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小説「熱源」の世界を網走で

川越宗一さんの「熱源」素晴らしい歴史小説ですね! 、、って下書きを書いて、写真が足りないなぁとか内容もうちょっととか逡巡していたら、あら直木賞候補にノミネートされているじゃないの! 記念に早いとこあげちゃえ!ということで、写真はおいおい追加します。

僕が感銘を受けたのは、内容はもちろんですが、たぶん僕がオホーツクで暮らしているため世界観が想像しやすかったことも大きな後押しになっていると思います。そう、オホーツクは「熱源」の世界を身近に感じられる”地の利”=網走市があります。網走市内在住ではないですが「熱源」を感じられる網走のスポットを紹介してみようかと、無謀にも思い立ちました。だって「熱源」面白いし、共感してほしいんだもの。

1.まずは、北海道立北方民族博物館

アイヌだけでなく、ニブフやウィルタ、さらには北米のエスキモーや北欧のサミまで含めた北方に暮らした方々の生活や文化を総合的に展示している施設です。「熱源」を読む前に訪れていましたが、読了後はその姿がいっそう活き活きと感じられるようになりました。とにかくたいした博物館です。

物語で重要なアイテムであるトンコリ(琴)をはじめ、イナウ(木幣)、ソリ、丸木船、衣類、小刀、装飾品など、たぶん物語に出てくる全ての品々はここで実際のものを見ることが出来ます。

また、映像資料もあり、犬ぞりを操る姿や、投げ縄でトナカイを捕まえたりトナカイに乗ったりする映像も見ることができます。

「熱源」の舞台として描かれる樺太=サハリン。終戦後、ソ連の支配下となったサハリンから日本での暮らしを希望したアイヌやニブフ、ウィルタの方々が移住しした地が、ここ網走だったそうです。そのため、この施設には関連する収集品が充実しているそうです。

網走には戦後、樺太(サハリン)から引き揚げてきた人々が移り住み、なかにはウイルタやニブフなどサハリン先住民族の人々もいた。

失われつつあった文化を後世に残したいと「熱」を持った人たちが、こういう収蔵品を集め、保存してくれているんでしょうね。一見の価値ありですぞ。


2.次に網走市立郷土博物館

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野生動物から遺跡発掘物、地域の近代まで、貴重な品々が所狭しと詰め込まれて(!)います。びっくり。贅沢すぎる。

野生動物の剥製は圧巻。

「熱源」との関連では、ヤヨマネクフが射った熊、兎、毛皮で登場するアザラシ、羽飾りで登場する鷲、漁の対象である鮭、などを見ることができます。

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「熱源」と関係ないけど、ラッコってデカイんだと驚き。アザラシとたいして変わらないじゃん。

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また、ここではブロニスワフが収集したものと同様なアイヌの所持品、小刀や装飾品なども見ることができます。


3.そして、モヨロ貝塚館

館に向かう道すがらに「熱源」にも登場する金田一博士による記念碑があります。金田一博士は網走市とも縁が深く、特にこのモヨロ貝塚には何度も訪れたそうです。

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ここでは、ニブフの家が再現されています。まさにブロニスワフがサハリンで訪れたニブフの半地下の家、冬の家そのものです。実際に網走に住んでいたニブフの方の指導で再現されたそうです。

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※家の中は普段は公開されていません。下の写真は「モヨロ祭」で特別公開された際に撮ったものです。

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もともとサハリンから稚内〜網走にかけては、古代から交流のあった地域だそうです。この地域の遺跡からは、縄文とも弥生とも異なる様式の土器が発掘されており、オホーツク文化と呼ばれています。このモヨロ貝塚はオホーツク文化を代表する貴重な遺跡です。古代の人々の暮らしが丁寧に展示されていて、僕のお気に入りの場所です。

館内には司馬遼太郎記念館との繋がりも記されています。司馬遼太郎は「街道を行く」シリーズで「オホーツク街道」を書いており、そこではモヨロ貝塚を発見した米村博士を起点に古代への想いが展開されています。 


このほかにも、網走には、ゴールデンカムイで注目の網走監獄や、流氷博物館もあり、文化施設は本当に充実しています。

「熱源」に震えた方もそうでない方も、ぜひお越しあれ!


2020年1月15日追記;直木賞受賞!おめでとうございます!!





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