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アラカルト・オムニバス・フルコース 『異人と同人Ⅱ』

浅生鴨さんが主催する同人誌『異人と同人Ⅱ 雨は五分後にやんで』。月曜に届いて平日のうちに読み終えたのですが、おかげで寝不足。週末はほとんど寝て過ごすことに。

それはさておき、読み終えるのがもったいない素敵な本です。これから読めるひとがちょっとうらやましい。

著者の皆々さまに感謝を込めて、私のつたない感想を記しておきます。ネタバレのないように気をつけて。


オープニングは、浅生鴨さんのエッセイでスタート。グッとくる。

続いて高橋久美子さんの短編。本書の共通キーワードである「五分」をそのままモチーフとして広げた、ちょっと奇妙であたたかな寓話。あたりまえにそこにあるもののありがたみを強く感じる。人物の名前とか細かい設定も楽しい。

もしかして最初にいちばんいい話が来ちゃったんじゃないの?いいの?

ゴトウさんの漫画は微笑みと安心感。

シャープさん。うわっ、いい。この人の発想力と視点の暖かさはたまらんな。前作よりもさらに好き。

永田泰大さん。この小説、すっごいよかった。永田さんって実況のプロってイメージでしたが、これは必見です。これ読めただけでもこの本を買った価値がある。なんだよ、前作からの参加組はずいぶん気合が入っているではないか。

もうこの時点で、すごいオムニバスであることが確定しました。

野口桃花さん。泣くよ、こんなの。一見よくありそうなモチーフだけど、詳しく書かれていないところに物語が感じられて心が揺さぶられる。カラフルで、装丁の色合いのイメージにいちばん合っているし、挿し絵も良いな。この人のための同人誌のようにすら思える。

ゴトウさんのネタ、かなり好き。飲み会で使いたい。

浅生鴨さんのエッセイ。モエガラジオの期日前版を聴いてしまったので
説得力がない(褒めてます)。

小野美由紀さん。もうねぇ、素晴らしい短編がこれでもかと。なんて言って良いかわからないけど、あえて言葉にすれば、真っ黒なカンバスにカラフルな色を塗ったような、うーん、あんまりうまくない。とにかく読んでみて。

田中泰延さん。あなたがそこにいてくれて、ほっとしました。癒しの王。

岡本真帆さん。短歌って、こういう表現もあるんだと感心。こういう感性はいいなぁ。

ふいに差し込まれる画像にニヤける。

今野良介さん。娘かわいい。妄想チャンピオン。

ゴトウさんのイラスト好き。

浅生鴨さんのエッセイ③。五分の差し込み方にニヤッとする。

山田英季さん。この同人誌、読んで楽しいだけではなく、実生活の役に立っちゃうの!?

山下哲さん。このパズル、すっごい難しくて、すっごい面白かった。おかわり欲しい。

スイスイさん。やっぱりだ、連続参加者は気合の入り方が違う。この人の書くものは私が経験した事のない感情がたくさん出てくるので少し戸惑う。そういうバラエティーに富んだ話がごちゃまぜに読めるのも、この本のありがたいところ。大前粟生さんの小説を連想した。

今泉力哉さん。生半可なコメントができない。星野源が10年くらいしたらこういうモチーフで歌っていそう。

ゴトウさんのイラストかなり好き。

浅生鴨さんのエッセイ④。共感の嵐。

小野美由紀さん。前作もそうだったけど、この方がもっともこの同人誌を満喫しているのでは。そう思わせてくれる雰囲気がとても楽しい。

河野虎太郎さん。ふふふっ、ニヤニヤがとまらない。同人誌だ。こういうネタ素敵だ。好きだ。

幡野浩志さん。この方の言葉はひとつひとつ胸に響く。あとで写真集見よう。

よなかくん。たぶん、なんか、すごいもの読みました。ひゃー。

浅生鴨さんのエッセイ⑤。妄想炸裂。

古賀史健さん。謎はさらに深まった。楽しい。

ゴトウさん。この人の感性、好き。飲み会で使いたい。

岡本真帆さん。短歌パート2。音や色が浮かんでくる。短歌っておもしろいなぁ。

浅生鴨さんの小説。ズッキューン、撃ち抜かれました。鴨さんらしい、ちょっと変な話。表面的には変なんだけど、人間の本質を見つめるような、それでいて温かい視点もあって、、、えーと、まぁ読んでください! この衝撃は『エビくん』級。

ちえむさん。確かにそれは五分。

高島泰さんの小説。ラストを飾る名作。本気と書いてマジでスゴい。文藝協会の偉い人が知ったら、歴史小説ベストのオムニバス文庫に選ばれちゃうんじゃないか。ここで読めてありがたやありがたや。
この方の正体は巻末の著者一覧でわかってしまいます。先日の「気まぐれラジオ」(ほぼ日)にゲスト出演されていた際、ぼそっと「書きたいものを書いた」、「お父さんの影響で漢詩が好き」とおっしゃっていたこと。一昨年ネパールを訪問し、おそらく強い想いを抱かれたこと。それらがこの小説にすべて繋がって感じられ、胸が熱くなり過ぎてちょっと膨らんできたかも。
こういうの、もっと読みたいです、泰延さん!!!

とにもかくにも、同人誌の枠を超えた(300ページ超ハードカバーという時点で規格外ですが)お得なスーパーアラカルトオムニバスですわ。
そのまま今年のベスト短編集にしちゃっていいんじゃないでしょうか。

あ、まだ一般発売(6/5)前だった。


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