フォローしませんか?
シェア
藍 宇江魚
2021年8月30日 17:00
お勢は、夕餉を食する徳兵衛をジッと見つめている。 箸を口へ運ぶ手を休めて徳兵衛は、お勢の顔をみると微笑んで言った。「お勢。この煮つけ。とても美味しいよ」 お勢はちょっとがっかりした顔つきとなる。「どうしたんだい?」「…」「蛻吉にも食べて貰いたかったんだね?」 お勢、頷く。「仕事でね。蛻吉の奴。しばらく戻れないかもしれないねぇ」 お勢、更に深く項垂れ。「心配しなくてもお勢の気持