美鶴の明日

高瀬 甚太

 澱んだ川の流れが幾多のゴミを背に浮かばせてゆっくりと流れるさまを、山崎美鶴はずいぶん前から橋の欄干に立って眺めていた。
 明日で二十六歳になる日の前日であった。結婚を約束していた功と別れて二週間になる。幸福の絶頂から奈落の底に突き落とされた、そんな気分のまま今日まで過ごしてきた。

 「結婚式まで三週間しかないのよ。招待状も配っているし、新居には家具や電化製品も運び込んでいる。どうしてそんなことを言うの。私の何がいけないの」
 土壇場になって、別れたいと言い出した功の気持がわからなかった。功は何も答えず、頭を下げて、「悪かった。この通りだ」を連発するばかりだ。
理由も語らず、別れを切り出した功の真意がわからず、美鶴は功に対して怒りをあらわにし、なじった。功はそのまま去り、美鶴の前から姿を消した。
それでも、心のどこかで、美鶴は功のことを信じていた。ほんのちょっとした気の迷いなのだと言い聞かせ、翌日、功に連絡を取った。功は電話に出なかった。功の住まいに行き、ドアを叩いても功はドアを開けようともしなかった。
 ――私の何がいけなかったのだろうか。
いくら考えてもわからなかった。そのうち、功の友人から功の話を聞くことができ、その話を聞いて美鶴は愕然とした。
 功には、美鶴と並行して付き合っていた女性がいたのだ。一度は、その女性と別れて美鶴と一緒になるつもりで結婚の約束をしたのだが、結婚式が近づくと、やはり、もう一人の彼女の方がいいのではと迷い、美鶴と別れることにしたようだ。理不尽な別れに美鶴はどうしようもない怒りに駆られた。しかし、功は逃げ回って、美鶴の前にまったく姿を見せなくなった。
 「二股かけて付き合って、片方と結婚の約束をして、結婚式が近づくと怖気づいて前の彼女に逃げ込む、そんな男、こっちから縁を切ってやりな。そんな男と結婚しなくてよかったじゃない。結婚してもうまく行くはずがない」
 美鶴の友人はそう言って美鶴を励ましたが、実際、その通りだと、美鶴も思った。それでも二股をかけられていた怒りはなかなか収まらず、三週間後に控えた結婚式の後始末はさらに大変で、そのことに対する怒りもまた、美鶴を紛糾させた。
 破談になった結婚式の整理は、考えていた以上に美鶴を苦しめた。損害金もそうであったが、招待客に謝りの連絡をすると、ほとんどの者が美鶴を好奇の眼差しで見た。勤務していた会社に、結婚式が破談になったことを報告した時もそうであった。上司は好奇の眼差しを美鶴に向け、
 「そうなのか、きみも大変な男と婚約したものだね」
と、慰めとも冷やかしとも取れるような言葉を吐いた。
両親に報告をすると、両親は、娘を傷物にされたと怒りを露わにし、功を訴えると息巻いた。
 だが、それは美鶴が断った。これ以上、周囲から好奇の目で見られることに耐えられなかったこともあるが、一日も早く功を忘れたいという気持ちもあった。
 勤務先の会社をほどなく退職し、美鶴はしばらくぼんやりと過ごすことにした。
 功との結婚が破れ、傷心の気持ちでいた美鶴は、何をする気力もなく、功と暮らすはずだった部屋の中で、漫然と時を過ごした。
 ――なぜ、自分は生きているのか。何のために生きているのか。
 美鶴の脳裏を失意の思いが走り抜けた。
 大学を出て、就職をして、これといった目的もないまま、結婚だけを夢みて過ごしてきた。その結婚が現実となり、ようやく式が迫って来た時期になって、突然、破談した。
 結婚して、主婦になり、子供を産んで、お母さんになる――。
 美鶴の人生には、そのことしかなかった。特に何かをしたいとか、何かができるといったものもない。ごく平凡な女の日常が、美鶴の人生のすべてであった。
 ――私にとって幸せとは一体何だろう。
