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書くために読むといい本を読んだら記録していくの巻
世の中は本であふれていて、何を読めば良いのかわからなくなる。信頼できる紹介者が必要だ。
敬愛する田中泰延さんが、書著『読みたいことを、書けばいい。』で、おすすめの本を紹介している。たいへんな読書家でもある田中泰延さんの推薦図書なら、是非とも読んでおきたいところ。
なお、詳しい本の紹介は田中さんの著書を参照ください。
以下、私が読んだ私のための記録。全部読んでから感想を書くのはいつになるかわからないので、読んだところから、追記していくこととする。
○ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』
冒頭から、幼少期のみずみずしい感性の描き方に驚き、これがノーベル賞作家の力なのかと驚く。その後の人生は波乱万丈、強烈な個性の一生を描ききった、素晴らしい大河ドラマだった。ロマン派の作曲家達が活躍した頃のドイツ、フランスの雰囲気が(自分なりにであるが)想像できるようになり、不思議なことに、読後にはクラシック音楽の感じ方が変わった。うまく言えないけど、沁みるようになった。
これ、読んだら良いよ。
○司馬遼太郎『坂の上の雲』
『読みたいことを、書けばいい。』が書かれる前に、既読だったので、クリアしたものとする。司馬遼太郎の著書ではいちばん好きだ。どう世代には、そういう人が多いだろう。
『読みたいことを、書けばいい。』で紹介される、図書館の活用。司馬遼太郎は、地域に取材に行くと必ず図書館に行ったそうだ(『ポーツマスにて』)。図書館は、基本なのだ。
○井上章一『美人論』
すごい。毎ページのように引用が出てくる。しかも、どこから調べてきたの?というような、昔の雑誌や新聞記事まで。徹底して調べるから揺るぎのない論議ができるのだ。
題名が『美人論』なのに、美人の定義は一切述べられない。『読みたいことを、書けばいい。』の、タイトルから文章術の本かと思わせつつ、そんな中身ではないという構造と、ちょっと似ている。ような気がする。
○塩野七生『ローマ人の物語』
これも、既読。、、、と思ったら、三賢帝のあとを読破していないことが判明。結構あるじゃん。
ローマのことを研究しながら、当時の人物に惚れ込んでしまったとのこと。特に、カエサルへの熱情がすごい。カエサルにたどり着くまでも長いし、カエサルの後も長いけど。ローマがいかに成立して、拡大して、いろいろあったけどそれでも長く維持できたのはなぜなのか、そういうことを時系列で丁寧に描いている。大河すぎるドラマ。で、やはり面白い。
「調べて、好きになって、書く」のまさに金字塔。まだ全部読んでいないけど。
○開高健『輝ける闇』
ベトナム戦争を舞台としているが、主人公の背景として日本の敗戦経験が横たわっており、身近に転がる死と生命の対比と描写が強烈であった。きれいごとではない、真実だけを描き出そうとする強烈な文章は、その真意をまだまだ十分に理解したとは言いがたいが、間違いなく心に残る。
『読みたいことを、書けばいい。』に書かれている、「書くことは生き方の問題である」の言葉が、(文中の意味とはちょっと違うかもしれないが)、じわじわ沁みてくる。
○筒井康隆『狂気の沙汰も金次第』
冒頭からビックリ!『読みたいことを、書けばいい。』に列記されたこれらの本は、引用文献でもあったのだ!
新聞に連載されていたという事実に愕然とする。他の仕事もありながら、毎日よくこれだけのクオリティを続けられたものだ。プロはすごい。中身のクセもすごい。
・中島らも『エッセイ・コレクション』 ※2021/02/09追記
読み終わりたくない。すごい。面白い。こんなエッセイを読んでしまったら、自分では書かなくていいやと思ってしまう。キケン。
田中泰延さんの盟友、浅生鴨さんも自身の選書に入れており、燃え殻さんも『相談の森』でらも氏の著書を紹介している。同世代に強い影響を与えてる人なんだというのがわかる。
小堀純氏による後書きに、らも氏のエッセイを評するこんな記述があった。
森羅万象について博覧強記なのだが、文章は平易で読みやすく、随所にユーモアとセンチメンタルがほどよくブレンドされている。
この説明って、田中泰延さんの文章にも同じことが言えるじゃないか。
・ダンテ『神曲』
「地獄篇」のみ読了。名乗りだ、名乗りの文学。名前ありき。田中さんはすべての文章でまず名乗る、すべてはそこからなのだ。
田中さんの渾身の選書、どれも素晴らしい。素晴らしいぞ。
ーーー以下、未読。読んだら追記するの巻。ーーー
・カール・マルクス『資本論』:未読
代わりに、とても短い『共産主義者宣言』を読了。資本主義が暴走する未来を驚くほど正確に予言している。やっぱり『資本論』も読まなきゃと思ったが、実物の分厚さにやっぱり怖じ気づく。
幸運なことに、年末からNHKの100分de名著で取り上げてくれている。無理せず、そのテキストを読み進めることにする。
・マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』:未読。
新訳が読みやすいと評判らしいので、そちらを入手しようかどうしようかと逡巡しているという、言い訳をしておく。
・開高健『ベトナム戦記』:買ってあるけど未読。