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ボロボロ泣かされた『塩狩峠』(三浦綾子)

はじめて読書で大泣きした、ちょっと恥ずかちい思い出の本です。読んだ当時大学1年だったから、もう30年以上前か。日焼けした文庫が塩狩峠の向こうの実家に置いてある。

国道40号線、旭川の北隣り比布(ぴっぷ)町から和寒(わっさむ)町に抜ける塩狩峠、いま車で行くと、あれ?いま峠だったの?と思うような通行しやすい立派な道路が引かれていますが、40年前はちゃんとクネクネした峠道でした。列車(ディーゼル)に乗ったこともありますが、勾配で速度が落ちる場所がありました。

名寄発の上り列車が塩狩峠の勾配を登っていたとき、客車の連結が外れて下向きに走行、非常ブレーキが効かず自分の生命を犠牲にして列車事故を回避した乗務員、という壮絶な史実を元にした小説。

主人公の人生を描き、当然その事故シーンがクライマックスなんだけど、大泣きポイントはそこじゃなかった。思い出してもちょっとうるっとくる。

主人公とその周りのキリスト教信仰、そして生命を投げ出す究極の自己犠牲。でも、本当に信仰があったからそういう行動に出たのかは、ちょっとわからないなと思う。それ以前の資質というか、生き方の指向のようなものもあるのではないだろうか。

本当の危険が迫っているとき、他に選択肢がない時に行動ができるだろうか。当時考えていた気がする。

利他的で必死に役割を全うしうとした人たちの物語には感動する。ただ、今の働き方からは、たかが仕事で、自分のを犠牲にして、なんていうのは逆行するようにも思える。それだけ安全で豊かな社会になった証なんでしょうね。


ちなみに。

比布(ぴっぶ)町って、ピップエレキバンで一躍巷にその名をとどろかせた町です。樹木希林さんとエレキバンの会長さんがCMロケで実際に訪れたんですが、ウンウンうなずいた人はそれなりの年齢ですぞ。


和寒町は、「わっさむーい」ネタと、全国玉入れ選手権、越冬キャベツで知る人ぞ知る存在です。越冬キャベツってすごくでっかいの。



あ、思い出した。本を読んで泣いたのこれがはじめてじゃない!

これだ。小学校低学年の教科書に載ってた。

『かわいそうな象』


結構泣いてんな、オレ。

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