 美鶴は、最近になってそのことを頻繁に考えるようになっていた。以前なら、幸せな家庭と、はっきり口にすることができたが、今の美鶴にはそれが言えない。結婚がトラウマになっていたのだ。

 再び働き始めたのは、三カ月後のことだ。精神状態が芳しくなく、病院で医師の治療を受けた時、軽い躁鬱であると診断された。
 「このまま放置しておくと、重い精神病を患う可能性があります。閉じこもらずに外へ出て働きなさい」
 医師の言葉に従って、美鶴は再び外に出て働くことを決心した。
 美鶴は、パン屋の店員として働くようになった。正式な店員ではなく、アルバイトで、使用期間は三カ月と決まっていた。
 働き始めた当初、美鶴は、店員として客と接するのが苦痛で仕方がなかった。多くの客が訪れる忙しいパン屋であった。躁鬱から抜けだせないでいた美鶴は、客への対応で、客の反感を買うことも少なくなかった。だが、店主は、そんな美鶴に、特に注意はしなかった。
 そのことが功を奏して、三日もすれば美鶴は客の対応に慣れ、それまでの苦情が一気に減った。
 休みは一週間に一日しかなかった。勤務時間は午前9時から午後6時まで。体力的にどうだろうかと、当初、美鶴は不安に思っていたが、慣れるとそれも気にならなくなった。
 三カ月があっという間に過ぎた。パン屋の店員に就いたおかげで、美鶴の躁鬱は、医師も驚くほど改善した。心が健康になって来ると、美鶴の中に、人生に対する欲が出た。
 ――自分らしい生き方をしたい。
 美鶴が生まれて初めて自分の意志で人生を生きたいと思った瞬間であった。

 三カ月が過ぎ、アルバイトの期限が一週間後に迫った日、美鶴は店主に呼ばれた。
 「三カ月間、ありがとう。おかげで助かりました」
 店主は丁重に美鶴に礼を言った。美鶴が店主と言葉を交わすのは、この時が初めてだった。寡黙な店主は、黙々と工房の中でパンを作り続け、表に顔を出すことはなく、美鶴とも話を交わすことはまったくなかった。
 ほとんど無駄口を叩かない三十代半ばと思われる店主は、言葉少なに美鶴に言った。
 「どうですか。パンを作る仕事に興味はありませんか?」
三カ月間、パン屋の店員として働く中で、美鶴は次第にパンを作るという仕事に興味を持つようになっていた。
 「興味はありますが、自分にできるかどうか、自信がありません」
 美鶴は正直に答えた。今まで、ものづくりなどしたことがない。だが、この店へ来て、店主が懸命にパン作りに励む姿を見て、やってみたいと思ったことは事実だった。だが、自分にできるかどうか、まったく自信がなかった。
 「じゃあ、三カ月間、パン作りに挑戦してみませんか? 販売の方は、明日から新しいアルバイトが入ることになっています。山崎さんはパン作りを手伝ってください」
 キョトンとしている美鶴に、店主が言った。
 「言い遅れましたが、私の姓は、あなたと同じ山崎です。下の名前も、漢字は違いますが、読み方が同じ満です。これも何かの縁だと思います。明日から私の仕事を手伝ってください。よろしくお願いします」
 店主の満が笑顔を湛えて美鶴に言った。白い歯が印象的な武骨な笑顔だった。
 「店が開店するのは午前十時ですが、私が出勤するのは、その三時間前の午前七時です。美鶴さんも午前七時に出勤してください。一応、合鍵を渡しておきます。早く来たら、店を開けておいてください」
 美鶴が何の承諾もしないのに、勝手に決めて、満はさっさと工房に入り、パンを作り始めた。一瞬、ムッとした美鶴であったが、彼のような言い方をしてくれなければ、美鶴はきっと決心がつかなかっただろう。
 ――パンを作ろう。
 これまで流されるようにして生きてきた美鶴が、自分の意志で決めた、初めての仕事であった。
 ほとんど同姓同名の二人が共に工房で働いていると、夫婦にみられることがよくあった。アルバイトで入って来た販売店員の女子は、働き始めてすぐに美鶴のことを奥さんと思ったようで、初日から、美鶴を奥さんと呼び、慌てさせた。
