18. 慢性ストレスを避ける
ポイント
1 我慢は続かない。続けない。
2 慢性ストレスは免疫力を低下させる。
3 ストレスとは「思うようにならないこと」。
4 あらかじめ「思うようにはならない」と覚悟しておけば、ストレスを減らせる。
乳がんを減らす行動
1 慢性ストレスを感じているなら、「人間関係」「仕事」「住居」を変える
2 旅行に行く
3 自分ができることに集中する
食事や運動を改善しても、あるいは食事や運動を改善するためにも、心のことは避けて通れません。
心の状態が健康なら人は健康になる食事や行動を自然に選びますし、逆に心が不健康なときは不健康な食事や行動をわざわざ選んでしまいがちです。
一時的にひどく辛いことを経験するなど、一時的なストレスは乳がんに影響しないという報告がありますが、長期的にいつまでも抱えている慢性ストレスはよくないようです。
ただし慢性ストレスは本人も「普通」になってしまって自覚が難しいためか、科学的に検証することは困難です。
科学的に明らかになってはいませんが、私の診療経験上、乳がんの患者さんは、人間関係の悩みを繰り返し訴えることが多いです。
一番は、夫に対しての不満です。
次に多いのは、親子関係です。
不満というより、相手への強い恨み、怒り、憎しみを語られる方が多いのには驚くほどです。
それから最近は女性にも増えてきたのが「仕事」のストレス、あるいは「仕事上の人間関係」のストレスです。
もう一つ、慢性ストレスの原因となっているのは住居、あるいは住んでいる場所です。
近所づき合いから、家の汚さ、暗さ、不便さなども慢性ストレスの原因になります。
ストレスに対して我慢するのは、脳の前頭前野という理性を司る脳になります。
前頭前野は腕の筋肉のようなもので、非常に疲れやすいのが特徴です。
回復する時間をおかずに続けて我慢すればするほど、前頭前野は疲れ果て力を失っていきます。
ですから慢性ストレスが溜まっている人は、我慢ができずすぐキレたり、健康に悪いことをしてしまったりするのです。
解決策は明白です。
ストレスの原因と自分の関係を変えることです。
つまり「人間関係」「仕事」「住居」を変えることです。
ストレスを減らす小さな方法は「やり方」を変えることです。
「人間関係」ならつきあい方、「仕事」のやり方、「住居」なら掃除の仕方などを変えます。
変化に要する力は小さいですが、小さいだけに難しいかもしれません。
おすすめは、あらかじめ「思うようにはならない」と覚悟することです。
ストレスというのは、「思うようにならない」ことへの不満です。
「なんで夫は私を大切にしてくれないの?」
「なんで会社は私の仕事を認めてくれないの?」
「なんで息子はあんな女と結婚するの?」
思うようにならないことを延々と不満に思い続けることが、慢性ストレスになります。
「なんで動かないの?」
と思いながら巨大な岩壁を押し続けるようなものです。
そんなストレスを減らす方法は、「動くわけない」と押すのをやめることです。
初めから「思うようにはならない」と思っていれば、「思うようにならないこと」が「思い通り」ということになるので、ストレスではなくなるのです。
意外にも思うようになってしまってもそれは結果オーライです。
そもそも、他の人のことを自分が変えることなど、そうそうできるはずもないのです。
私だって、その患者さんによいと思って勧めていることでさえ、なかなか実行してくれません。
ましてや医学界や検診の仕組みなど、簡単に変わるはずもありません。
相手が動かないことを覚悟してしまえば、自分が動くしかないとわかります。
岩壁を押すより、自分が迂回すればいい、相手が変わることを期待するより、自分が変わればいいのです。
特に、家族について日本人は「身内」と言うように、自分と同一視して、思うようになることを期待しがちです。
だから「身内」が最もストレスの原因になりやすいのです。
身内こそ、思い通りにならないと知りましょう。
考えてもみてください。
文字通り「身内」である自分自身の細胞すら、思い通りにはならないのですから。
もっと根本的に、ストレスを減らす大きな方法は、「人間関係」「仕事」「住居」自体を変える方法です。
「人間関係」なら付き合う相手を変える、「仕事」なら職場や職業自体を変える、「住居」なら転居ということです。
これは人生の大きな決断が必要となりますが、効果は絶大です。
すでに乳がんを発症していて、治りたいなら、こちらがおすすめです。
転地療養という言葉もあるように、居住環境を変えることは大きな効果があります。
例えばビタミンD一つとっても、東京以北では冬は一日中日光を浴びていても1日分のビタミンDが作れませんが、沖縄なら一年中、日光だけで十分なビタミンDを作れます。
乳がん死亡率は東日本と西日本で大きく違います。
緯度が同じでも、標高が高く、盆地で晴れの日が多い山梨県や長野県では、乳がん死亡率が低くなります。(参考ウェブサイト1)
同じように、付き合う人、仕事を変えることも、人生そのもの、生活そのものを変えてくれます。
かといって、むやみに離婚や退職を勧めているわけではありません。
その人間関係や仕事や住む場所が自分にとって命をかけるほどに大切、ということもあるかもしれません。
またストレス源から離れても、過去の恨みを思い出して脳内で再体験していてはストレスは減りません。
自分にとって慢性ストレスの源はなんなのか?
どう生きたら気持ちいいのか?
正直に心にきいてみることが必要です。
ただ、そのためにも、一時的にでもストレス源から離れてみることです。
ストレスが「普通」になっている状況では、それがストレスだということも気づけないからです。
おすすめは旅行です。
数日でも、空気がきれいで太陽の光ふりそそぐ暖かいところへ行ってみましょう。
日常から距離をおいて、自分の「普通」を一歩引いたところから見直すのです。
ある意味、入院がその役割を果たしてくれることもありますが、できればその前に。
「人間関係」「仕事」「住居」、今のそれは本当に自分にふさわしいのか?
自分にとって本当に大切なのは何か?考えるというより、静かに心に問いかけてみましょう。
さらに言えば、乳がんと診断され、おっぱいを切られたり、女性ホルモンを減らしたりすることは、なんと大きい慢性ストレスになるでしょう?
私が代替療法のクリニックで勤めていた時、がんが見つかり病院では余命を告げられたのに長期元気にされている人たち(病院ではそういう人は見たことがありませんでした)は、異口同音にこう言っていました。
「病気のことなんてほとんど忘れています」
がんなんて早期発見しなくていいのです。
「患者」にならなくていいのです。
ただ、健康であればいいのです。
将来的には、乳がん検診は取りやめられ、ビタミンD検診になるでしょう。
そうすれば、はるかに安価に、ストレスなく、乳がんだけでなく多くの病気のリスクが高い人を見つけ原因から改善することができます。
私が自治体長や企業のリーダーならもう取り入れてます。
地域の医療費を下げ、住民や社員の健康レベルをあげ、生産性を大きく向上させるでしょう。
ところが、そうした『科学的』に有効な方法は、『医学的』にはなかなか取り入れらません。
病気を「診断して」「治療する」ことが「仕事」になっている医療システムを、人々が健康になることが「仕事」になるように、変えなくてはなりません。
...おっと、これは私の慢性ストレスでした...。
こういう大きいことや他人のことを考えてイライラするのが悪い例です。
自分ができることに集中しましょう。
私なら、この文章を書くことです。
あなたはただあなたにできることで、健康に生きればよいのです。
👇につづく
(参考ウェブサイト1)がん情報サービス グラフデータベース 都道府県別 地図 乳がん
(Facebook 2018年10月29日より)
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