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『井筒俊彦ざんまい』

京都の淳玖堂で閉店前にやっていた井筒俊彦関連選書を見かけてチョイス。井筒氏の著作を読むべき妙な義務感を覚えつつも、難しい内容に壁を感じていたので、ここから入ってみようかと。

内容は、生前関わりのあった研究者や著名人による私的な思い出や著作の偉大さを語った寄稿をまとめたアンソロジーでした。

とにかくすごい人だったというのは、よくわかりました。また、おそらく同じ内容を説明しているんだろうけど、語る人によってずいぶん違う。

専門家の記述は、文字は追ったが内容は半分も理解できていないと思う。けど、読んでいるうちになんとなく井筒氏が主題としたことはなんとなくわかった気になってきた。これから井筒氏の著作を読むにあたって良い道標が得られたと思う。

一方、瀬戸内寂聴、立花隆、司馬遼太郎の文章は読みやすかった。

特に司馬遼太郎の寄稿は、感動してしまった。これだけで、個人的にはこの本を手に入れた価値がある。大作家の文章を批評するのもおこがましいが、リズム感に溢れ、情景描写が美しく、ご自身の想いも強く伝わってくる、ずっと読んでいたい心地良さを感じた。そもそも司馬遼太郎自身が心を大きく動かされた人物(井筒氏)であり著作であったということが強く伝わった。

井筒氏の著作は、自己の精神鍛錬を行ったものしか、本当の意味が理解できないような感じがする。それでもやっぱり読んでみなければならないと改めて感じてしまった。

まずは「イスラム文化」から入ってみよう、と思いながら数ヶ月経っている。