 満は、武骨だが、やさしい男だった。言葉数こそ少なかったが、美鶴には、そのやさしさが十分伝わって来た。功とはまるで違う男がそこにいた。一時は男性不信に陥っていた美鶴だったが、満を知って救われた思いがした。
 働き始めて二週間が経った頃、美鶴は初めて満に食事に誘われた。
 「どうだ、美鶴さん。今晩、食事に行かないか」
 ぶっきらぼうな誘い方だった。パンを作る時の繊細さが、そこにはかけらもなかった。それでも美鶴は気にしなかった。むしろ、満のそんな言い方が気に入っていた。
 「嬉しい。どこへ連れて行ってくれるのですか」
 はしゃいでみせると、満が困ったような顔をして、
 「いや、それほど大した店じゃない。美鶴さんが喜ぶような店ではないが――」 
 申し訳なさそうに言う。美鶴が笑って、
 「いいんですよ。満さんの好きな店へ連れて行って下されば」
 と言うと、満は安堵した顔をして、
 「わかった。店の構えはともかくとして味は保証する」
 と言い、いそいそと閉店の準備を始めた。
 雨が降り始めていた。日中、天気が良くて、急に降り出した雨だったため、美鶴は傘の用意をして来なかった。
 「置き傘が一本あるから、これを使えばいい。おれは濡れても平気だから」
 満が美鶴に傘を差し出す。美鶴はそれを受け取ると、
 「わかりました。じゃあ、相合傘で行きましょう」
 と傘をさして、満に呼びかけると、一瞬、躊躇していた満であったが、照れたような顔をして、美鶴から傘を取り上げると、美鶴が濡れないように気を使いながら、二人して夜道を歩いた。
 満が案内した店は、お世辞にもお洒落とは言い難い大衆食堂だった。暖簾をくぐり、ガラス戸を開けると、
 「みっちゃん、いらっしゃい」
 と大きな声が飛んだ。
 「珍しいね、みっちゃん。女の子と一緒に来るなんて」
 冷やかすようにして、店の主人らしき人が言う。
 満は照れ臭いのか、無言でテーブルに着く。四人掛けのテーブルに美鶴は、満と対面するようにして座る。見た眼とは裏腹に、意外に清潔な店内に驚いていると、老齢の女店員が近づいてきて、美鶴に言う。
 「あんた、みっちゃんのこと、たのんまっせぇ。この子、口下手やし、武骨なところがあるから、誤解されやすいねん。ほんま、みっちゃんはええ男やから、あたいが保証するから間違いない」
 美鶴が慌てて、店員に弁解しようとすると、満が、それを止めて、
 「気にしなくていいよ。おせっかいなのがこの店の特徴なんだ」
 と言う。美鶴は、店員の言葉を聞いて、満が独身であることを初めて知った。
 「満さん、独身だったのですか?」
 美鶴の言葉に、満は小さく頭を振り、それ以上、何も答えることなく料理をオーダーした。
 「小汚い、口煩い店だけど、味だけはいい。しっかり食べてくれ」
満はそう言って、家庭料理を中心にした料理を次々とテーブルに並び立てた。
 美鶴は、ふと功のことを思い出した。功は満と違って自分勝手な男だった。ろくに食事に行ったこともなく、たまに行くことがあっても、自分の好きな店に行き、自分の好きなものだけ注文し、美鶴を気遣うことなどなかった。金を払うのも美鶴だった。
 どうしてあんな男と付き合ったのだろうか、自分の男を見る目のなさに、美鶴はほとほと感心した。好きな時に好きなように美鶴を抱き、美鶴がその気にならない時でも、お構いなしに求めて来て――。美鶴を愛していると言いながら、他の女と平気で二股かけていた。別れてよかったと、今さらながら思った。
 「どない、美味しいか?」
 満が聞く。美鶴は口の中を肉じゃがで一杯にして大きく首を振った。
 ――美味しい、本当に美味しかった。
 その夜、美鶴は、満ち足りた気分で店を後にし、駅で満と別れた。別れる間際、満は何か、言いたそうに口をモゴモゴさせたが、結局、何も言わず、そのまま別れた。

