Born Under A Bad Sign 聴き比べ

「悪い星の下に生まれたのさ」ブルースらしいテーマに、泣きのギターとカッコいいリズム。ブルース界隈でも人気があって、カバーがたくさんあります。ギターの音色や弾き方の違いをたっぷり楽しめます。

まずはオリジナルのアルバート・キング(1967)

いろんなブルースを聴き慣れてくると、アルバート・キングってかなり都会的というかおしゃれに感じてきます。この曲は当時からブルース、R&B界隈ではヒットし、収録されたアルバム自体もブルースの名盤とされています。ギターといい、ボーカルといい、不幸だと言いながらいい音出してて、あきらめてない感じです。


知名度がグッとあがったのは、クリームのカバー。これ、アルバート・キングの翌年(1968)に出ているんですね。

あえて悪ぶって不幸感を演出してますね。


アルバート・キングのフォロワーたちはこぞってカバー。

ジョニー・ウィンターはかなりロック調。エネルギッシュ!

全然不幸じゃない。ノリノリ。


スティーヴィー・レイ・ヴォーンはアルバート・キングと共演。遠慮しているようにみえる。

緊張しているけど、もはや幸せそう。不幸じゃない。


ココ・テイラーはバディ・ガイを巻き込んで。ココの歌はパワフルで自由。バディ・ガイのギターも特徴あるなぁ。好きだわ。

疫病神をしかりつけてる感。


フリートウッドマックの中心人物だったピーター・グリーン(1992)

抑え気味のギターがカッコいい。

昔は確かに生まれを恨んで悪ぶってたねぇ、なんて振り返る余裕の心もち。


日本のバンドもカバー録音しています。

ゴールデン・カップス(1969)

この時代に日本人がカバーしてたというのに驚きました。これはおそらくクリームのコピーですね。カッコいい。

ゴールデン・カップスは、テレビでは『長い髪の少女』などのいわゆるナツメログループサウンズしか聞いたことがありませんでしたが、ライブでは当時の洋楽カバーばかりやっていたそうです。


RCサクセション(1988)

忌野清志郎の日本語詩が素晴らしいの。原曲の雰囲気を保ったままメロディーに日本語をのせる言葉のセンス。

この曲が収録されたアルバム『Covers』が発売禁止になったので、「不幸」がなんだかリアル。


そして最近、この曲をアルバート・キングに提供したウイリアム・ベルとブッカー・Tがそれぞれ再録カバーしている!


ウイリアム・ベル(2016)

イントロから全然違うけど、ボーカルのメロディはいっしょ。落ち着いてて、カッコいい。


ブッカー・T(2019)

アルバート・キングのアレンジ、と思ったらギターのフレーズがほとんどなくなってて新鮮!「俺が元祖」感。

ほぼ演歌だ。演歌はブルースだ。


音楽って、イイですね。