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藍宇江魚 短編集

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藍宇江魚の短編集です。 ここには、noteで公開した10000字くらいまでの作品を収めました。 ジャンルはフリー。 小説、エッセイです。 ヨロシクお願い致します。 ちなみにヘッダ…
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#日常

さくらショッピング2

 …煩いわねぇ…  ファミレスで主婦友の麻里奈を待つ明日香、周りの席で喧しい主婦友グループに閉口。             *  名前:河合麻里奈  年齢:41歳  属性:専業主婦  家族:亭主、中学2と幼稚園の息子たち  娯楽:通販  恋心:宅配の吉本くん  失恋:十中八九、宅配の吉本くん  不安:内緒で買った楊貴妃ジェルのことが明日香にバレたらどうしよう             *  SNS:小泉明日香→河合真理子             *  名前:小泉明日香  年齢:

黒と白

 寝室の姿見鏡に映る自分を見ながら哲司は顔をしかめた。 「喪服に白いマスクはなぁ…」  独立前に勤めていた会社で入社以来世話になった上司にして、自分の会社の主要取引先の社長が急逝し、その日の午後に社葬が執り行われる。 「社葬だろ。マスクは黒の方が…」 「パパ。何してるの」  妻の早苗が苛立ち気味に寝室を覗きながら言った。 「社葬に白いマスク。まずくないか?」  早苗はあきれ気味に言った。 「もう。直ぐ出ないと式に間に合いませんよッ」           *  コロナとはいえ社

カップルたちの『あ』『そ』『こ』

      もう直ぐ金婚式の二人の『あ』れ 「あれ。どこ?」 「あれ?」 「あれだよ」 「あれのこと?」 「あれ」 「あれね」 「あれじゃない」 「あれ、じゃないの?」 「あれだって。あれッ」 「あれって…」 「あれなんだけどなぁ」 「あれあれって…」 「あれですよ…」 「あ…、あれ?」 「あれっ」 「あれね。はいはい」       肉特売場付近での夫婦の『そ』れ 「それ安いなぁ…」 「それ要らない」 「それとか?」 「それも要らない」 「それッ」 「それ入れない」 「それ

縁側から見える枇杷の生垣

 今年も、隣家との生垣で植えている枇杷にたくさんの実が生った。  征子がそれを収穫していた時、足元に落ちている枇杷の種に気づいた。  彼女はしゃがむと、その種を愛しむように指先で撫でた。           *  庭を散歩している征子の足元に、枇杷の種がポトリ降り落ちて転がった。  …建造め。また、うちの枇杷の実を…  垣根越しに隣の庭を覗くと、征子の幼馴染の建造が枇杷の実をムシャムシャ食べている。  彼を見るなり、征子は大声で怒鳴った。         「こらッ。う