 パンを作る仕事は楽しかった。満は、相変わらず寡黙で、一日中、黙々とパンを作り続けている。美鶴もまた同様に、満のアシスタントをしながら寡黙にパンを作り続けた。
 あの日以来、美鶴は満に食事を誘われていない。二カ月ほど日が経っていた。
 「満さん、私、また、あの店に連れて行ってほしい」
仕事を終えて、帰ろうとした時、思い切って美鶴が満に言うと、満は驚いたような顔をして、
 「えっ、構わないけど――」
 と言って、少しドギマギした。このところの満の様子がおかしいことに美鶴は気付いていた。その様子を見て、好きな人が出来たのかなと、美鶴は思った。パンを作り続けて三カ月近くになる。そろそろクビになるのではとも思っていた。
 ――三カ月間、パンを作ってみませんか。
 あの日、満は美鶴にそう言った。その約束の期限が迫っている。
 「満さんとの思い出にしたいから」
 美鶴の言葉に、満がドキンとした顔で美鶴を見た。
 店員として三カ月、パン作りの職人として三カ月、美鶴は満のことが大好きになりかけていた。
 だが、満には美鶴への関心などなさそうに見えた。このところ、特にそうだ。落ち着きがなく、心ここに非ずといった様子の時さえあった。
 ――好きな人ができたのだな。
 と、美鶴は確信めいたものを抱いた。
 「わかった。じゃあ、急いで後片付けをして出かけよう」
 満は、そう言うと、急いで閉店の準備を始めた。
 この日は雨が降っていなかった。空に月がはっきりと見え、星もちらほら見えた。満は相変わらず寡黙で、じっと黙ったまま歩いている。
 美鶴は、満の腕を思い切り強く掴むと、その腕を自分の腕に絡ませた。抵抗するかと思ったが、驚いたのは最初だけで、すぐに満は従った。
 満に出会ってよかったと、美鶴は思っていた。満に出会わなければ、美鶴はきっと今でも功のことを思って悶々としていたに違いない。人間の素晴らしさは、身近に接して、長時間共に働くとよくわかる。隠されていた人間性が顔を出すことがあるからだ。功がそうだった。付き合えば付き合うほど嫌なところが出て来て、よいと思うところは、嫌なところに次々と押しつぶされて行った。
 ところが満は違った。一緒にいて、ホッとするものがあった。存在が安心感を与えてくれる人なのだ。考えられないほどの大きな包容力が満にはあった。
 「満さんが言っていた三カ月がもうすぐです。私、本当に楽しかった。満さんのおかげで私の生きる道が見つかったような気がします。満さんの店をクビになっても、私、また、パン屋さんに勤めようと思っているんですよ」
 美鶴の言葉に、満が驚いて反応した。
 「クビ――? おれが美鶴さんをクビにするって?」
 「だって、満さん、三カ月って言ったでしょ。もう忘れたのですか」
 「いや、それは――」
 「いいんですよ。満さん、好きな人が出来たんでしょ。私に遠慮することありませんから。満さんと働いたこの三カ月間が、私の一生の宝物です。それだけで私、充分ですから。それよりも、満さんに教えていただいたお店に行くの、楽しみ。満さんとの思い出の店として私の中に留めておきます」
美 鶴は、晴れ晴れとした気持ちでいた。人を好きになって、別れが近づいているというのに、どうしてこんなに晴れ晴れとしているのか、自分でも不思議でならなかったが、それもこれも満の人柄に起因しているのだと、美鶴は思った。
 「美鶴さん、きみ、大きな勘違いをしていると思う」
 満が美鶴にそう言った時、すでに店の前まで来ていた。
 暖簾をくぐってガラス戸を開けると、
 「みっちゃん、いらっしゃい。おおっ、彼女も一緒かい? みっちゃん、よかったね。うまく行ったんだね」
 店主が大声で満と美鶴を迎えて言う。さほど大きくない店だ。食事中の客の目が二人に注がれる。
 ――うまく行った?
