのテープですか?
C46テープが登場したとき、C30とC60の中間ならばC45になるはずだが、なぜ1分長いC46にしたんだろうかとなった。テープメーカーは、これはレコードの収録時間に合わせたものと説明。LPレコードの片面23分・両面46分がピッタリ収まり、レコードからカセットへのコピーに便利でしょうという話だった。これは納得できた。
3.C74は何のためのテープですか?
74分という数字をみてすぐピンと来た人は、オーディオに詳しい人だろう。74分は、CDの最大収録時間、あの有名なベートーベン第9交響曲の演奏時間。つまりC74は、CDをカセットテープにコピーするのに便利だとテープメーカーは説明していた。
しかしCDは全てが1面に収まっているから、A面・B面があるカセットテープにコピーするときは、どこかで区切ることになる。テープメーカーの便利さの説明は、いま一つ説得力に欠けるような気がした。
4.C54は何のためのテープですか?
54分の由来は分からないが、SONYはC54をロック音楽用として宣伝していた。ロック(6X9)54は語呂合わせのようにみえるが、SONYはグループ内にレコード会社CBSソニーがあるので、多数のロックアルバム収録時間のデータを解析して、54という数字を導き出したかもしれない。
また、これはカセットテープと直接関係はないが、TVの1時間番組は実際には54分が多いそうだ。
5.まとめ(まだまだ続く変則時間カセットテープ)
C46、C54、C74など30分刻みでないテープは最近は見かけなくなった。量販店で探しても見かけない。しかしカセットテープ全盛期にはなかった新たな変則時間テープが売られている、それがC10だ。
C10はカラオケや稽古用だそうだが、これがいま一番売れているカセットテープだそうだ。C10は片面5分だから、1曲だけ収録するのにピッタリだろうが、まさかこのようなカセットテープがあるとはまったく知らなかった。変則時間テープ恐るべしだ。
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