いい会社をつくりたくても、つくれない社長はこういう人
社長として業績軸から幸せ軸へ経営改革をしようと決断ができました。
これからはイケイケドンドンでなく、伊那食品工業のように身の丈に応じて、じっくり腰を据えて「いい会社」をつくっていこう。
時間はかかるかもしれないが、この人を大切にする人本経営は、間違いなく自分たちを幸せに導いてくれるはずだ。
さすがは経営者
これだと気づいたら行動は早いです。そのとおりです。決断よしですね。
人本経営の指導を13年してきましたから、ここまでのストーリーにはたくさん遭遇しました。そして、関係の質が向上し、お互い様、おかげ様の企業文化が花開き、得も言われぬ居心地の良い空気感が社風として醸し出るような「いい会社」になっていった会社のサポートもたくさんさせていただきました。
しかし一方で、こうして決断して行動しても、理想とする状態に遅々として近づかないケースにも少なからず対峙してきました。
なぜ人本経営に失敗するのか
何が明暗を分けていくのでしょうか。
人を大切にする会社になるのなら、それはいいことだと社員の多くが思うことは間違いないでしょう。会社がどう変わっていくのか見守っていこうという姿勢にはなるはずです。
トップとして、他の「いい会社」が行っている取り組みをベンチマークして自社に取り入れていくことはセオリーです。
TTP=徹底的にパクる
ということで、実は今では有数の「いい会社」になった会社も他社の好事例を参考にして成功しているケースがほとんどです。
社員との対話の促進が大事だということがわかり、いい会社がやっているという朝礼を真似したり、風土改善のための研修を実施をしていきます。
誰にとってもいいことに違いない人を大切にする経営をしようというのだから、うまくいくに違いないと思っていました。
ところが、、、
あなどれない抵抗勢力の出現
ここで思わぬ反発が一部の社員から出てくることがあります。いわゆる抵抗勢力という存在です。往々にしてそれなりに社歴のあるベテラン勢がそうした行動をとり始めることが少なくありません。
業績軸から幸せ軸への経営革新は、慣れ親しんだそれまでの慣行を真逆にしていくアプローチも時として必要になります。
例えばリーダーには、これからは管理ではなく支援が重要な役割使命だと理解して行動してもらう必要が出ます。
上下の関係でなくではなく、同志として仲間として、メンバーのやりがい、働きがいを考えていこうと働きかけるわけですが、「そんなことは甘い」とか「かったるくてやってられない」と腹背してくるのです。
言っていることとやっていることが違う
ここでの行動が、その後の雌雄を決します。
その状態になったら、覚悟を決めて抵抗勢力と向き合っていくより手はありません。ひざ詰めして真剣に人を大切にする人本経営の重要性を説き、力を合わせてほしいと理解を得られるまで根気強く交渉をしていことです。
このプロセスを経ないで、急いて経営改革を断行していくと、現場のメンバーが混乱します。社長はああ言ってるけど上司は相変わらずの態度をしている。社長も見て見ぬふりをしている。言ってることとやっていることが違うと多くの社員が感じ始めたら、もう万事休すです。
共感する右腕、左腕の存在の重要性
いい会社をつくりたいと逸る気持ちはわかりますが、社長ひとりで出来ることはたかが知れています。
業績軸から幸せ軸へ動くときには、後継者候補と認める力量と人望のある者に対して、これから会社が進みたい方向をきちんと説明し、納得してもらい、共感して力を合わせてもらえるという関係性を築き、そうした信頼できるメンバーが右腕、左腕となってくれる状態をつくっていくことが重要です。
実際、人本経営実践講座に経営者がほかの経営幹部と一緒に受講したり、次の期に送り込んで理解者を増やす努力をしている会社はことのほか多いのです。なんと今年度は総勢27名の管理署全員で人本経営実践講座を受講している会社もあるくらいです。
人本経営が軌道に乗るまでの間は、顧客開拓やクライアントのことは現場の社員にまかせて、社内に目を向け特に経営幹部と思いの共有を図ることに時間を割いていくことです。
人本経営に失敗するリーダーにみられる傾向は、やっとの思いで人本経営の実践宣言したのに、社員第一主義を実践しきれないパターンが多いというのが、ここまでの結論です。
社員に向き合い一人ひとりとの対話が極めて重要なのに、目先の利益に気を取られトップセールスだとして社内を留守にし、社員と思いを共感する時間が不十分なままで、結局、事態が固まっていってしまった事例は少なくありませんでした。
会社は経営者の器以上にならないとはよく言ったもので、本当にその通りかもしれません。
具体的な全社での人本経営施策に取り組む前に、その行動に共感してくれる右腕、左腕の存在がいるのか、この有無が成否を分けるといって過言ではないのです。
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