 美鶴にはその言葉の意味がよくわからなかった。
 四人掛けのテーブルに対面するようにして座ると、前回と同じ、老齢の女店員がやって来て、満に言う。
 「みっちゃん、わたし、このお嬢ちゃん好きだよ。だって、あんなに美味しそうに食べてくれる女の子って滅多にいないよ。いい子だよ、この子は――」
 「だって本当に美味しかったんだもの」
 美鶴の言葉に店員が顔をくしゃくしゃにした。
 「みっちゃん、この子、大事にしなよ。こんな子になかなか出会えないよ」
 満が顔を真っ赤にして頷く。美鶴には何を言っているのか、まるで見当が付いていなかった。そんな美鶴に、満が改まった顔をして、
 「美鶴さん」
 と言う。満の真剣な表情に、美鶴は驚いて、
 「満さん、どうしたんですか」
 と聞く。満は、一度大きく深呼吸をすると、美鶴に向かって言った。
 「美鶴さん、おれ、あんたが好きです。うちに店員としてバイトに着た時から、ずっとあんたのことが好きでした。パンを一緒に作り始めて、おれは、おれの女房は美鶴さんしかいない。真剣にそう思うようになりました。でも、あんたがおれのことをどう思っているかわからなくて、断られたらどうしようと、そればかり考えて――。あれ以来、おれはあんたを誘うことも出来なくて、ずっと悶々としていました。お願いします。おれと一緒にパンを作ってください。お願いします」
 店内に響き渡るような大きな声のように思えた。でも、誰も注目こそすれ、笑ったりする者はいなかった。この店にやって来るたびに満は、店主や店員のおばちゃんに自分の気持ちを打ち明けていたのだろう、店主も店員のおばちゃんも、店の人も、みんな真剣な表情で美鶴の返事を待っていた。
 「ありがとうございます。一生、満さんと一緒にパンを作らせてください」
 美鶴は、即座にその言葉を言って退けた。満が喜んだことは言うまでもない。店の客や店主も女店員もみんな、二人を祝福したこともまた――。
 今日が満と食事をする最後の日だと覚悟していた美鶴は、思いもかけない満の告白に、最初は驚き、でも、その後、すぐに安堵して、大粒の涙をポタポタと肉じゃがの上に落とした。
 出逢いはどこにあるかわからないと美鶴は思った。哀しみの後に喜びが待っているなんて、ドラマの上でのことだと思っていた。今、ここにある人生に美鶴は感謝した。

 美鶴と満の結婚が決まり、満の要望で日取りを急ぐことになった。結婚式を控えた休日、準備に忙しい美鶴の元に功から電話があった。
 ――やっぱりお前の方がいい。お前と結婚したい。
 功の勝手な物言いに、美鶴の怒りが爆発した。
 ――おあいにく様、私はもうすぐ結婚します。二度と電話をしないでください。
 それだけ言って電話を切った。
 パン屋は順調だった。パン作りの好きな二人が作るパンだ。美味しくないはずがない。繁盛しないはずがない。
 美鶴と満、同姓同名の二人の結婚は、もう間近に迫っていた。
<了>


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